BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

サンダーバード

10R
①妻鳥晋也(香川)04
②大山千広(福岡)07
③中山将太(福井)05
④中田達也(福岡)14
⑤野中一平(愛知)14
⑥仲谷颯仁(福岡)24

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「遅れてきた114期のライチョウ」妻鳥君がコンマ04の電撃スタートを決めて逃げきった。1マークの出口から後続をシュッと突き放した出足もかなり強そうで、明日もスロー起こしからこの武器を生かして戦うことになるだろう。

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 妻鳥晋也、29歳。羽野直也、松尾拓、村松修二、西野雄貴、中村桃佳などなど「100期以降の最強スター軍団」の呼び声も高い114期にあって、未だA1級のハードルを超えたことなし。地味に地道に実力を付け、ヤンダビ卒業の年にはじめてこの大舞台に足を踏み入れ、あれよあれよと準優1号艇を勝ちきって最初で最後のファイナルチケットをもぎ取った。リアルタイムで書いているので明日の枠番はまだ不明だが、たとえば2、3号艇で人気の盲点になるようなら、この114期の遅咲きレーサーを積極的に舟券に絡めたい。

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 2着争いは、準優らしくターン出口から混戦模様に。ジカまくりもあるか、と見ていた2コースの大山はスリット隊形に沿って穏やかな差しに構えたのだが、まったくサイドが掛からず一気に最後方までズリ下がった。13号機=25%の底力のなさが大一番で露呈したのか、調整に誤算があったのか、旋回直後に何らかのアクシデントがあったのか、とにかく大差の6着でV戦線から脱落した。

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 残る4艇が内外に離れて殺到した1周2マーク、そこから力強く抜け出したのは中田だった。2マーク手前のポジション取りの有利さも味方したが、外マイの野中を張り飛ばした握りマイは迫力満点。このレースでの最古参113期の貫禄を如何なく発揮した2マークだった。今節の中田は42号機のパワー不足分をスタートで補いつつ、恵まれなどの強運も生かしつつ、徐々に機力をアップしてファイナルまで駆け上がったという感じか。昨日までの私の42号機鑑定は「バランス型の中堅上位」だったが、今日の実戦足を見る限り上位の下あたりが正しいのかも知れない。

半周だけのパワー決着

11R
①関 浩哉(群馬)10
②馬場 剛(東京)14
③下寺秀和(広島)13
④中村泰平(愛知)21
⑤上條暢嵩(大阪)25
⑥松井洪弥(三重)17

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 8R後の特訓から110期の上條が激しく動き(2コース80m起こし×2本!)、波乱の匂いを漂わせたこのレース。いざ本番も上條がオラオラ攻めたが、7期下の中村ら内4艇が徹底ブロックして最終隊形は12345/6。

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 これで俄然やる気になったであろう単騎ガマシの松井が、中凹みの隊形を利して強烈な絞めまくり。どこまで届くかと見ていたらば、カド受けの上條が舳先ひとつで抵抗し、玉突き状態の中で上條が落水。瞬間、このレースは向こう半周だけの実戦に制限された。松井が上條をすんなり飛び越えたらどこまで進軍できたかは微妙だが、内3艇のスリット隊形とその後の行き足の良さを踏まえれば、おそらくその牙城を崩すのは厳しかったと思うのだがどうか。

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 外の乱戦の影響をほとんど受けなかった内3艇の1マーク。今日もしっかりコンマ10まで踏み込んだ関が、インからくるり旋回してブッチギリ! 瞬く間に3艇身ほど突き抜けたが、節イチ54号機のパワーを考えれば驚くには値しない。この時点で明日の1号艇か2号艇が約束されたが、もちろん2号艇でも有力なV候補と言えるだろう。

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 バック直線の焦点は2着争いとなり、3コースから迷わず握った下寺68号機がゴキゲンなレース足で2番手に。2コースから差した馬場が2艇身差で追撃したが、スリット裏の足色は明らかに下寺が上。事故の影響でラストバトルとなる1周2マークも、ポジション、パワーともに優位に立つ下寺が危なげなく4枚目の優出チケットを手に入れた。わずか半周の実戦でパワー云々は断言できないものの、関54号機と下寺68号機が他より大なり小なり抜けている印象ではあった。おそらく、丸々3周のレースだったとしても、上位2艇は縦長の展開になっていった気がしてならない。

強運BOY

12R
①羽野直也(福岡)08
②井上一輝(大阪)03
③栗城 匠(東京)11
④吉田裕平(愛知)16
⑤近江翔吾(香川)13
⑥入海 馨(岡山)13

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 これもヤングダービーの風物詩と呼ぶべきか。11Rに続き、またしてもレース序盤でなし崩し的にバトルが終焉するアクシデントが発生してしまった。それは後に回すとして、まずは穏やかな枠なり3対3から凄まじいスタートを繰り出したのは2コース井上だった。インコース羽野もコンマ08まで踏み込んでいたが、それすら圧倒するコンマ03! スリットラインからさらに羽野を煽る勢いだったから、ほぼ全速の飛び出しかも知れない。

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 この勢いのまま絞めまくりに行ったら配当的な大波乱もありえたが、さすがにリスキーな選択とみたか、井上の選択は直進しての差し。その間に羽野がじわりじわりと伸び返し、1マークを先取りしたらば節イチ級のターンスピードで後続を千切り捨てた。さすがのキュン逃げ。ターン出口であっという間に5枚目の優出切符を手繰り寄せたが、もちろんそれは1号艇のプラチナチケットだ。

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 そして、最後のチケットは意外な選手へと転がり込むことになる。羽野が抜け出したバック直線は、「2コース差し井上vs3コースから二番差し栗城」の完全一騎打ち。回った瞬間は井上が圧倒的優位に見えたが、今節の栗城53号機は出足・回り足系統がやたらとしぶとい。1マークの出口からじわじわとその出足を噴かせて舳先を捩じ込み、ポジション的に有利な立場に転換した。

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 栗城の舳先がしっかりめり込んだスリット裏、「このままでは厳しい」と見た井上が直進する舳先を左に斜行して絞め込んだ瞬間、栗城のボートはくるり反転してエンジン停止に(裁定はレース不完走)。この事故を引き起こした井上は2着でゴールを通過したが、レース後に不良航法=賞典除外の宣告を受けた。

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    栗城も井上もV戦線から消えて、最後のチケットを受け取ったのは……はるか後方の4番手を走っていた入海だった。昨日は高田ひかるのFやらいろいろな流れの中で予選18位に滑り込み。今日も今日とて道中4番手→3着ゴールからファイナル6号艇の座を射止めた入海の強運は、明日も軽視禁物とお伝えするしかないだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)