BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――王者に叱られる名人

●お説教

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 11Rをイン逃げ快勝の原田幸哉。颯爽とピットに帰還して、スイーッとボートリフトに収まった。そのとき、原田が入ったのは陸から見ていちばん右、水面から見ていちばん左のリフトだった。水面から戻ってきたとき、つまりいちばん手前に入ったことになる。
 これ、実は大間違いなのだ。1着選手はいちばん奥、水面から見ていちばん右に入るのがルールで、2着、3着と順々に手前に入っていく。原田が入ったのは、本来6着選手が入るべき場所だった。というわけで、原田を出迎える面々は、大急ぎで場所を移動。結局、後続選手たちもなんだかんだで入る場所を探しあぐねるという事態になったのだった。

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「あかん! あっちや!」
 原田を諫めたのは王者! エンジン吊りが終わった後も原田にお説教で、原田が言い訳しても「あかん。ぜーんぶ、計算づくでやらなきゃあかんのや!」。もちろんお咎めがあるわけではなく、ようするに王者が仲良しの原田をからかったという次第なのだが、名人が王者に怒られている姿はなんとも微笑ましいのであった。

●九州地区選?

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 その原田を出迎えたのは、坪井康晴と新田雄史、桐生順平なのだった。あら? 桑原悠は? と思ったら、そうです、桑原も同じ11Rに出走していた。そして、峰竜太、古澤光紀、小野生奈と、11Rは九州地区選みたいな番組になっていたのだ(あと一人は秦英悟。王者はこのエンジン吊りに出てきていたのだった)。
 というわけで、九州勢は分散してエンジン吊りに携わっており、原田にまで手が回らない状態(しかも10R終了後に1便バスが出発している)。そこで、元愛知支部の原田のもとに東海地区の坪井と新田が駆け付け、関東地区の出走がなかったため手が空いていた桐生もやって来たという次第なのだった。ちなみに、愛知支部の面々は1便で帰っていたようです。坪井と新田がいてよかった。

●ハマってしまった

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 2号艇で出走した峰竜太は2コースから4着。差しに構えたものの差し場は開かず、引き波にハマるかたちで後退している。「あ、ハマると思ったら、案の定ハマってしまった」と峰。1マークでの隊形で「しまった!」と思ったら、その通りに敗着となってしまったわけだ。峰ほどの選手であっても、こういうことがあるのがボートレース。しかも平和島の2コースは難しいって言うしなあ。また、古澤光紀のツケマイもお見事であった。ここまでオール3連対だった峰だが、ついに4着。明日の6号艇をどうクリアするのか見ものだ。

●リプレイが……

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 12R、深谷知博がツケマイを放った瞬間、ピットにいた選手が「あっ!」と声をあげている。どう見てもインの白井英治が捕まるタイミングに見えたからだ。1号艇・白井英治。観戦していた選手たちも、逃げ切りを想定していたようだった。それが、敗戦を予期させる隊形になったから、思わず声が出たのだろう。
 白井は3着。1マークの場面がどんなものだったか、白井はおおいに気になったことだろう。陸に上がるとボートリフトに居残って、対岸に目をやる。ビジョンでリプレイが流されるのを待ったのだ。

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 ところが、いつまで経ってもリプレイは流れず。かつては12R終了後はすぐにリプレイがビジョンに映し出されていたが、このところさまざまな告知が映されるようになっていて、リプレイはなかなか流れないのだ。諦めてエンジン吊りへと向かう白井。控室に飛び込むや、リプレイに目を凝らしたものと思われる。なお、前本泰和も同じように、エンジン吊りの後は水面際に向かってビジョンを注視したが、それでもまだリプレイは流れていませんでした。

●殊勲、だが……

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 白井を捉えたツケマイは見事の一言だった深谷知博。だが、レース後はもちろん、苦笑いの連発だった。おそらく会心の一撃だったはずが、差されて2着。レースぶりにある程度の満足感はあっても、結果が望むべきものではなかったのなら、悔しさもつのる。深谷自身に大きな瑕疵があったとは思えないから、苦笑いを浮かべるしかないのである。
 エンジン吊り後は、新田雄史が深谷の背中をポンと叩いて、快走をたたえていた。しかし、深谷は苦笑い。それを見て新田はもう一丁、ポン。深谷は苦笑い。新田がポン。深谷が苦笑い。新田はナイスレースと言いたいところだったようだが、それに感謝をしつつ、苦笑いするしかない深谷なのであった。

●スゴすぎ!

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 深谷を差し切ったのは馬場貴也だ。いやー、驚いた。正直、昨日の足色を見て、馬場は苦しいと感じていたのだ。それが、8Rは6コースから差してバック伸びて2マーク逆転。3連単131390円! 平和島SGのレコードだそうです。そして、12Rはまくり差し一閃で3連単24670円。馬場-全-全で15万以上の払戻だったのか! 5号艇と6号艇でピンピンなのだから、勝負駆けに向けても最高の結果となった。
 12R後の馬場は競技棟に消えるまでヘルメットをかぶったまま、シールドも下げられていたので、様子についてはよくわからなかった。池上カメラマンによると、前本泰和に「うまいねえ」と称えられていたとか。ほんとにうまいよねえ。3日目MVPは馬場ちゃんで決まり!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)