山川美由紀と寺田千恵が、派手なゼスチャーとともに何事かを談笑している昼過ぎの児島ピット。いやぁ、ふたりからほとばしるオーラ、半端なさすぎるやん、眩しすぎるやんっ!!
なんて瞳孔シャッターを最小限に絞っていたらば、「どもです♪」と声を掛けてくれるルーキーあり。3Rでイン逃げを決めた谷口知優クン(愛媛出身・122期)だ。谷口クンとはいささか奇妙な縁で、お互いの存在を認識することになった。詳しく話すとめっちゃ長くなるので大幅に割愛するが、こんな感じ。
谷口知優・佳蓮(127期)のレーサー兄妹が子供の頃から足繁く通っている四国中央市の焼肉屋『清花園』に、私もひょんな流れで今年の正月に訪問(大ご馳走になりました)。焼肉屋の大将から兄妹のよもやま話を聞かされ、その後、逆に兄妹も私に関する何かしらの情報を聞かされ、間接的に知り合いになった。そして今節、斡旋された兄と急造ピット班の私が初めて挨拶を交わしたわけだ(←前検日)。
――おぉ、谷口クン、3Rイン逃げおめでとう。これで6・00まできたね!
谷口「ありがとうございます。でも……ちょっと弱いんですよ、足が」
――そうそう、昨日までの足を見てきたけど、かなり頼りないよねぇ。
谷口「はい、全体に足りない感じなんですけど、でも、乗り心地だけはメッチャ良いんですよ。その部分で逃げられた感じです」
――なるほど、乗り心地を生かして戦うしかないのかぁ。
谷口「もちろん、11Rまでに少しでも上積みして、3コースから自力で攻められる足にしたいです」
――そうそう、しっかり活躍して四国に帰って、『清花園』で高級な肉を喰いまくらないとね。妹さんと。
谷口「そうなんです、最近は妹にゴチになったりすることも多いんで(笑)、連勝めざして頑張ります!」
残念ながら相棒の28号機はいささか頼りないようだが、前半の逃げきりで勢いづいた流れは軽視できないかも?
それから数分後、昨日の12Rで4カドから鮮やかにまくりきった牧山敦也クン(佐賀・120期)がピットに現れた。昨日の答え合わせではないが、継続手として現状の足色を尋ねてみた。
――昨日は、素晴らしいまくり、おめでとう! ふたつの課題(←昨日の前半ピット参照)を克服できたってことかな。
牧山 ありがとうございます。昨日の12Rは直前で風がけっこう穏やかになって、見え方が初日と似たような感じになったのでしっかり行けました。回転不足のほうも、ギリギリなんとか合わせられたかなって感じでした。
――素晴らしい!
牧山 あ、でも、今朝乗ってみたら、昨日よりかなり重たい感じなんですよ。
――あら、足落ち?
牧山 うーーん、そうかもなんですが、重い分だけグリップ感はしっかりしていて、これはこれで戦えそうなんですよ。どっちに持っていったらいいのか、難しいです。
――昨日より重たいけど、ターン回りは良さげ。次が2号艇だけに、ねえ。
牧山 はい、2コースからどう攻めたいか……差し主体として今の足がいいのか、昨日のほうがいいのか……いろいろ考えて調整します。スタート勘も、スローからはちょっと掴めてないんで、特訓でしっかり合わせきりたいです。
――今までオール3連対、次の2コースも1・2着なら準優の好枠も見えてくるよね。
牧山 そうですね。あとはしっかり気持ちを込めて、自分次第なんで、エンジンは良いんで。
相変わらず、ひとつ聞けばふたつみっつの貴重な答えが返ってくる。聡明で素敵な若者だなぁ、などと感心していると、先の谷口クンと牧山クンが同じ11Rに乗っていることにやっと気づいた。2号艇・牧山と3号艇・谷口。1号艇は足的にも実力的にも今節の優勝候補、新開航が立ちはだかるハイレベルな11Rではあるが、これもなにかの縁。
ダメもとで、11Rはこっそり2=3を買ってみよう。
などと思う昼下がりの児島ピットだった。(photos/チャーリー池上、text/畠山)
※今日のピットリポートはこの1回にさせていただきます。