BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――始動のタイミング

 昨日配信した『展望BOATBoy』で、畠山は準優1号艇には誰も「機力A」以上の評価を下していない。10Rの村松修二にしても、11Rの白井英治にしても、予選トップ通過12Rの磯部誠にしても、B評価が精一杯としていて、決して機力上位で手にした白いカポックではないと判断しているわけだ。

 朝から磯部と村松はボートを下ろして、試運転に励んでいた。白井はいつも通りというか、ゆったりとした始動のようであったが、若手二人は早くも調整ピッチを上げている。準優1号艇がこんなにも早くから、しかも複数、水面に出ているのは珍しいことと言えるが、畠山の評価を考えれば首肯するところがある。機力的には決して万全というわけではないわけだ。といっても磯部にしても村松にしても、悲壮感や焦りのようなものは感じられない。

 大上卓人も、2R発売中には試運転に出た。11R2号艇で、高順位で準優に進出したわけだが、彼もまたモーターが噴いているかといえば、微妙なところがある。内枠勢が機力上位とは言い切れない、やはり珍しい準優だと言うべきか。

 準優内枠で機力的には上位クラスの一角と見えるのは山口剛で、こちらはやはり序盤の時間帯はまだ始動していなかった。地元SGの準優ということで、気持ちはかなり入っているだろうが、雰囲気的には落ち着いたものだ。

 内枠勢がせいぜい中堅レベルの機力ということは、外枠に機力上位がいるということである。予選18位とギリギリ準優に滑り込んだ篠崎仁志もその一人だと思うのだが、序盤の時間帯、まだモーターを装着もしていなかった。ボートが裸なのを見て、もしや整備かと整備室を覗きにいったのだが、姿はなし。38のプレートがついたモーターは、そのまんま整備室の中央に鎮座するのみなのであった。

 12R4号艇の原田幸哉も、モーターを装着したのは2R発売中。一昨日からゲージ擦りに取り組んでいることから、モーターの仕上がりは上々と推察されるわけだが、今朝の動きもまたその推察を後押ししているように思えた。

 もっとも、エース53号機を駆って昨日の主役の一人となった實森美祐は、早くから始動していた。機力的にはまったく問題なしなのは言うまでもないわけだが、序盤の時間帯から試運転。のんびりすることなく、きびきびと水面を、そして陸の上でも、走り回っている。SG準優の緊張感を紛らすため、などと深読みしたりもしてみるわけだが、これが實森のいつも通りなのだろう。立場的には明らかにチャレンジャー。朝の動きは、まさにがむしゃらに挑んでいく若者のそれであった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)