BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――関門突破!

 まずは女子から。優出ボーダー争いについては、8Rで鎌倉涼が4コースまくり差しを決めたことが大きかった。この時点では次点7位だったが、9Rで平山智加が大敗し、圏外に落ちたことで6位に浮上したのである。
 鎌倉はその瞬間を、整備室のモニターで田口節子と並んで見守っていた。声などはまったく聞こえないので、どんな会話があったのかはまったくわからないが、田口は思い切りニコニコしながら鎌倉に話しかけ、鎌倉は応えて笑顔をこぼしていた。「これで6位じゃん。よかったね」「ですね~」なんて会話だったとしても不思議ではないな。なお、クイーンズクライマックス当確ではない選手では、鎌倉が唯一の優出。準Vで逆転微妙、確実に地元クイクラに駒を進めるには、6号艇からの一発逆転Vが欲しいところとなる。

 一方、無念の予選落ちとなってしまった平山は実に手痛い敗戦だった。大外からまくりを放った堀之内紀代子と軌道が重なったことで接触、それが後退の主要因だったと思われるだけに、不運でもあった。ピットでは中村桃佳と話しながら、一瞬だけ顔をしかめた平山。その後は穏やかな表情になっていったのだが、相対する中村の顔が終始険しいもので、それがむしろ平山の心中を反映しているように見えるのだった。

 平山と接触した堀之内は6着大敗。これで賞金ランク12位は逆転されてしまった。堀之内は2万2000円上積みで2593万500円。13位だった落合直子は5R3着で2693万1000円。わーっ、500円差で落合が12位に! 500円って! この金額は手当等を加算していないので正確な金額ではないが、とんでもない僅差での争いになったことはたしか。まあ、鎌倉が優勝したら一気に抜き去られるわけだが、それ以前に明日は、この500円差をめぐる攻防に勝たなければならない、堀之内と落合である。優勝戦だけでなく、二人の走るレースにも要注目!

●10R

 田村隆信、無念。地元SG優出の願いはここで途絶えた。そしてグランプリ出場も消えた。3コースからのぞいていく感じもあったが、まくりは届かず、差した篠崎に先んじられて3着。2周1マークで切り返しの先マイを放った瞬間は、ピットでも歓声だったり、驚嘆だったりの声があがっていたが、逆転までは至らず。やるだけやった、という評価はできるが、本人はとてもそんな思いにはなれないだろう。
 ピットに戻ってきた田村は、淡々とは振舞っていたものの、それはむしろ感情のあらわし方を見つけられないという雰囲気もあった。大きなチャンスを逃したのだから、それも致し方ない。静かであったことがかえって、田村の悔恨を強くあらわしているように思えた。

 1着は片岡雅裕、2着は篠崎仁志。101期ワンツーである。エンジン吊りを終えると、自然と声を掛け合った二人は、肩を並べて控室へと戻っていった。仁志は「鳴門は大好きです」と会見で語っており、17年グラチャンでも優出して準Vの実績がある。同じ結果で、昨日までの瓜生正義の賞金は超える計算。といっても、仁志が目指すのはやはり優勝ということになるだろう。

 片岡のほうは、これでベスト6がほぼ決定的となった。メモリアルを獲ったあと、6位以内でグランプリへ、と誓い、それをかなえた格好だ。それにしても、マーくん、本当に実直である。前にも書いたとおり、リフトに2艇しか乗れない鳴門では、レース後は上位着順から2人ずつ、順番にあがってくるのだが、片岡はもちろん仁志とともに真っ先にあがり、しかし5着と6着があがってくるのを待って、深く礼をしている。その5着6着は磯部誠と椎名豊、後輩だというのに片岡はきっちりと礼を尽くした。応援したくなるよなあ。

●11R

 レース後にまず印象に残ったのは、平本真之の明るい顔だ。感情を隠さない男が、その通りに、第一関門突破の歓喜を表情にあらわした。賞金ランク30位。「優勝しか(グランプリは)ないと思って、ここに来た」という平本にとって、優出は最低ノルマだった。もちろんこれで終わりではなく、優勝戦の結果が本当に重要なわけだが、優出しなければ優勝はないのだから、ここで喜んでみせるのは当然だ。
「前回の鳴門SG(20年オーシャンカップ)は4号艇が優勝したので、目はあると思ってます」
 まあ、記者会見の時点で4号艇だということは決まっていないわけだが、12Rも1号艇が逃げれば優勝戦4号艇ということで、そんなコメントも出た。準Vでも18位圏内に突入する可能性は十分だが、明日はやはり優勝しか見ずに臨むことになりそうだ。

 勝ったのは石野貴之。スタートでは平本にのぞかれてはいたが、しっかり伸び返しての快勝。危なげない勝利だった。鳴門では16年オーシャン、17年グラチャンを優勝。もう、鳴門最強戦士はこの男だ!
 足は「100点」と会見で断言。やることをやれば結果はおのずとついてくる、と完全に腹も据わっている。準優も「フタをされなければ問題はない」と、早めに起こしてしっかりスタートを合わせたそうで(つまり多少はのぞかれたスタートを他に行かれても、伸び返して先マイできると確信していた)、判断力や冷静さも備わっている。鳴門SG3V目がはっきり視界に入っていると言っていいだろう。
 そして同時に、「賞金ランク6位以内に入るには優勝しかない」という状況も認識しており、それを見据えての闘争心も湧き上がっている。「グランプリを獲れなかったら、その年は0点」と、年末の大一番に毎年照準を合わせている男にとって、ベスト6で大村に向かうことは非常に重要。明日の12Rは、SG制覇と6位以内、その両取りだけを目指す一戦である。本来は2号艇に使う言葉ではない。しかし、死角がほとんど見当たらない、という言葉が彼にはふさわしいような気がするのだがどうか。

●12R

 予選トップ通過の山口剛が順当に逃げ切った。今年はとこなめ周年制覇があったものの、SG優勝がないまま、賞金トップを走った。ダービーで2位に転落したものの、このチャレンジカップでついに優勝戦1号艇。メモリアル、ダービーと準Vを続けて、さらに右肩上がりで頂点に立つ大きなチャンスを掴んだことになる。もちろん、勝てば賞金ランク首位返り咲きともなる。真の意味で、令和4年のグランプリ戦線の主役になれるわけだ。 
 ただし、山口はすでに厳しい戦いになることを覚悟している。「石野さんのほうが出てます」と、超抜パワーがすぐ右隣にいることを強く意識しているのだ。会見でも、多くの言葉をこの件に割いた。気にしすぎでは、と思わないでもないし、そこまで警戒できていれば万全だろう、と思ったりもするし、ひとつ決定的に思うのは「優勝戦1号艇のプレッシャーは、石野を意識することによって薄くなるのでは」ということだ。もちろん「相手は石野さんだけではなく、6人で走る」という意識もしっかり持っており、油断は皆無とも言える。彼のこの意識がどう結果を転ばせるのか。それもひとつの見どころとなるだろう。

 2着は深谷知博。レディースのほうの優勝戦6号艇は鎌倉涼。SGのほうは深谷知博。夫婦で6号艇からファイナルを戦う最終日! もちろん、ともに逆転大一番進出を大外枠から狙うことにもなる。
 今日はチルト0・5度に跳ねて臨んだ。伸びを意識したわけではないというが、気配は上々。バック出口では後方と見えたのだが、2マークは2番手先マイを果たしたのだから、直線も悪くなさそうだ。優勝戦も同じ取り付けでさらに磨きをかけるのか。あるいは伸び仕様でチルトをさらに……? 直前情報から注目しよう。

 最後に、関浩哉は3コースから攻めたが5着。グランプリ初出場への道は、ここで閉ざされることとなった。レース後は、悔しさを垣間見せる表情にもなっていたが、どこかサッパリしているようにも見えたのだった。関にとってはこのポジションで11月を迎えるのも、これが初めて。いきなり結果が出なかったのは決して恥ずべきことではないし、また今後につながる経験でもある。来年は18位以内でチャレンジカップを迎えられるよう、さらに飛躍の年にしてほしいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)