BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村グランプリTOPICS 3日目

挫いた出鼻

11R 並び順
①山口 剛(広島)F+01
②片岡雅裕(香川)04
③菊地孝平(静岡)03
④丸野一樹(滋賀)F+01
⑥白井英治(山口)04
⑤羽野直也(福岡)05

 大惨事だ。賞金2位で圧倒的一番人気の山口と、トライアル1stをトップで通過した丸野が、臨界点を飛び越えた。激痛すぎるフライング。トライアルでのFは賞典除外ではなく【-10点】という罰則なのだが、さらなる集団アクシデントが起きない限りファイナル進出はありえない。
 わずか3日目でのV戦線脱落。
 ふたりにとっての今後3日間は地獄の責め苦であり、わくわくドキドキの枠番抽選さえ引かせてもらえない身の上となった(自動的に6号艇)。残念ながら、すべては自業自得。当事者のふたりはもちろんのこと、この悲報を知ったすべての選手は改めて「業界の鉄則」を肝に銘じることだろう。

 やっぱ、菊地孝平より前を走ったらあかん!
 気を取り直そう。早いスリット合戦で生き残った4人にとっては、皮肉ながらVゴールに一歩も二歩も前進するレースとなった。強力なライバルが2人消え去ったのみならず、着順も1~4着を分け合ったのだから。

 バックで2番手を走っていた菊地が2マークで先頭に立ち、4番手の白井が2着になり、5番手の片岡が3着、最後方の羽野が4着でゴールを通過した。誰がいちばん得したのは微妙なところだが、誰にとっても損のない“繰り上がり”だったと言えるだろう。

大本命の不覚

12R
①馬場貴也(滋賀)20
②原田幸哉(長崎)14
③深谷知博(静岡)11
④池田浩二(愛知)19
⑤磯部 誠(愛知)18
⑥椎名 豊(群馬)23

 ま、またしても大波乱!!
 こちらは正統派の波乱と呼ぶべきか。まずは圧倒的一番人気の馬場が、珍しくスタートで後手を踏んだ。滋賀支部長という重責を長く背負った男だけに、あるいは11Rの惨事(丸野のFなど)が影響したか。

 勇躍、スリットから飛び出したのは3コースの深谷だった。50号機の行き足の良さも込み込みで、1マークまでに馬場を1艇身近く出し抜く勢い。まくりを警戒した馬場の強めの握りマイはターンマークを大きく外し、サイドも掛からず真横に流れ去った。スタートに続いて、まさかのボーンヘッド。

 こうなれば、深谷にとって絶好のチャンス到来。大きく流れる馬場を横目に、その引き波を十文字で断ち切るようなまくり差しを繰り出した。この瞬間は、おそらく誰もが深谷の1着と思ったことだろう。

 ところが、だ。その深谷の内から、さらに鋭角に1マークを旋回した幸哉がスーーーンと足を伸ばした。後から思えば、深谷はこの“二番差し”をも警戒してもっとターンマークギリギリを攻めるべきだったか。いや、そうだったとしても、幸哉の切れ味抜群の差しハンドルと出口からの押し足を絶賛すべきだろう。

 もうひとり、絶賛すべきは2マークの磯部だ。バック3番手の最内から最短距離をひた走り、幸哉の内に舳先を突っ込んで2マークを先取り。さすがにマイシロのない旋回は外へ外へと流れたが、逆転の2番手をもぎ取る好判断、好旋回だった。32歳にして初めて最高峰の舞台に立った磯部は、トライアルの1戦ごとに成長している気がしてならない。もちろん、その成長力も込み込みで、本人は「底力」と己に言い聞かせているのだろう。

 ふたりの痛恨の勇み足あり、3連単733倍の大波乱あり、重苦しい空気の中での枠番抽選があり、明日の第2戦のメンバー&枠番が決定した。

11R
①片岡雅裕(香川)6点
②菊地孝平(静岡)10点
③磯部 誠(愛知)9点
④椎名 豊(群馬)4点
⑤馬場貴也(滋賀)5点
⑥山口 剛(広島)-10点

12R
①深谷知博(静岡)7点
②羽野直也(福岡)6点
③白井英治(山口)9点
④池田浩二(愛知)5点
⑤原田幸哉(長崎)10点
⑥丸野一樹(滋賀)-10点

 例年以上に熾烈なサバイバルの気配がたちめるなか、明日は誰が笑い、誰が唇を噛みしめるのだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)