BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江クイクラTOPICS 3日目

★トライアル初戦ダイジェスト★

気になる足色、気になる艇間

11R
①平高奈菜(香川)16
②守屋美穂(岡山)16
③香川素子(滋賀)21
④中村桃佳(香川)15
⑤細川裕子(愛知)18
⑥長嶋万記(静岡)17

 結果から書くと1-2-3。3連単は唯一の3ケタ配当=990円という鉄板レースではあった。ここではレース中に良かれ悪しかれ気になったことを時系列に書き連ねよう。
 まず、桃佳のスリット近辺の行き足。昼の足合わせや特訓でかなりゴキゲンな見え方だったが、いざ本番でも出足~行き足のツナギも軽快にスーーッとスリットを制圧した。カド受けの香川がやや凹んだにせよ、桃佳のこの部分の足はトライアル組でも上位と値踏みしていいだろう。

 1マーク、その桃佳が自力で攻めたててのまくり差しは惜しくも届かず、イン平高がしっかり先マイしての1-4態勢。そのまま決まりそうな流れだったが、住之江の2マークは何かが起きる。内ラチから切り返した守屋が桃佳の舳先を抑えきり、一撃の逆転で2番手に浮上した。

 ここで気になったのが、桃佳の足色だ。守屋とは裏腹に最後方までズリ下がったのはともかく、そこからターンするごとにどんどん引き離され、最後はモンキーターンさえままならぬ風情でゴールに辿り着いている。守屋との接触(?)でエンジンに何らかの支障をきたしたのか。あるいは、バランスを逸した時にどこかしらを痛めたのか……現時点で真相は分からないので、本人の談話などをチェックしていただきたい。

 もうひとつ気になったのは、2番手に浮上した守屋vs先頭・平高の距離・艇間だ。1周目は軽く5艇身は突き放した平高だが、2周目は3艇身~3周1マークは2艇身~3周2マークでは1艇身近くまで詰め寄られている。この艇間の変化をどう見るべきか。A平高の足が頼りない、B守屋の足が抜群、Cその両方、くらいしか思いつかないのだが、これも明日への宿題とさせてもらおう。平高の上がりタイムは1分48秒3と悪くはないので、私の勝手な憶測としては「B」が正解ではないか、と思っている。

伸びない特急

12R
①遠藤エミ(滋賀)        11
②田口節子(岡山)        10
③平山智加(香川)        15
④高田ひかる(三重)     16
⑤寺田千恵(岡山)      26
⑥堀之内紀代子(岡山) 30

 ここも結果から書こう。またしても1-2-3決着で、3連単は11Rより激安の750円……はっきり言って、レースに関しては11Rより書くべきことがない。インの遠藤が逃げて、2コース田口が差して、3コース平山が握って……強い選手たちが強いコースを生かして上位を独占した。道中での接戦もなく、隊列も早めに縦長に開いたので(123456、展示航走のように)これ以上言及すべきことがない。

 そんな中、もちろん気になるのは高田&堀之内の伸び足だ。今日も、たとえば高田にいつも通りの超特急パワーがあれば、これほど平穏な決着にはならなかった(断定)。今日の私はスタート特訓からそのあたりに注目したのだが……残念ながら、今日のところはふたりとも「伸びない」と言いきっていい。

 ただ、スタート特訓では平山と高田、寺田と堀之内がまったく同じスリット足に見えたのに、スタート展示~本番では高田だけ1/3艇身ほど平山を煽る見え方ではあった。まだ発展途上の伸び足が、明日はどれだけ理想形に近づくか。【11R③堀之内・⑤高田ひかる】のスリット足だけは、軽視することなくチェックし続けたい。


シリーズ戦のトップは……??

 一方、QCシリーズ戦は3日目が終了。予選の暫定トップに君臨するのは、なんとなんと23歳の清水愛海(あみ)!! 昨日まで2・1・2着と大活躍の127期・総代は、今日も天晴れな道中で住之江のファンを魅了した。
 まずは4号艇の1R、4カドからはんなり差したがインコース佐々木裕美に届かずバック2番手。ところが、今節の愛海は1周2マークの旋回がヤバすぎる。ここもバック直線でじんわり外に開いて、狙いすました鋭角ターン。この差しがズッポリ突き刺さり、同県の大先輩を抜き去ってオール2連対をキープした。

 後半9Rは5号艇からのアタック。この時点で暫定トップに立っていた愛海だが、4号艇には2位の倉持莉々がいて順位の入れ替わりも十分にありえる直接対決だ。外隣の愛海としては「莉々さんマークで差し抜け狙い」ってな枠番ではあった。(笑)
 ところが、いざ本番はピット離れでズッてしまって6コース発進に。当面のライバル倉持からも千切れ、内5艇が旋回してからのターンマーク差しはバック6番手。さすがに今回は大敗必至かという見え方だったが、この娘にはサプライズな1周2マークがある。

 このレースも、だった。バック最後方にして窮屈な最内ラチ、そんな最悪の環境のまま、愛海はマイシロのまったくない2マークを小回り旋回した。そして、回り終わってみたらば…………3番手!! これが強力なパワーに拠るものか、天性のターンセンスなのか、その両方なのか、なんだかよく分からない。よく分からないが、この2マークもまた空恐ろしいスゴ味を感じさせるミラクルターンだった。そのまま3着を取りきり、節間8・40で暫定トップをキープ
 明日の愛海は【8R1号艇】の一発勝負。ここをすんなり逃げきれば、他の選手の成績とは無関係にトップ当選が確定する。今節の出走表の「全国勝率」に3・72と刻まれている23歳が、いま現在はそんな数字とはまったく無縁の選手であることは、もはやここで申し伝える必要もないだろう。掛け値なしに最有力のV候補だ。(photos/シギー中尾、text/畠山)