モリモリ逃げ
11R
①守屋美穂(岡山) 15
②長嶋万記(静岡) 15
③三浦永理(静岡) 13
④田口節子(岡山) 13
⑤高田ひかる(三重) 23
⑥寺田千恵(岡山) 18
スタート特訓のバナレでズった高田が本番はしっかり発進。穏やかな枠なり3対3で落ち着いたが、今度はスタート遅れ。スリットを通過して、内4艇の決着が濃厚に。注目の1マークは【守屋先マイ・万記差し・三浦全速マイ・田口二番差し】という極めてオーソドックスな攻防となり、ターンマークを舐めるように旋回した守屋が、まずは後続をぶっちぎる。さすがのイン巧者、1ミリの過不足も感じさせない完璧なインモンキーだった。
パワー診断的に興味深かったのは2着争いだ。バックでわずかに覗いたのは全速マイの三浦。守屋の引き波のない水面をスムーズに旋回し、ターン出口で1艇身ほど抜け出した。その内で長嶋が舳先を伸ばし、さらにその内で田口がじわり伸びる。
バック中間ではほんのわずかに長嶋の行き足が弱く、内から外へと方針転換。両サイドの三浦vs田口は行き足がまったく互角~2マーク手前の伸び比べではわずかに田口が優勢だったか。内からギリでマウントを取り続けた田口が、三浦をけん制しながら2マークを小回りターン。すぐに差したかった三浦だが、内から忍び寄る高田の気配を察知して速攻を自重。田口を付け回る安全策で勝負あった。
ってな感じで、田口vs三浦は2マークのポジショニングの有利不利が反映されたもので、ほとんど大差がなかったはず。では、バックで後手を踏んだ長嶋が劣勢だったかと言うと、その後の執拗なまでの追撃足はなかなかに秀逸。最後は1艇身近くまで三浦を追い詰めていて、「むしろ万記の方が強めでは?」と思わせるものだったうむ。今日のところは田口・三浦・長嶋を同列に置きつつ、「ちょっとだけ行き足~伸びは節子が良かったかも」と日記には書いておこう。
その後方で千切れた高田と寺田は、枠の不利もあったがターン回りでも先行4艇より劣勢な気がしたのだが、どうだろうか。
エミ逃げ
12R
①遠藤エミ(滋賀) 09
②渡邉優美(福岡) 14
③平山智加(香川) 12
④川野芽唯(福岡) 18
⑤浜田亜理沙(埼玉)18
⑥大瀧明日香(愛知)22
11Rの守屋に続いて、コッチも主役が逃げきった。女子賞金ランク1位の遠藤。これまた穏やかな枠なり3対3から、12人で唯一のコンマゼロ台突破! 起こしでは3コース平山が突出していたから、おそらく平山はかなりアジャストしたはずだ。
こうなれば唯我独尊のイン逃げ独走かと思いきや、ターンそのものは完璧だった守屋とは正反対。「直前で舟が跳ねちゃって」という旋回は、ターンマークを大きく外して真横に流れる危ういインモンキーになってしまった。
この煽りを真っすぐ受けたのも平山か。遠藤に艇を寄せてツケマイ気味に攻めようとしたらば、敵が流れてゴッツンコ。結果的に横へと弾き飛ばされる形になり、バック3、4番手に甘んじた。いわゆる「ダンプ」ではないが、平山とわずかに接触した遠藤はその作用反作用のように舟が返って悠々と先頭に。実際にはそんな物理現象ではなく、天性のターンスピードが彼女の背中を押したのだろう。
混戦模様の出口から2番手に飛び込んだのは、5コースの浜田!! 平山は外流れ、2コース渡邉は平山の引き波でちょい尻もちをついている間に、握って落として艇団のど真ん中を切り裂いた。かなり展開に恵まれた突き抜けで「パワー差し」とは言いきれないが、それにしてもの鮮やかな切れ味ではあった。
2マークの2着争いも見どころ満載。先行する浜田の舳先の前を、最内から最短コースで2マークに向かった渡邉が気合パンパンで通過。浜田は冷静に落として差しハンドルその外を回った平山に有効な差し場はなく、外から外への全速ぶん回しを強いられた。渡邉~浜田がロスのない旋回だったため、この大回りはふたりに届かない。1マークで後手に回った“借金”が、とことん無理攻めを強いられる悪循環となってしまったか。
その後も浜田がしっかり回って2番手を死守。渡邉が必死に追いすがり、平山もその後方からじわり差を詰める。この3人のパワーの優劣をつけたいのだが、やはり1マークでの有利不利がまんま道中にも投影されているから、はっきりとは分からない。3周目にぐんぐん追い上げた平山が優勢だった気もするけど、断言はできない。
そして、一時は平山を出し抜いた川野はあっさりと抜き返されていて、パワー劣勢は明らかだ。かつての絶対エース74号機の面影は、もはやどこにも見いだせなかった。川野からさらなる大差で惨敗した大瀧はやや心配な6着ではあったが、シンガリ艇がパワー不問でどんどん置き去りにされるのもボートレースあるあるだ。今日の大敗をもってワースト級と決めつけるは危険、とお伝えしておこう。(photos/シギ―中尾、text/畠山)