BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準々決勝ダイジェスト

浪花の皮算用?

9R
①馬場貴也(滋賀)08
②椎名 豊(群馬)07
③原田幸哉(長崎)12
④上條暢嵩(大阪)07
⑤石野貴之(大阪)08
⑥前田将太(福岡)06

 昨日はピット離れで凹んだ石野がしっかり飛び出し、大方の予想どおりの枠なり3対3。スリット隊形は何気に波乱含みで、4カド上條の舳先が突出した見え方(実際には3コース原田だけが凹んでいた)。上條は6R後の特訓を欠席していて、いざスタート展示に出てみたらば石野よりも出て行くムードだった。これは私の妄想だが、「伸び仕様にした上條が4カドから自力攻め~石野は手前に寄せてマーク差し」という大阪連動作戦があったのではなかろうか。

 とにかく、カド受け・幸哉の凹みを利して、上條は伸びなり自力まくりでスロー勢に襲い掛かる。その動きをしっかり外から見据えつつ、石野がハゲタカのように空いているスペースを探す。ただ、そのマーク差しは無理にでも1等を狙う航跡ではなかった。上條を行かせて、冷静に的確に……。

 その間に、インコースの馬場が例によって早くて速いモンキーターン⇒ターボエンジン搭載のウイリーで一気に独走態勢に持ち込んだ。「3走でいちばん良かった」と本人も自負する機力全開、大阪コンビをぐんぐん突き放す。上りタイムも昨日の1分47秒3を大幅に更新する節イチ46秒7で、完全に馬場モードに突入したとみていいだろう。昨日までのパワー鑑定【出A・直B】からバランス型【出A・直A】に格上げしておきたい。

 重要な2、3着は先攻めの上條~マーク差し石野=大阪コンビが悠然と後続を突き放してゆく。共同の作戦だったかどうかはともかく、このシリーズの本質をしっかり把握した走り方ではあった。
 パワー面でいうと、今日の上條は【出B・直A】という見え方で昨日までの【出A・直A】からランクアップ。ただ、明日はまた手前に寄せる可能性もあるだろう。
 前検から【出S・直S】と高く評価している石野の今日は、パンチ力が劣化&ちょっとターン回りにロスがあった印象で【出A・直A】が妥当か。ただ、これは「能ある鷹は爪を隠す」じゃないけど、今後のどこかで研ぎ澄ました爪を振りかざすときが来る、と勝手に思っている。

王者の余裕

10R
①池田浩二(愛知)08
②片岡雅裕(香川)14
③末永和也(佐賀)15
④松井 繁(大阪)16
⑤山口 剛(広島)15
⑥瓜生正義(福岡)13

 池田が勝った。
 スリット隊形は↑御覧のとおり、鮮やかな横一線でイン池田だけが半艇身近く突出! この隊形で取りこぼす選手じゃないし、しかも今節は機力的にも優位を保っている。軽々とターンマークを先取りした池田は、昨日と同じく他艇に影すら踏ませぬ美しいインモンキーで準決勝の招待状を手にした。文句なし! パワー評価は昨日から据え置きの【出A・直A】としておきたい。2戦ともに圧勝すぎて、比較材料が少ないのだが。

 2着は4カドから慌てず騒がず、二番差しでブイ際をすり抜けた王者・松井。自称・穴党の私はスリット一撃の大技を期待したものだが、9Rの大阪コンビと同じくこのシリーズの本質をしっかり掌握していたか。
「キミキミ、こういう大会は、こうやって走るんやでぇ!」
 と王者から諭されたような気分になった(笑)。足的には石野と同じく鋭い爪を隠した印象で、【出A・直S】の見立てを変える必要もないだろう。嗚呼、とどのつまり隠している爪を拝めるのは、最終日最終レースしかないのだろうか……。

 3着はこれも順当に2コースから差した片岡。前を行く松井に引き離され、後ろの末永の追撃に手を焼いている印象もあり、これも据え置きの【出A・直B】あたりとしておきたい。

大逆転

11R
①深谷知博(静岡)14
②上平真二(広島)20
③毒島 誠(群馬)17
④羽野直也(福岡)19
⑤守屋美穂(岡山)19
⑥中島孝平(福井)25

 不安視していた深谷32号機のパワーが、思わぬ場所で明るみに出てしまった。逃げ圧勝と誰もが確信したであろう1マークの展開(バック直線で3~5艇身差ほどの独走!)から、わずか1周後に大逆転負け……昨日の6Rの幸哉⇔茅原より、さらにありえない逆転劇だった。敗因を特定するなら、あからさまなパワー負け。戦前の鑑定【出C・直C】通りの厳しい足色で、ここから1ミリでも値上げすることはできない。逆に【出D】に近かったかも?

 で、大逆転で先頭に立ったのが毒島だ。まず、1マークは昨日と同じく3コースから深谷を攻めきれずに独走を許す。むしろ4カドから差した羽野キュンにも出し抜かれ、バック直線は3番手を取りきれるかどうかというポジションだった。
 そこからだ。1周2マークで羽野を捌いて2番手浮上~2周1マークの鋭角ターン一発で先頭・深谷を捕えきった。もちろん、慎重に落として回った深谷にわずかなキャビテーションが発生したのだが、それにしてもの残酷なパワー差!

 毒島は前半2Rで5コースまくり差しで圧勝。そのレース足を見て、昨日までの【現状C+~B】⇒【出A・直B】↑に昇格したのだが、それでも足りなかったか。深谷の足が酷いとしても、【出A・直A】が妥当かも知れない。
 3着は毒島に競り負けながらも、しぶといレース足で後続を突き放した羽野。「派手さはないけど、くるくる立ち回れる出足・回り足」という印象は昨日から変わらず、私の鑑定は据え置きの【出A・直B】だ。

降着制度、適用??

12R
①丸野一樹(滋賀)14
②茅原悠紀(岡山)20
③桐生順平(埼玉)17
④関 浩哉(群馬)19
⑤宮地元輝(佐賀)19
⑥寺田千恵(岡山)25

 昨日同様、なぜか総じて12Rはスタートが慎重になり、その中でコンマ14まで踏み込んだ大本命の丸野が一目散に逃げきった。見た目には昨日ほどの完勝ではなく、あわや3コース桐生のまくり差しに斬られそうな光景ではあったが、あれは桐生の迷いなき猛攻を褒めるべきだろう。
 桐生の舳先が入りきらず、外に流れた時点で丸野の勝利が確定。先頭に立ってしまえば、後ろにせっつかれる人機ではない。前年チャンプだからして、明日の準決勝の1号艇も約束された。私のパワー評価は戦前と同じ【出A+・直A+】としておきたい。

 そして、後続は2コースからすんなり差した茅原~まくり差しが惜しくも届かなかった桐生の①②③で決着したのだが……1周2マーク、茅原が追い抜き不良で賞典除外に。代わって“被害者”だった4着・宮地が繰り上がりとなり、偶然ながら「降着制度」が適用された格好だ。

 桐生の道中の足取りはまだまだ不安定で、【出B・直B】の中堅レベルという評価は変わっていない。それでいて強烈なまくり差し、道中の位置取り・捌きで3着を取りきるあたりは流石と言うしかない。
 繰り上がりでセミファイナルの権利を得た宮地は、「悪くはないけど」という煮え切らない見え方で、やはり【出B・直B】の中堅ど真ん中と見ている。(photos/シギー中尾、text/畠山)