BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――レース直後

 勝負駆けに成功すれば、もちろん意気は上がる。10R、3コースからのまくり差し一閃、見事に準優圏内に浮上した濱野谷憲吾は、そりゃあもう、大変なテンションになっていた。エンジン吊りに参加した平高奈菜がめっちゃ笑っていたし、濱野谷も明らかにヘルメットの奥の目が笑っている。祝福の声をかけられるたび、奇声というと大げさだが、歓喜の声をあげて応えていたものである。

 ただし、準優に残れたからといっても、それが納得のいかない結果なら、まずは悔恨が先に立つ。9Rで6着大敗の倉持莉々は、前半ですでに準優当確を決めていたのだが、6着をとって笑えるはずがない。

 11Rで4着の山田康二も同様。6号艇とはいえ、大きな着を獲ったこと、あるいはその結果を導いてしまった原因などを考えれば、浮かない顔になるのも致し方ないだろう。山田はそれでも準優好枠だが、倉持は一気に準優の枠を悪くさせてしまってもいるわけだから、悔やむことは多い。

 10R3着で予選トップを確定させた毒島誠も、レース直後はむしろ表情は暗かった。3着ならトップ、という条件を把握していたとしても、しかし勝てなかったことのほうがレース直後は大きく胸を占めるのはレーサーの本能として自然である。大きく優勝に近づく3着だった、というのは間違いないことだが、3着という結果にはやっぱり笑うことはできないものだ。

 濱野谷のまくり差しを浴びた磯部誠は、1号艇で2着という結果ということもあって、複雑な表情。その時点でどこまで把握していたかはともかく、得点率は6・00に達しはしたものの、19位で結果待ちという立場にも置かれたのだから、悔しい2着というしかない。勝っていればすっきりと準優行きを決めていたし、11R終了後には通算1000勝の水神祭を行なうことにもなっていたのだから、なんの憂いもなく水面に飛び込みたかったはずだ。結果的には、18位でセーフ! そのことに笑うことはできたとしても、やはりレース直後は……ということだ。

 12R、宮地元輝が3着で、なんとか準優に残った! 昨日の不良航法のジャッジは少々厳しいようにも見えていたので、宮地としても思うところはあっただろうが、その分をきっちり巻き返しての準優行き。これもまた3着という結果に納得のいかないところはあろうが、それでもやや力強い表情に見えていたのは、準優行きを決めたということを確信していたからだろうか。減点があったことで、かえって「絶対に準優へ」の思いは強くなっていただろうから、してやったりの思いはきっとあったはずだ。明日の準優は外枠となってしまってはいるが、気合はパンパンのはず! もし優出を果たしてみせたら、どんな表情を見せてくれるのか、実に楽しみだ!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)