BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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尼崎・甲子園TOPICS 初日

群馬に2度目の優勝旗??

 先の徳山グラチャンでは初日の当欄で「石野貴之のV率50%以上」と予言。惜しくも準V止まりだったが、今節も初日にしてウルトラ有力なV候補が現れた。はい、もうバレバレですわね。関浩哉13号機だ。

 今日の関クンの成績は【5号艇2着&4号艇1着】。着順も素晴らしかったが、何よりも実戦パワーが凄まじかった。前半1Rは逃げる椎名豊を追って追って、じわり差を詰めての2着。足色だけで言うなら、明らかに椎名より優勢な見え方だった。
 さらなる圧巻は7R。4カドから(おそらく)スタート直前で放ったにも関わらず、1マークまでに伸びる伸びる! あっという間に③高橋直哉~②磯部誠(←明確なワースト級ではあった)を絞め倒し、インから飛びついた①西島義則をも伸びなりパワー任せにまくりきった。紛れもない鬼足!

 私は昨日の前検欄で佐藤翼58号機と関13号機をSに据えたが、いざ実戦の足色は関13号が明らかに上。改めて三島敬一郎のエン魔帳に目をやれば、「初下ろしから二の足、スリット足と上位で、一撃秘める足」という短評どおり。これに選手の力量をプラスして、「不動のV候補」という答に至った次第だ。

 相も変わらず「妄想決めつけ早とちり」が私の欠点だと知りつつ、今節もまた初日のドリーム戦を観る前に予言してしまおう。
――関13号機が2年前の毒島誠に続いて深紅の優勝旗を群馬に持ち帰る可能性は、初日の段階で50%を超えている。
 と。

不定期連載『ガンバレ辺境レーサー』

野球どアホウ甲子園
5206梅原祥平クン(鳥取・129期)

『村岡賢人さんの代打で来ました。
頑張りまーーーす♪』
 今朝の開会式でいろんな意味で異彩を放った男。いや、男というより野球少年、もっというなら野球少女のごとき趣きまで漂わせていた。ライブ放映のチャットは大騒ぎ。
――誰?
――だれこれ
――声高い
――だれ?
――女の子?
――だれだれ?
――ワロタ

 正直、私・畠山の感想も似たり寄ったり。名前はうっすら見かけたけど、実戦に注目したことは一度もない。何の予備知識も持たずに眺めていたら、私の脳内は【誰? 声高い 女の子?】というキーワードで埋め尽くされたことだろう。

 梅原祥平、25歳。デビューからまだ1年8カ月だからして、本来ならGⅡに出られるはずもないほやほやのルーキーだ。今期の適用勝率は2.75。この低い数字は当たり前として、梅原クンは養成所の頃から落ちこぼれの部類だった。リーグ成績は3.82、下から5番目の数字だ。
「梅原クンは成績はちょっとアレでしたけど、性格はめっちゃ良くって、養成所のみんなから愛されてました」
 と、同じ時間を過ごした某氏は懐かしそうに語ってくれた。
「成績はアレでしたけど、なんでも率先して『自分がやります!』と動き回ってくれましたね。野球で培ったド根性、そんなのもあった気がします」
 そう、梅原クンの半生は野球とともにあった。少年野球にはじまり中学では軟式~高校で硬式(中国大会出場)~大学でも準硬式の野球部で心身を鍛えまくった。養成所での献身的な行動、礼節を重んじる心根も、白球が教えてくれたに違いない。

 人間的な魅力は、今日の開会式だけでもてんこ盛りだった。私の老いぼれハートも、珍しくきゅんきゅん躍動したものだ。こうなると、たったひとつの課題「成績はアレでしたけど」を克服してほしい。できることなら、今節中に「GⅡ水神祭」などという大それたこともやらかしてほしい。先に勝率2.75と書いたが、それは4月30日までの成績。特に激変したのがスタート力で、この短期間にコンマ18⇒コンマ13まで研ぎ澄まされている。
 と、ここまで書いたところで、別の関係者さんが新たな情報を教えてくれた。
「梅原クンは前節の最終日に尼崎に入って水面練習し、鳥取には帰らずホテルに泊まり込み。開会式のための小道具(バットやスイカヘルメット)も買い込んで、この大会を心待ちにしてましたよ」

 嗚呼、なんと甲斐甲斐しい梅原クンであることよ。もちろん、この大会はそんな程度の鍛錬で勝ち負けできるほど甘くはない。這って這って這い回って鳥取に帰る可能性が極めて高いが、それでもこの6日間で得るものは少なくないだろう。甲子園の土ならぬ、何らかの手土産を抱えて鳥取へ、師匠の村岡賢人の元に帰ってほしい。そして、師匠に手取り足取り教えてもらって、地味に地道に成長してもらいたい。鳥取県の選手は、今のところふたりだけなのだから。
※まったく関係ない余談だけど、8月19日から『野球どアホウ未亡人』というスチャラカ馬鹿っぽい映画が公開されま~す。興味のある方はどーぞw

 そうそう、辺境地レーサーといえば、今日は岐阜県代表の吉田慎二郎が豪快な5コースまくり差しでバック先頭まで突き抜けた。
『岐阜県関市出身です。
関市といえば刃物の街なので
僕もナイフのような
スタート・ターンで
最終日まで頑張りまーす!』
 宣言に恥じない悶絶ターン。実況さんも「切れ味抜群の1マークでした、吉田慎二郎!」としっかり“韻”を踏んで、40歳の記念初勝利を讃えた。デビューから20年目にして初めてA1級に昇りつめた遅咲きのまくり屋が、明日以降もどんだけ暴れるか。辺境選手ファンのひとりとして、しっかりじっくり見守るとしよう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)