BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡メモリアルTOPICS 初日

福岡SG123ダァーッ作戦?

「ねえねえ、2Rから最終レースまで①②③BOX、会社で買ってみませんか?」
 開幕戦1Rが①-②-③で決着した瞬間、隣のチャーリー池上が耳元で囁いた。「会社」とは資金を持ち寄って舟券を買うシステムだ。
「うむむ、①②③BOXかぁ……」
 自称穴党の私にとって、人生で一度も買ったことのない舟券だ。なんだか親に内緒で駄菓子を買うような、ちょいと後ろめたい気持ちで私はうなずいた。池上の瞳に怪しげなオーラのようなものを感じたからだ。そしたらば、あなた!
1R①②③ 1760円
   ↓
2R②①③ 1980円的中
3R①③② 2390円的中
4R②③① 8540円的中!
5R①③② 2200円的中

 なんとなんと、開幕戦も含めて①②③BOXが無傷の5連発!!!!! 山口剛や丸野一樹が2コースから差しても、稲田浩二や今垣光太郎がインから逃げても、アウトからは誰も届かずにすべて内枠決着。5Rにして会社の資本金(2R~12Rまで6600円)を超えたのみならず、200%以上のプラス収支を確定させたのである。もちろん、こんな極端すぎる偏りは偶然の産物でしかないのだが、ある程度の理屈をこねることは可能だ。
①福岡はダッシュの助走路が異様に短いため、外艇のスタート勘が掴みにくい。特に初日は戸惑うダッシュ勢も多く、スロー勢がスリットから優位に立ちやすい。
②今日の福岡水面は4Rが満潮で、たっぷんたっぷんの時間帯。外からまくり差しに入りかけた選手たちが、こぞって引き波に喘いで失速していた。
③「福岡はイン受難の水面」という一般セオリーが浸透しているから、SGの①-②=③でも他場(たとえば大村や徳山)より配当が跳ね上がる。

 こんな感じか。「そんなん後付けの屁理屈やん」と言われたらぐうの音もないのだが、柄にもなく①②③に興味を抱いたので、直近の福岡SG=2021年クラシックの結果を調べてみた。そしたらば、あなた、PARTⅡ。

★2021年クラシックの①②③BOX

初日 ①②③1880円(1R!)
   ①②③1690円
   ①②③670円
   ③②①9140円
2日目③①②12000円!
   ①③②1150円
   ②①③3150円
3日目①②③790円
4日目①③②2380円
   ③①②10000円!
   ①②③1240円
   ①②③1670円
5日目①③②1200円
最終日③①②14080円!
   ①③②1520円
   ①②③990円

 万舟3発も含めて、トータル配当は63550円! 仮に全72レースの①②③BOXを100円ずつ買うと43200円だから、純然たる回収率は147%に及んだのである。
「ま、ま、まさかの①②③ダァーー必勝法なのか?? 明日以降、優勝戦までずっと買い続けてもボロ儲けなのか!!??」
 いよいよ色めき立った私なのだが、当欄の長い愛読者ならよくよくご承知であろう。私が何かしらの“法則”に気づいて鼻息荒く書き込んだら、途端に神通力が失われて一気に崩壊することを……(涙)
※ここまで書いてから、さらに2019年オールスター~2017年オールスターと当地SGを掘り下げてみたらば、①②③BOXの回収率はそれぞれ66%、63%でありましたとさ、チャンチャン。

7人の地元侍

「12年前の開会式でも言ったんで縁起が悪いんですけど……優勝します!!」
 いつもは選手紹介で寡黙な岡崎恭裕が、珍しくビッグマウスを繰り出した。まだ日が浅いファンのために補足しておくと、まさに12年前の福岡メモリアルの優勝戦で、3号艇の岡崎はフライングに散った。優勝宣言の気合が、もっとも悲惨な形として水面に投影されてしまった。
 さらに補足すると、この12年前の優勝戦のメンバーがヤバすぎた。

2011年福岡メモリアル優勝戦
①出畑孝典(福岡)
②藤丸光一(福岡)
③岡崎恭裕(福岡)
④瓜生正義(福岡)
⑤峰 竜太(佐賀)
⑥篠崎元志(福岡)

 オール九州にして「ほぼほぼオール福岡」というSGではありえない布陣!! 当時の地元5戦士には申し訳ないが、なんとなく福岡のお盆開催ファイナルに紛れ込んだような気分になったものだ。結果は出畑がコンマ04、岡崎がコンマ02の勇み足、コンマ00で生き残った瓜生が4カドから豪快にまくってエースの貫禄を示した。

 縁起の悪いスタート事故はともかく、今節の福岡支部の七人衆が目指すのは、もちろん12年前と同じ鈴なり優出(6枠全占拠まで?)だろう。戦力的にもそんな2度目のミラクルがあって不思議じゃない面々なのだが、初日は苦戦を強いられる場面が相次いだ。登場順に今日の成績と短評を寄せておこう。
★前田将太=3R6号艇5着・8R3号艇4着
 7月から3度目の当地斡旋。前2回は銘柄機をしっかり出しきっている印象があり、「調整的にかなり有利ではないか」と見ていたが、今節の47号機はなかなかに厳しそう。後半はギヤケースとキャブレターを交換したが、重成一人との競り合いではかなり劣勢な見え方だった。とはいえ、枠番-着順のゴルフスコア的にはイーブンパー。まだまだ挽回の利く5・4着ではある。とにかくパワーアップが急務だ。
★岡崎恭裕=4R4号艇4着・10R1号艇1着
 こちらも枠番通りの着順でイーブンパー。見た目には地味ながらもしっかりした足色で、中堅上位あるなしか。朝の宣言どおりの結果を得るには、成績もパワーもそこそこに上積みする必要があるだろう。明日の【7R6号艇】が試金石になりそうなだけに、気合の前付けも想定しておきたい。

★篠崎仁志=6R1号艇1着
 これまたイーブンパーだが、今日は絶対にアンダーパーが見込めない枠番(笑)。スッキリのイン逃げで悪くは見えなかったが、モーター素性的にもうひとパンチは欲しい。

★西山貴浩=7R5号艇5着
 これまた枠番通りのイーブンパー。銘柄パワー大池佑来48号機らとの競り合いで、さほど劣勢には見えなかったが……明日はたっぷりポイントを稼ぎたい3号艇&1号艇。最低でもイーブンパーを維持したい勝負どころではある。
★瓜生正義=9R2号艇6着
 先に言ってしまうと、今日の地元勢の中でただひとりオーバーパーの大叩きだった。しかも道中の競りで3着争いあたりからズルズル後退しての6着大敗……回転が合っていない見え方ではあったが、元よりポテンシャルの低そうな相棒だけに大手術もありえるだろう。
★篠崎元志=11R2号艇2着
 またまたイーブンパー。2号艇(2コース想定)はややもすれば大敗もあるリスキーなだけに、まずは及第点の2着か。電気一式とギヤケースがどれだけ利いたか分からないが、ターン回りの見え方は素性の29%よりは力強く見えた。

★羽野直也=12Rドリーム戦5号艇4着
 1走ながら地元勢でアンダーパーを取りきったのは羽野キュンひとり。威張れる着順ではないが、ドリームりの難敵相手にワンアンダー。点増しも込み込みで悪くない滑り出しと言いきっていいだろう。道中の足色にもなかなか見るべきものがあった気が……。

 さてさて、12年に優出した地元五人衆は、すべて緒戦が1着か2着というロケットスタートを切っていた。その流れを踏襲したのは篠崎兄弟のみなのだが、果たして明日以降の巻き返しなるか。パワーの推移も含めてしっかりと7人の気配をチェックし続けたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)