BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

不気味なレース足

10R
①馬場貴也(滋賀)16
②寺田 祥(山口)21
③羽野直也(福岡)17
④深谷知博(静岡)21
⑤大峯 豊(山口)21
⑥丸野一樹(滋賀)20

 スピードスター馬場がインから危なげなく押しきった。昨日はターン回りでちょいちょいロスがあって出足系統がやや不安視されたが、スリット横一線から回ってみたらば一人旅。例によって速すぎるインモンキー~ウイリーで優出一番乗りを決めた。
 最近、このブログで何度も書いているが、馬場のイン逃げ圧勝をもってしてパワー評価を下すのは非常に難しい。ひとえにターンスピードが早くて速すぎるからで、ひとつのバロメーターになるのが上りタイムだ。

 今日の馬場の勝ちタイム1分50秒8は穏やかな水面としてはかなり遅め(節イチは馬場自身の1分49秒4)。2Rの守屋美穂の1分50秒1は潮が引いていた時間帯として、8R遠藤エミの1分50秒6より遅かったのはちょっぴり気になるところ。それ以外はすべてにおいて理想的なイン逃げで、今日の道中を慎重に回ったとするなら、優勝戦への臨戦態勢が整ったと見てもいいだろう。

 2着は4カドから二番差しでバック最内を伸びた深谷。その出口からの押し足~スリット裏の行き足は軽快そのもの! 前検からドリーム班のトップ足と期待していたが、予選の中盤~昨日までターン回りが重たくゾーンから外れている見え方だった。どうした深谷66号機?と評価もやや下げたのだが、ここ一番で見事にゾーンのど真ん中にぶち込んだ(戻ったと言うべきだろうか?)。伸び足は中堅に毛が生えた程度だが、この男の生命線は混戦を捌くレース足だからして、優勝戦の外枠でも実に不気味な舟足に仕上がったと見ていいだろう。軽視禁物とお伝えしておく。

独占・長崎コンビ

11R
①原田幸哉(長崎)09
②桑原 悠(長崎)12
③山口 剛(広島)11
④西山貴浩(福岡)09
⑤毒島 誠(群馬)06
⑥篠崎元志(福岡)11

 桑原61号機が長崎支部の大先輩をブッ差した。これぞエース機の底力。1マークを回った直後に舳先が入ると確信できる、ズボッという音が耳奥で響き渡るような激差しだった。
 このエース機については日々何かしら書いてきたので、多くを語る必要もないだろう。時系列で書いているため明日の枠番は2か3か不明だが、2号艇ならたとえ馬場がインでも今日のようなブッ差しが、3号艇なら伸び足を上積みしての自力まくりが可能な足だと確信している。仮に③桑原、④幸哉なんて並びになったら、桑原61号機の自力攻めはさらに迫力を増すことだろう。

 2着は後輩に不覚を喫した幸哉。ただ、道中でエース機を追っかけ回すしつこさ粘っこさは半端なく、2周目あたりは「どっかのターンで逆転があるかも?」という見え方でもあった。これが今節の幸哉56号機の最大の特長で、最近の幸哉あるある「スリット近辺は軽快だけど回ってイマイチ」っぽい仕上がりとは別次元と思っていい。先に書いたように【③桑原・④幸哉】になったりしたら、その粘着質のレース足がフル稼働する可能性は低くない。幸哉には悔しい2着だろうが、こと長崎代表としてはコッチの並びの方がよりパンチ力の増す配列だと思うがどうか。間もなく始まる12Rの結果に注目しよう。

 後続からは地元の西山、SG復権Vを目指す毒島が必死のパッチで追撃。②-④⑤の舟券だけを握りしめていた私も必死のパッチで応援したが、長崎コンビとの差は開く一方。残酷なまでのパワー差を痛感する道中でもあった。

新・伝家の宝刀!

12R
①重成一人(香川)
②今垣光太郎(福井)
③宮地元輝(佐賀)
④稲田浩二(兵庫)
⑤石渡鉄兵(東京)
⑥松井 繁(大阪)

 シリーズリーダー重成が苦杯をなめた。大金星をあげたのは、開会式から気合パンパンの宮地! 決まり手は3コースまくり差し。福岡ではなかなかに至難の決め技で、今節もここまで1回か2回程度ではなかろうか(バタバタにつき後で調べますw)。

 しかも、宮地の3コースまくり差しはひどく独創的な航跡を描くことが多い。スリットからしばらく直進し、2コースが差しの初動を起こしても知らんぷりでさらに直進。1マークの奥まで直進してから、やおら急旋回で1・2コースの間に舳先をブッ込む。なんというか、他ではあまり見かけない唯我独尊の航跡なのだ。

 今日の航跡はいつもほどの変則ではなかったが、それでも慌てず騒がず直進して内2艇の引き波を回避してから、たっぷり余裕の入射角で舳先を捩じ込んでいた。これはもはや「宮地スペシャル」と名付けても良いのではなかろうか。ちなみに、明日の宮地の枠番は……はい、この流れで語る必要もないだろう(笑)。

 2着は差されながらも、インからしっかり残した重成。本人はとことん悔しいだろうが、明日は4号艇から十二分にSG初Vのチャンスあり。2012年のオーシャンカップは同じ境遇の準優で最悪の結果(フライング)を招いたことを思えば、太陽のように明るい4号艇と前向きに考えてほしい。そして、舟券を買う我々としては、明日の重成37号機が4号艇の4カド想定から展開一本で突き抜ける機力であることも、しかと肝に銘じておきたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)