BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――それゆけ115期!

 今節の一大勢力となっているのが115期勢である。総勢7名、しかもドリーム戦に2人を送り込んでいる。なんといっても関浩哉は1号艇! 115期も気づけば年長組の部類となっていて、それぞれがヤングダービーは常連。もはやSGの常連とも化している関を中心に、大暴れが期待される。
 それでも関は、ドリーム1号艇を「羽野キュンがいないから」と冷静に受け止めている。そう、今節はヤング世代唯一のSGウィナーである羽野直也が不在。たしかに選考期間の勝率では羽野が関を上回っているのであった。しかし、羽野がいたとしても関はドリーム2号艇だったわけである。そして抜けた存在ともなった羽野がいないのなら、関は堂々たる優勝候補筆頭だ。ドリーム記者会見では、実に淡々と決意を述べていた関だが、おそらく自分が置かれている立場をいろいろな意味でしっかり認識している。

 ドリームにもうひとり乗った115期生は仲谷颯仁で、こちらは羽野の盟友というべき存在だ。先日、ちょいと羽野と話す機会があったのだが、そのときも何度か「颯仁」の名前を口にしていたものだ。つまり、羽野のSG制覇に最も刺激を受けているのが仲谷のはずである。だから、羽野不在のヤングダービーに込めている思いも大きいと思われるのだが、今日はどこかドタバタしており、やや余裕のない様子と見えた。まあ前検日は忙しいのが当然ではあるので、明日の動きをしっかりと注視したい。

 115期生は好モーターを手にした面々も。三島敬一郎S評価の19号機を引いたのが豊田健士郎。ヤングダービー初出場となった19年三国大会でいきなり準優勝を果たしており、しかし昨年は初日1Rでフライングという痛恨をも味わった。試運転をいったん切り上げた豊田に声をかけたら、ニッコリ!「パワーは感じます!」とのことだったので、スタートにさえ気を付ければ去年の鬱憤は少なくとも晴らせるだろう。ただ、まったく合っていないということで「ノーハン(マー)はありえない!」と笑っていた。まあ、それも想定のうち、ということで、特訓前からプロペラ調整に励む豊田なのであった。

 ヤングダービー陸の主役である野中一平も、三島10基のうちのひとつを引いた。29号機だ。2連対率の数字は高くないが、三島が直線系を高く評価。攻撃的な野中のスタイルには合っているものと思われる。やはり試運転をいったん切り上げた野中にオッケーマークを作ってみたら、「いいと思います」と爽快に笑った。足合わせをした豊田とはほぼ一緒で、加藤翔馬には完全に分が良かったとか。我々が好評価しているモーターと伝えると、「来ちゃった? 流れが!?」とさらに笑みが深くなる。「最終日は自分の水神祭になるんじゃないの?」と煽っても、「ついに!?」とノリノリだ。だが、それにつづけて「淡々と走ります!」と実は浮かれていないようでもあったので、これは楽しみ。今年は陸の上はもちろん、水の上でも主役になれるかも!

 野中が「翔馬より良かった」と語った加藤翔馬も、三島10基のひとつ、42号機を引いている。ひとまず29号機より評価が高く、3番手のモーターである。野中と比較すると弱いのか……とやや心配にもなるが、前検航走後はステアリングバーを好感している様子だった。ステアリングバーはモーターとハンドルをワイヤーでつないでいる部品で、これが曲がったりしていると操縦性に難が出る。この部分に今日は問題があったというなら、この交換で機素性を発揮してくる可能性もあるだろう。これまた明日の動きには注視したい。

 そういえば、今日のレース場入り大トリの川原祐明も115期生である。慌てている様子だったレース場入りからは一転、落ち着いて作業をしていた川原。19年三国で初出場だったから、ヤングダービーの場数は十分。まだ結果らしい結果を残せていないので、今年はなんとか爪痕を残したいところだろう。

 そして、もうひとりの115期生がヒゲの佐藤隆太郎である。佐藤と初めて顔を合わせたのはいつだったか、とにかくその頃から礼儀正しく、丁寧に接してくる好感である。だから、ヒゲ面はなかなかのギャップを感じさせるという次第。今日もピットのど真ん中で突っ立っていると、佐藤がニコニコと歩み寄ってきて頭を下げてきた。こちらは当然、ヒゲをイジるというわけである。「もう最年長ですからね。陸でも雰囲気を出していかないと」と笑う佐藤。そうかあ、隆太郎ももうヤングダービー卒業なのかあ。登番では6番目だが、29歳だからこれがラストヤングダービー。陸の上で周囲を威嚇しつつ、結果を出したいところである。その意気や良し! ということで、勝利者インタビューや、もしかしたら表彰式などで佐藤のヒゲダンディズムを堪能してください!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)