BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――激戦!

 1Rは深川真二と西島義則が外枠に組まれるという番組。進入がどうなるのか、実に興味深い一戦だったわけだが、2号艇の井口佳典は2人の前付けを入れて4カドに引き、見事にまくり一撃を決めた。グランプリのトライアルなどで見せる、腹を据えてのコース獲りと気合の攻撃。まさに井口らしさ全開の快勝であった。当然、レース後の井口は破顔一笑。エンジン吊りで出迎えた磯部誠とともに、朗らかにレースを振り返るのだった。やはり気持ちのいい勝ち方のあとは、その雰囲気まで爽やかで気持ちがいい。

 その井口が向かったのは、谷野錬志のもとだった。昨日生配信したYouTube「展望BOATBoy」のチャット欄には、「谷野かわいそう」というようなコメントが並んだものだが、たしかに厳しい1号艇。これもまたボートレースというもので、谷野も覚悟を決めてインを主張したはずだが、しかし厳しいことには違いなく、井口もその胸中を慮ったということか。その谷野は中3レースで5Rに出走、レース後は速攻で装着場にあらわれ、ボートを下ろしている。悔しがるヒマもないほどのハードスケジュール。いろんな意味で厳しい日になってしまったが、反撃を期待したい。

 2コースを奪った深川真二は粘って3着。ピットに上がってまず声をかけたのが西島義則だった。西島はもちろんインを奪いにいったわけで、しかし深川も譲るわけにいかず、谷野-深川-西島の並びになっている。もちろん谷野にも声をかける深川だが、まずは大先輩に敬意を表した格好か。控室の途上では青木玄太が挨拶に来ているが、深川はカラっとした笑顔でそれに対応している。

 対する西島は、深川には右手を掲げて応えていたが、その後はやはり憤懣が表情に浮かんでいた。もちろんコースを獲れなかったことではなく、結果への不満であろう。西島は、中4レースで6R登場。大敗を巻き返すためにも急ぎ調整したいところで、谷野ほど速攻というわけではなかったが、ほぼ時間を置かずに装着場にあらわれて、ペラを外して調整に向かっている。この年でダービーに出られることが誇り、と開会式で語っていた西島。その動きを見ていると、とても61歳には見えませんね。まだまだ来年も再来年もその先も、この舞台にやって来るのだろうと思わせる若々しさである。

 2Rは、田中信一郎が3コースからまくり一閃。2マンシュウを叩き出した。昨日はやや冴えないレースぶりで、機力的に疑問が残る内容。コメントもネガティブなものだった。それを吹っ飛ばす快勝劇で、ピットに戻った田中の目は爛々としているように見えた。巻き返し成功にテンションも上がったのだろう。ただ、勝利者インタビューではやはり機力の苦しさを口にしていて、さらなる上積みが必要なようだ。調整の次の一手は何になるのか、その動きや明日の直前情報に注目したい。

 一方、5コースから出ていく気配ながら攻めきれなかった原田幸哉は、苦虫を噛み潰したような表情だった。一瞬は勝ち筋が見えたはずで、それを逃しての4着はやはり痛い。昨日が誕生日で結果を残せず、遅ればせながらのバースデーウィンもお預けでは、気分が晴れようもないだろう。パワー的には悪くないように見えるだけに、原田もまた次の一手が何なのかは気になるところ。それにしても、機力一息で勝ち、機力上々で負け、これもまたボートレースと唸りたくなりますね。

 機力といえば、昨日の展望BOATBoyで畠山が「厳しいモーター」でイの一番に上げたのが徳増秀樹43号機だった。その徳増が歩み寄ってきたので抗議か何かかと思ったら、「よく見極めましたね。昨日はひどかった」とのこと。その後に整備をしていたのは昨日のピット記事で書いた通りで、セット交換+キャリアボデー交換を行なったのだった。「少しは良くなってくれればいいんだけど……」と係留所へ向かった徳増。4Rは2着で、これは上昇気配か。今日の配信で畠山の評価はいかに……。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)