BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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W優勝戦 私的回顧

赤の美魔女

11Rレディース優勝戦
①守屋美穂(岡山・2位)04
②三浦永理(静岡・8位)12
③長嶋万記(静岡・3位)05
④遠藤エミ(滋賀・1位)06
⑤藤原菜希(東京・21位)06
⑥西橋奈未(福井・23位)05

 近況絶好調にして三国巧者の長嶋が、3コースからズバッと割り差した。素晴らしい切れ味! インコース守屋がややターンマークを外した感もあるが、それでも42歳の遅咲きの女傑を絶賛するしかない。しかも、この優勝賞金460万円を加算し、遠藤、守屋に続いて住之江GPシリーズの勝負駆けにも成功。賞金女王に臨む前に、屈強な男どもの胸を借りるステージも楽しみだ。

 ズバッと差された守屋は、2番手を追走しながら1マークのターン漏れを自省したことだろう。同時に、長嶋の切れ味に驚いていたかも知れない。守屋26号機の足色は日々しっかりと仕上がり、本人も昨夜のインタビューから自信満々。それだけに、自省のみならず長嶋35号機の回り足と長嶋自身の旋回力に舌を巻いたのではなかろうか。

「信じられません!」
 ピットに帰還した勝者は破顔一笑、インタビューにこう答えた。揺るぎない本心なのだろうが、レースそのものに信じられないようなアクシデントやハプニングはひとつも存在しない。圧倒的な本命に正攻法で立ち向かい、正攻法で打ち負かした。
 去年の勝率6.68⇒今年7.39
 40歳を超えて整備力もスタート力もターンスピードも上昇中。艇界に、新たな美魔女レーサーが誕生した。そうお伝えしていいだろう。

 さてさて、チャレンジカップの観点からすると、メイチ1着条件の藤原だけがチャレンジャーだった。優勝すれば下剋上のQCゾーン突入だったが、さすがにコースが遠く何もできずに敗れ去った。6日間の戦いの末、こちらのチャレカで下剋上は発生しなかった。
 薄氷のシリーズでギリギリ生き残ったのは、大瀧明日香。毎年この時期は12位前後で肝を冷やし、挙句に落胆するというパターンも多かったのだが、今年はなんとか苦境を乗りきった。1カ月後の多摩川では最底辺からの下剋上に期待したい。

★女子の賞金TOP12
1遠藤エミ
2守屋美穂
3長嶋万記
4渡邉優美
5平山智加
6三浦永理
7田口節子
8川野芽唯
9浜田亜理沙
10高田ひかる
11寺田千恵
12大瀧明日香

下剋上。

12R 優勝戦
①片岡雅裕(香川・32位) 19
②池田浩二(愛知・8位)    17
③峰 竜太(佐賀・2位)    19
④今垣光太郎(福井・21位)22
⑤山口 剛(広島・11位)   19
⑥茅原悠紀(岡山・4位)    23

 勝ったマー君を褒める前に……どんなアドリブが飛び出すか想像もつかない千両役者・光ちゃんが、昨日に続いて地元ファンの背筋を凍らせた。昨日はスリット、今日はピットアウトでドカ遅れ。

 4カド想定につき、必死にパンチ力をつけようと一心不乱に調整し、仕上げてみたらばバナレがスカッていた。そんな感じだろうか。とにかく、艇団からズルッと削げ落ちた光ちゃんはそろーりコースを奪還しに行ったが、まったく旨味のないスロー4コースが関の山だった。
 うーーーーーん。

 今節のアドリブは3日目まで良い方向で、4日目からは悪い方向へ。地元で気合パンパンだっただけにいつものSGより色んな光ちゃんが見られたが、やっぱ最後は勝っても負けても大好物のカドから発進するまくり怪獣を見たかったなぁ。
 ただ、今節の奮闘のご褒美として、暮れの住之江のプラチナチケットを入手したのは嬉しい限り。昨日今日のレースで心の奥底に溜まったであろうワダカマリは、もうひとつ上の舞台で心ゆくまで発散してくれるはずだ。それを信じて、まだこの大怪獣のことをよく知らないビギナーファンのために、簡潔なプロフィールを添えておこう。

まくり怪獣図鑑・番外編

『加賀の3カド怪獣』今垣光太郎

体長/161m
体重/52万トン
生息地/石川、福井、芦原温泉
好物/カド、特に3カド。
必殺技/「3カド全速シャクリまくり」
座右の銘/『平常心』
習性/非常にユニークかつ多岐にわたる
・三度の飯より3カドを愛し、隙あらば舳先を180度反転させる。
・あまりにカドが好きすぎて、あれよあれよと外艇を入れているうちに、2号艇でうっかり6コース単騎ガマシになったりする。
・カドを獲りきると握りっぱなしで獲物に襲い掛かり、捕獲態勢に入る前から全身を上下に激しく痙攣させて敵を威嚇する。
・穏やかなハコマクリより獰猛な絞めまくりが多く、一瞬にしてスロー勢を殲滅させる。
・6号艇のときはオラオラの前付けに動くことが多い。
・スタート特訓や展示で超ドカ遅れがままあり観衆を不安に陥れるが、いざ本番は逆にコンマゼロ台まで突出する。
・ならばと安心してアタマから買うと、時にありえないほどドカ遅れをやらかす。
・1号艇のときオレンジブイをゆっくり回って敵を見ない。大舞台で何度かインコースを強奪されたが、それでも見ないことが多いw
・時に大舞台のピット離れで遅れることがある(本日付けで追加w)
 うん、これらの習性を頭に入れておくと、住之江の大一番がよりいっそう楽しくなと思うのだが、どうだろうか。

 おおっと、気づいてみたら光ちゃんネタ一色じゃないかーー! 光ちゃんも賞金21位⇒17位の下剋上だったが、今節の下剋上MVPは、もちろん前日まで31位の片岡マー君で決まり!! 準優で得た千載一遇の1号艇を生かし、インコースからしっかりガッチリ逃げきり、賞金31位⇒10位へ20人をゴボー抜き。

 ここ一番で勝負強い男。
 近年、マー君にそんなイメージを抱いているのは私だけだろうか。去年のSG初優勝は超レアな6号艇6コース(決まり手は「恵まれ」)だったし、今年は2回しか優勝してないけどGⅡのボートレース甲子園と今日のSG下剋上だし。特に今節のゴボー抜きには強運ぶりを感じてしまったが、レース内容としては文句なしのイン逃げ完勝。単なる勝負強さだけではない、レーサーとしての真の強さをこそ讃えるべきだろう。色んな意味で、おめでとう、マー君!(photos/シギ―中尾、text/畠山)

★獲得賞金TOP18

1峰 竜太
2馬場貴也
3茅原悠紀
4石野貴之
5磯部 誠
6池田浩二
――――――
7桐生順平
8濱野谷憲吾
9羽野直也
10片岡雅裕
11山口 剛
12土屋智則
13毒島 誠
14深谷知博
15平本真之
16中島孝平
17今垣光太郎
18菊地孝平