BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

GPシリーズTOPICS 初日

“オーバー90”の台頭

 いやはや驚いたのなんの。インコースがすこぶる強い住之江水面で、開幕戦からいきなりイン選手が4連敗!!!! これだけでもビックリしゃっくりなのだが、もっとビックリしたのは1・2着選手の年齢だ。時系列で見てみよう。

【1R】イン上條暢嵩29歳がスリットから行き足が付かなかったところ、2コース石渡鉄兵49歳が断固たるズボ差し&4コース寺田祥45歳が二番差しでバック抜け出し②ー④決着。ワンツーの合計年齢は94歳。
【2R】イン桑原悠36歳が立ち遅れ、2コース西村拓也37歳がジカまくりを躊躇したところ、3コース井口佳典名人46歳が一気呵成のまくり一撃! 5コースから連動してまくり差した吉川元浩51歳が2番手に浮上し、あっという間の③-⑤決着。ワンツーの合計年齢は97歳。

【3R】インからコンマ04のスタートを決めた新開航27歳と4カドから強引にまくった枝尾賢41歳が大競りに。その間隙を付いて5コース山本寛久47歳~6コース萩原秀人44歳がズボズボと差し抜けて③-④のアウト決着。ワンツーの合計年齢は91歳。
【4R】イン坪井康晴46歳がギリギリ逃げきりかと思ったバック直線、4コースから差した白井英治47歳が鋭く伸びて2マーク先制。事故灯の点滅(山崎郡34歳の転覆)もあって、そのまま④-①決着となった。ワンツーの合計年齢93歳。

 1・2着の年齢を抜粋しよう。
1R=石渡49歳×寺田45歳
2R=井口名人46歳×吉川51歳
3R=山本47歳×萩原44歳
4R=白井47歳×坪井46歳
 うーーーん、実に壮観な壮年ラッシュ! この8人のうち萩原を除く7人がマスターズ世代だから恐れ入る。14年ほど前に松井繁が「男は40を過ぎてから」と金言を口にしたが、今や「男は45を過ぎてから」が主流なのか?? ちょいと視点を変えると、「かつてグランプリで活躍した面々が今年は賞金19位以下に甘んじ、シリーズ戦で大暴れ。ある意味、トップ級世代の交代が進んでいる」という意地悪な見方もできるのだが、今日のところは素直に壮年レーサーの大健闘を称えましょ♪

 さて、5Rでインコースの連敗が止まったものの、逃げた森高一真も45歳でなんとなんとマスターズ世代が開幕5連勝!!!!! 6Rは①長田頼宗38歳が逃げて一矢報いたけど、7Rは瓜生正義47歳、8Rは松井繁54歳、9Rは白井英治47歳がインから勝ちきり、シリーズ10戦中8つの勝ち星をマスターズ世代が占拠した(ちなみに10R特別戦はマスターズ世代ゼロ)。もしかしたら今年のシリーズ戦の優勝戦は、マスターズチャンピオンのそれとほぼほぼ同じ面々になったりして??

 もうひとつ、シリーズ戦のTOPICを挙げるなら「女子コンビの奮闘」だな。まずは5Rの守屋美穂。4コースから的確な差しハンドル~2マークは過不足のないスピードでまくり差してしっかり2番手を取りきった。

 何度も書いてきたが、ここ数年で守屋がもっとも上達したのがこの2マークの冷静的確な捌きだと確信している。2マークの手前までは攻めすぎず守りすぎず、行くと決めたら勇猛果敢に艇団に突っ込んでいく。この攻守の塩梅がSG経験とともに絶妙になり、今日も男どもを手玉に取るような捌きハンドルに見えた。相棒の29号機は三島十五傑に名を連ね、今日の2マークも「ターン回り~出口の押し足が強力」という下馬評どおりの見え方だった。鬼に金棒は言いすぎかも知れないが、この女傑が歴代ふたり目のSGウイナーになったとしても、私は1ミリたりとも驚くことはないだろう。

 続く6Rでは紅ニ点コンビのふたり目・長嶋万記が2コースからしっかり差して2着を取りきった。2号艇の2着だからして特筆すべき成績ではないが、2マークで他艇に絡まれる前に迷うことなく握り倒したあたり、やはり成長を感じずにはいられない。一瞬にして後続を3艇身ほども千切った71号機のレース足もなかなかに天晴れだった。42歳にして進化し続ける美魔女レーサーが、今節の台風の目になるのか。守屋とともに、遠藤エミの穴を埋めて余りある活躍を魅せてもらいたい。(photos/シギ―中尾、text/畠山)