「あなごの匂いしかせん~~~」
寺田千恵が整備士さんに訴えていた。あなごの匂い? テラッチはさらに「もろ向かい風よね~~」とも。ふむ。ピットではマスク着用なので気づかなかったが、選手のいない場所でちょっと外してみたら、あらら、本当にあなごの匂い。というか、蒲焼きの匂いですね。
最寄りである宮島口の駅前にある、あなご飯の名店「うえの」さん。宮島の水面から見ればちょうど1マークの方角にあたる。ちょうどお昼時だから、あなごを煮ているのか蒲焼きにしているのか、その匂いが1マーク方面から風に乗ってピットまで届いてるんですね。いや~、腹減った! というわけで、あなごの匂いがしたら向かい風というのが宮島のセオリー。明日など宮島本場にお越しの方はぜひあなご飯をお召し上がりください!
ようするに、天気は良く、気温も快適。予選も終わってちょっとのどかな空気なのである。準優組も多くは本格的に動き出してもいないから、まだピリピリ感も薄かった。そんななかですでにボートを下ろしていたのが、まずは守屋美穂。予選トップの強豪が、早くもペラ調整と試運転で万全を期しにかかっている。間違いなく節イチだと思うのだが、まったく抜かりがないのである。
遠藤エミも、いつも通りにボートが係留所にあった。これはもうルーティンと言うべきであって、モーターが出ていようが出ていなかろうが、変わることのない遠藤のスタンスである。もっとも今節はかなり機力に苦しんでいるだけに、調整のピッチはいつも以上に上がっていると言える。おそらく11R発売中、ボートをピットに移すギリギリまで、遠藤の奮闘は続くはずだ。
もうひとり、ボートが係留所にあった準優組が戸敷晃美。今節のシンデレラガールとも言うべき存在である戸敷が、早くも優出を目指して動いているわけだ。
プロペラ調整室で姿を見かけた準優組といえば、日高逸子や香川素子、岩崎芳美などベテラン勢が目についた。日高はエンジン吊りが終わると小走りでペラ室に直行し、すぐさま調整を始めるなど、きびきびとした動きが印象的。香川は、やはり準優組の落合直子と並んでペラを叩いており、近畿勢同士、情報を交換しながらの調整といったところか。
2R発売中、岩崎は調整の手を止めて係留所に降りていった。ボートは装着場にあったから、何しに行くんだろうと訝っていたら、1Rを走り、いったん着替えを終えるとすぐさまボートを下ろした井上遥妃に係留所から手を振っていた。井上は岩崎がいた場所にボートを移し、つまり岩崎は「はるひ~、ここが空いてるよ~」と合図を送っていたわけだ。井上はペラを外すと、岩崎とともに調整所へダッシュ。どうやら岩崎は自身の調整のかたわら、井上にもアドバイスをしていたようだ。ちなみに、井上らが調整所へと向かったあと、平山智加が丁寧にカポックを置き直してあげてました。先輩たちが気にかけてるんだなあ、はるひちゃんを。
まだ本格的に動き出していない選手で気になるのは土屋南。昨日はチルト3度で勝負駆けをクリアしているわけだが、今日は果たして? 装着場にあったボートを見ると、現時点で明らかに跳ねてました。櫻本あゆみのボートが隣にあったのだが、昨日までチルト0で櫻本は走っている。ギアケースの傾き方が明らかに違うんですよね、両者の。チルトアジャスターを確認するまでは憚られたので、はっきり視認できてはいないが、土屋はまずはチルトを跳ねた状態で調整を進めるのは間違いなさそうだ。
もうひとり、實森美祐が昨日のYouTube「週刊BOATBoy」のインタビューに登場してくれて、1号艇では緊張するとこぼしていたのだが、今朝の様子はたしかに緊張気味に見えました。お礼の挨拶をすると笑顔を返してはくれたが、なんかちょっと硬い表情にも思えたのだ。地元ビッグの準優1号艇、緊張するのが当然。もちろん實森自身も、これを乗り切らねばならないと腹を据えている。気合の入った戦いを楽しみにしよう。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)