BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――快!

 快勝爽快! 前田将太がドンピシャの2コースツケマイで激勝した9R。ピットに上がってきて九州勢に出迎えられると、前田は少し照れ臭そうに笑みを浮かべていた。その後にはまくられたインの上條暢嵩に「完璧なタイミングだったじゃないっすか~」と抗議(?)されたほどの、百点満点のツケマイ。会心の勝利ではあるけれども、だからこそ呵々大笑というより「自分でも信じられないっす」的な表情になったということだろう。

 その前田に「もう~、ちょっと嫌い!」と突きつけたのが大上卓人。大上は4カドからいい気配で伸びていき、いざ攻めんという態勢だったのだが、前田が先攻めとなったことで攻め筋がかぶり、後退を余儀なくされている。うん、そりゃ嫌いになるよね(笑)。しかしこれは前田にとって最高の誉め言葉。「勘弁してくださいよ~」と返して、二人して大笑いと相成り、それからは長く感想戦を交わしていたのだった。ようするに、敗れたほうも脱帽という勝ちっぷりを前田は見せたのである。

 10Rは毒島誠が逃げ切ったが、これはまさに薄氷の勝利だった。差した山崎郡がバックで伸びて舳先を掛けてきたのだ。これを毒島は軽く締め込むことで封じ込めて先行。まさしく絶妙にして巧妙。パワーを発揮してきた山崎に対して技ありの勝利だったわけだ。これぞ格上の妙技、というべきだろう。レース後の毒島がそういう手応えを得ていたのかはなんとも、ではあるが、堂々たるたたずまいはまさしく強者のそれだった。

 一方の山崎もしてやられたという感覚だったのだろうか、わりとサバサバとしたレース後であった。松井繁に声を掛けられて、笑みをこぼす場面もあった。もちろん、足的な手ごたえは確実につかんだはずで、あとはそれをうまく活かして巻き返しを図りたいところである。明日からの快パワー発揮に期待しよう。

 山崎も噴いているが、8号機・新開航も素晴らしい! 11Rはコンマ02の踏み込みから一気に内を沈めるまくり一撃! これで今日は連勝である。エース機の評判に違わぬ活躍! 2R逃げ切り後もペラ調整に余念がなかった新開。すでに書いたように前操者が独特なペラ調整を施す西田靖だから、自身の乗り方に寄せるにはある程度時間が必要なのだ。11Rの勝ちっぷりを見るに、今日一日の調整でかなりいい線まで仕上がったのではないかと思われる。こちらも明日が楽しみで仕方がないといったところ。

 また、同期の宮之原輝紀も7Rで6号艇から2着に入り、かなりいい雰囲気の足色を見せていた。2マークで内を小回りして2番手浮上したあたり、彼の旋回力を存分に生かせる足色とも見えたものだ。それでも宮之原はまだまだ緩めない。レース後はすぐに水面に降りていき、試運転と調整に励んだ。初戦6号艇2着はかなり大きいと言うべきだが、それでも満足することなく、さらに万全を期そうと仕事をやめなかったのである。今日は1号艇で大敗を喫してしまった板橋侑我にしても後半は5号艇で3着と悪くない足色で、やはり118期勢が今節は台風の目になりそう! 羽野直也につづく20代のSG制覇もおおいに可能性があると見たぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)