戸田の絶対エースと名高い8号機。三島敬一郎もS評価を授けており、数字を見れば唯一の2連対率50%オーバー。これを引き当てたのは新開航! というわけで、その動向がおおいに注目されるわけだが、新開、めちゃくちゃ叩いてました(笑)。まだボートを下ろす前にペラ調整所に陣取った新開は、まるで親の仇かというくらい、あるいはペラを破壊しているのかと見紛うほどに、ハンマーを強打していたのだ。それもそのはず、前操者は独特の形に仕上げる西田靖。新開と同じ形状のわけがない。というか、新開は一見してその形に混乱したはずだ。ならば、自分の形に叩き変えるしかない、ということで、前検航走まで時間がある身(登番は下から5番目なので、前検班は最終9班)、叩けるだけ叩こうということだったのだろう。それがどんな動きを導き出したのかについては、畠山のチェックに委ねるが、タイム測定とスタート練習を終えたあとにも、調整所にこもった新開であった。
同期の宮之原輝紀も、三島10基にあげられている40号機をゲット。いいの引いたね、と声を掛けると、表情は明るいながらも「ペラが特殊すぎて、僕のゲージでは調整もできない」とのこと。前操者を調べると、これが和田兼輔。そうかあ、ワダケンもチルト跳ねたりするからなあ。実際、その節間には戸田のマックスである0・5度に跳ねたレースもある。旋回勝負の宮之原にはないスタイルではある。もっとも、書いた通りにまるで悲壮感はなく、今日は大きな調整をしている様子もなかった。まずは1回レースをしてみる、という判断かも。
もうひとりの同期生、板橋侑我も三島10基のうちのひとつ、18号機を引いていて、118期勢の大暴れに期待したくなるわけだが、板橋派といえば、新開が叩いている隣でペラ調整。といってもこちらは新開に比べれば微調整に見えるほどの叩き方で、そこまで独特な形状ではなかったということか。18号機は2節前に山崎郡が引いており、今節は山崎にアドバイスを求めるシーンも見られるかもしれない。
まだレースをしていない前検日だから、好モーターを引いた選手は表情が明るくなるのも当然というもの。これまた三島10基のひとつである30号機を引いた上條暢嵩も、じつに穏やかな顔つきでこちらに挨拶してくるのであった。上條自身、ある程度の情報は得ているようで、自分も良機を手にしたことはわかっていて、同時に8号機や42号機がトップ級ということも聞いていたようだ。42号機は盟友の山崎郡が引いているし。でも、30号機もBOATBoy的には評価高いよ、と告げると、上條は破顔一笑!「それは期待できますね!」と弾んだ声で去っていったのだった。乗ってみたらダメだった、なんてことがあったら我々の見識が疑われてしまうわけだが(笑)、しっかり仕上げて活躍してくれることを期待します!
ところで、今日は本体を外しての整備をしている選手がやけに目についた。前検日にここまで多くの選手が外しているのはかなり珍しい。キャリアボデーの交換をしていた選手もいるので(長田頼宗)、必ずしも本体整備とは限らないが、それにしてもちょっと驚く光景であった。
ドリーム1号艇の石野貴之もその一人。表情が暗いとか、焦燥感が見えるとか、そういうことはまったくないのだが、どちらかといえば前検日には徹底してペラと向き合うタイプではあるだけに、少々気になるところではある。明日も12R1回乗りだけにたっぷりと時間をかけて調整をすることになるのか。
他には、新田雄史、中澤和志、椎名豊などなど。地元の中澤が本体をバラしていたのは、あるいは戸田ならではの調整があるということだろうか。椎名は前検航走を終えてエンジン吊りを終えると速攻で本体を外しており、その様子が足色への不満をあらわしているようであった。
あと、毒島誠が本体整備用のテーブル回りにいたので、こちらも本体整備があるのか? 最後まで確認し切れなかったが、やはり気になるところではあった。いま名前をあげた面々については、レース前の直前情報をぜひご確認ください。いずれにしても、今日の感触はいまいちだった可能性もあるので要注意。
そうしたなかで、前検日に本体を割ることも多々の赤岩善生が外回りの調整(キャブレターやリードバルブ)をしていたのが、かえって新鮮なのだった。赤岩の作業を最後までチェックしていたわけではないので、その後に割った可能性もあるにはあるが、すぐに本体を割らなかったのは確かで、感触は悪くなかったのではないかと推察される。明日は10R1回乗りなので、朝から割っている可能性もまたあるわけだけれども。
さてさて、今節の大きなトピックのひとつが中田竜太と浜田亜理沙の夫婦同時参戦。二人は前検同班で(7班)、同時にタイム測定とスタート練習を終えたあとは、報道陣に囲まれまくりなのであった。はい、我々もその類でありまして、YouTubeとJLCで放映される「展望BOATBoy」では揃い踏みのインタビューを収録しております。ぜひご覧あれ! 感触についても聞いてますよ。
あと、地元のエース桐生順平は入念なギアケース調整を行なっていました。地元での調整は当然知り尽くしているなので、ドリームは6号艇でも軽視禁物かも!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)