BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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戸田クラシックTOPICS 2日目

通勤快速エミ

 前検日の朝、赤羽からうっかり埼京線の“通勤快速”に乗ってしまい、戸田公園駅スルーで武蔵浦和まで流された畠山ですぅ><
 と、当欄らしからぬ書き出しになったが、あの非情な通勤快速くらい半端なく速かったのが8Rの遠藤エミだ。2コースからインの土屋智則を差しきるやいなや、脇目も振らずに飛ばすわ飛ばすわ。あっという間に後続の“各駅停車組”を置き去りに、ブッチギリでゴールラインを通過した。

「は、はえぇぇ!!」
 こう叫んだ瞬間、私はとあることを思い出した。来年から新設されるプレミアムGI『スピードクイーンメモリアル』の選考基準だ。ざっくり「2023年12月1日~24年11月31日の1年間で、全国24レース場のもっとも速い上りタイムを叩き出したのべ24人の女子レーサーに優先出場権が与えられる」ってな感じ。
 も、も、もしかしたら、エミちゃんはコレを意識してタイムトライアルに挑んだ??
 公式の勝ちタイムが出る間に、昨日までの戸田の女子トップ時計をチェックしてみた。
【戸田1位・原加央理 1分48秒0】
 もしも今日のエミがこの数字を塗り替えれば、とりあえず“戸田の暫定1位”という立場に君臨する。これを知った数分後に、エミの勝ちタイムが発表された。
 1分47秒5!!!
 やはり、地元の原加央理嬢の記録をコンマ5秒も抜き去るトップ時計。さらに驚くべきは、異次元の上りタイムを叩き出すことで有名な7R毒島誠の1分48秒6を、あろうことか1秒1も千切り捨ててしまった。タイムアタックをしたかどうかはともかく、ブス君をここまで置き去りにするあたりは「さすがクラシック・クイーン」と絶賛するしかない。

 で、さらに調べてみたらば、通勤快速エミはすでに大村でも暫定1位の座を確保しており、その時計は1分47秒4。選考ルールとしては「複数のレース場の1位になった場合、より速い場の代表になる」的な文言があり、現在のエミは【暫定・大村代表】という立ち位置になるらしい。
 さてさて、果たしてエミがタイムアタックをしていたかどうか。それは12Rを終えた現在もわからないのだが、彼女がSG覇者であることを踏まえれば「新設PGIのためではなく、予選の着順位が同じだった場合に備えてのタイムアタック」だったのではなかろうか。

【参考データ/スピードクイーントライアルの暫定トップ保持数】

1位・浜田亜理沙=4場(平和島・蒲郡・尼崎・宮島)
2位・遠藤エミ=2場(戸田・大村)
   守屋美穂=2場(住之江・児島)
   竹井奈美=2場(多摩川・とこなめ)

 嗚呼、なんだか今日はSGクラシックの中枠とは無縁の話になってしまった。最後に2日目を終えてのパワー評価をざっくりアップしときまーす。

独断パワー評価

上位~抜群候補

★★山崎郡42号機=おそらく今日の5Rはどちらかといえばバランス型。昨日までのスリットから突き抜けるようなパンチ力がダウンした代わりに、ターン回りでのロスが減って安定感のある仕上がりだった気がしてならない。伸びフェチ・まくりフェチの私としては、昨日までの狂暴なスリット足にしてもらいたいのだが、もう戻ることはないのだろうか。

★★新開航8号機=今日は逆にコッチがチルトを+0.5まで跳ね上げて、6コースから獰猛に仕掛けられる仕様にシフトした。結果としては不発の4着ではあったが、開幕2連勝からのイケイケの強気チャレンジは好感が持てる。超抜パワーも含めて有力なV候補だ。

★宮之原輝紀40号機=昨日は6コースから完璧なレース運びで2着をもぎ取り、今日の5Rはインから白井、桐生らGPレーサーを寄せつけない豪快なイン逃げ。ホーム追い風が吹いていた中での上りタイム1分48秒2は、直前の峰をコンマ1秒上回り、確かな成長を感じさせるイン逃げでもあった。背中を押す40号機も力感が溢れている。

★吉川元浩36号機=11Rは5コースから道中から握って握って握りまくって3着GET。その若々しい走りっぷりにも惹かれたが、スリット近辺の行き足や全速ターンを補足するサイドの掛かりなど、機力面でも不気味なオーラを感じさせた。Vまであって不思議じゃないぞ。

★峰竜太46号機=前半4Rは3コースからあまりサイドを掛けない全速マイでバック先頭に。出口からイン三嶌誠司をスーーーッと追い抜いていく様は、圧巻としか言いようがない。ただ、後半10Rは後方からほとんど追い上げが利かず、回転が合っていない印象をもったがどうだろうか。現時点で優勝して不思議のない足だとは思っている。

下位~ワースト候補

▼赤岩善生37号機=前検からさまざまな部品を交換するなど赤岩らしく精力的に整備を進めているが、現状ではまだ答えが出ていない見え方。本体の底力がかなり厳しいのかも。

▼中島孝平61号機=行き足~伸びがやや劣勢なのはいつものこととして、今節は生命線の出足・回り足もかなり弱そうだ。

▼菊地孝平50号機=展示タイムは良化したが、スリット前後で両サイドから伸びられる見え方は昨日までと変わっていない。道中でも追い上げが利かず、ワースト候補の一角。

昨日より上昇ムード

↑中澤和志83号機=前検から頼りない足色と思っていたらば、昨日はセット交換後にイン逃げ~今日はギヤケース交換とともに5コースまくり差し一撃で無傷の2連勝!! 正直、機力的にノーマークと思っている間に、暫定ながら予選トップに躍り出た。もちろん、地元の利×部品交換による底上げも含めて、もはや軽視できる存在ではない。

↑中田竜太23号機=昨日はワースト級の一角と思えるほど進んでなかったが、今日になって一変。全部の足がアップして中堅上位あたりだと思う。

↑椎名豊59号機=ターン回りはずっと頼りない見え方だが、クランクシャフト交換などで生命線のスリット足が大幅にアップ!? この部分さえ来てしまえば常にスリット一撃のあるまくり怪獣だけに、明日以降は厳重警戒が必要だ。

特筆すべき人機

?三嶌誠司9号機=昨日は猛烈な3コースからのツケマイで圧勝⇒今日の12Rも5コースから怒涛の絞めまくり攻勢で大波乱を演出! 9号機は下馬評の低いモーターでもあり、おそらく機力より気力で攻めたてている気がするのだがどうか。言うまでもなく、徹底的に自力で攻める姿勢は明日以降も要注意!

?毒島誠27号機=本人は前検から泣きっぱなしも、フタを開けてみたらば311着の好発進。さすがの剛腕と唸るしかない。ただ、毒島の機力のバロメーターと呼ぶべき上りタイムは2勝ともに平凡で、機力そのものへの過信は避けるべきだろう。

?前田将太43号機=昨日の9Rはパワフルかつスキルフルな攻撃で圧勝。勝ちタイムも昨日のトップだったのに、今日も含めた前後のレースはなす術なく6着大敗。実に悩ましい凹凸だが、底力的にはAランクだと思っている。(photos/シギ―中尾、text/畠山)