BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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いきなりギリペラ!? いきなり整備!?の前検日ピットから

 スタート練習とタイム測定の開始を告げる「1組、乗艇してください」のアナウンス。ピット内に響き渡ったその時、西橋奈未が大慌てでペラ調整室を飛び出した。前検からギリペラ! 1組(1班)はドリーム組で、西橋は6号艇。1~5号艇の5人が乗艇し、モーター始動の合図を待つなか、西橋はようやく係留所に辿り着いて、ペラを装着するのだった。ちなみに、香川素子と佐々木裕美が心配そうに寄り添って見守っていました。
 西橋はこれが宮島3節目。前回は2019年10月~11月だから4年半前となる。「まだスローに入ってない頃だったような……」と西橋は記憶を手繰っていたが、実際はインにも入っていました。その前、つまり宮島初参戦時は1号艇が回っておらず、おそらくそのときと記憶がこんがらがっていたのだろう。それくらい宮島を走った記憶は曖昧で、しかも今回は新ペラになっていた様子。ギリペラになっても致し方ない、そんな状況なのである。

 好対照なのは、西橋と同期で、宮島を何度も何度も走ってきた地元の實森美祐。ピットの配置や導線など考えずとも身体に染みついている。そして引いたモーターの前操者は大先輩の辻栄蔵で、前検から焦ってプロペラを叩く必要は皆無なのである。会見での口ぶりでは、むしろ辻先輩の仕上げたプロペラで走るのが楽しみという様子でもあった。實森といえば、2年前のSGオールスターでこの宮島をおおいに盛り上げたのがいまだ記憶に鮮明。エース機を相棒に、毒島誠を豪快に沈めるなど快進撃を見せて予選を突破している。「今回はあのときと同じくらい、ドキドキワクワクしている」とのことで、辻仕様のペラがハマれば今回も活躍は必至か。明日のドリーム戦は敵として対峙する實森と西橋だが、今節はお互いに励まし合いつつ、ともに奮闘する様子が見られることだろう。

 ドリーム組では、浜田亜理沙と平山智加が会見で好コメントを残している。浜田は元広島支部で、今でもピットの職員の方たちに声を掛けてもらえるため、実にリラックスして戦える水面だという。そして前検の気配も「いいと思います」と好感触で、意を強くしてドリーム戦に臨めそうだ。

 平山は「こんなに乗り心地が良かったのは久しぶり」と声を弾ませている。引いた17号機の前操者は同期の船岡洋一郎で、「船岡くんありがとう、ですね」と言ってニコリと微笑んだ。宮島のモーターは前検では重く感じられがちだと言う評判なのだが、そのあたりを感じなかったとするなら、これは実に頼もしい。明日になって、また気候によって調整が必要になってくるのだろうが、今日のイメージがひとつのアドバンテージにはなってきそうだ。1号艇の守屋美穂がエース機を引いて話題を呼びそうだが、浜田と平山の感触がいいのであれば、決して簡単なイン戦とは言えまい。

 ところで、整備室では海野ゆかりが本体を割っていた。前検日から本体を分解しての整備というのはそう数多くみられるものではなく、特に女子戦ではかなり珍しい光景だと思う。もちろん感触が悪いから整備をするわけだが、これも地元の気合と考えれば腑に落ちる。調整の方向性は知悉しているはずだし、またアドバイスを送っている整備士さんとも心安い関係とあれば、上向く可能性はおおいにあると言うべきだろう。

 さらに、津田裕絵も本体を割っていたのだから、少々驚いたというか、僕が見てきた女子戦の前検日としてはかなり新鮮な光景である。津田も準地元ではありますね。宮島の整備士さんたちは整備に対するこだわりも強く、また腕利きが多いという評判。上級整備士の上阪さんにはBOATBoyでも大変お世話になりました! 彼らの助言を得ながら、本体を割る選手が今節は数多く見られるのではないか、という予感もしてくる、海野と津田の前検日整備なのでありました。

 そうそう、今日の21時からYouTubeで配信される「週刊BOATBoy」の突撃インタビューには寺田空詩が登場ですよ! 評判機のひとつである75号機を引き当て、今日の気配は「伸びがいい」とのこと。これは父親譲りの豪快なレースが期待できるかも!? ぜひぜひYouTubeもご覧くださいませ~!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)