BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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地元の利が見えたピットから

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「竜矢~~、どこで調整したらいいとかある?」
 河野主樹が同期の高橋竜矢に問いかけた。高橋はここ宮島が地元。121期の河野は、宮島での出走がそれほど多くはない(デビュー以来21走。3節くらいか)。係留所は場所によって高さに違いがあるようで(水の上に浮かんでいるフロート式の係留所で高さに違いが生じるのが感覚的には理解できないのだが)、ニードル調整を行なう際に適した場所があると聞くことがある。地元選手はそのあたりを熟知しているのだろう、言われてみればレース場によって「あ、あの選手がまたあの係留所で調整している」というのに気づくこともあったりする。ということで、河野は高橋にアドバイスを求めたというわけだ。

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 で、高橋が指さしたほうを見ると、宗行治哉が調整中。なるほどー、そのへんがいいわけね。実際、スタート練習のために宗行が入らなければならないのは別の場所。ようするに班ごとに1~6号艇の順に並んで入るべき場所が決まっていて、6班5号艇の彼にも然るべき係留所があるわけなのだ。それでも、あえてその場所にボートを持っていったのだから、そこで調整する理由があるわけだ。なるほど、こういう点でも地元の利というのはあるのだな、と感心する。

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 で、その場所を河野に教えた高橋だが、ちょっとした異変が。係留所にボートを入れたはいいが、モーターに異常があったようだ。レスキューが出動して、高橋のボートを曳航移動。いったん陸に上げると、ボートごと整備室へと入っていった。様子をちらり覗き込むと、キャリアボデーのボルトを締め付けているような動きに見えた。もちろん本体も外していて、そちらに何かを施したかは不明ではある。結局、高橋が組み込まれていた7班のスタート練習とタイム測定には間に合わず(7班は4艇立てで行なわれた)、最終8班のそれにも間に合わなかったので、高橋は一人ぼっちでスタート練習とタイム測定を行なっている。畠山はどう見立てた?……って、さすがに1艇走りでは他との比較は無理か(笑)。で、ピットに戻ると整備士さんが「明日整備考えよう」と声をかけていて、やはりさらなる調整は必要な様子。宮島には知る人ぞ知る名整備士・上阪さんがいるので、明日は上阪さんのアドバイスを受けながら、高橋は整備に励むのだろう。地元の若い子の整備だけに、上阪さんが彼を見守る目も熱くなりそうだ。

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 前検の班分けは登番順であるゆえ、前半の班に入るのはレディースが大半。早々にスタート練習とタイム測定を終えるので、整備室は女子選手ばかりという時間帯が生じるわけである。ギアケース調整は長嶋万記。これは前検日のルーティンでもあるだろう。実に手際よく作業を進め、その後はプロペラ調整に取り掛かっていた。

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 ペラ調整室も女子選手の姿が圧倒的に多い時間帯があった。1班で前検航走を終えた海野ゆかりが、さっそくこもってペラ叩き。走り慣れた地元戦、調整の方向性はばっちり掴んでいることだろう。高橋のひとりぼっち前検が終わってもまだペラ室にいたので、かなり調整が進んだものと思われる。

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 今井美亜も、タイム測定等のあとはじっくりペラ調整。女子戦では常に見かける光景ではある。その今井に「BOATBoy復刊おめでとうございます!」と行ってもらいました! 美亜ちゃん、ありがとう。ペラ調整をしていた選手は他にもいるけど、嬉しかったので美亜ちゃんについて書きました(笑)。

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 あと、テラッチがレンズを向けたこちらに手を振ってくれました! いつも中尾カメラマンには手を振ったり変顔したりしていて、私は無視されるのですが、今節は中尾が不在なのでお相手してくれたのでしょうかね。それでも嬉しいものです。三島の評価が高い11号機を引いたテラッチ、評判通りに感触が良く、余裕があったのかもしれませんね。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)