BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

春の祭典が爽やかに開幕!の初日前半ピットから

 今年2度目のレディースオールスターは、今井美亜のイン逃げで開幕! F禍があって以降、振るわない成績に苦しんできた19年クイクラ覇者。そろそろ復活のノロシを上げてもらいたいところで、このオープニングウィンはそのきっかけになるかどうか。
 そういうこととはあまり関係ないだろうが、今井をはじめ、出迎えた面々がとにかく笑顔にあふれていたレース後である。中谷朋子、香川素子のベテランや、盟友とも言える遠藤エミらの近畿勢はもちろん、岩崎芳美も笑顔で拍手! 春というか初夏に移動となったこの大会、この季節らしい爽やかなレース後なのであった。その意味で今井はオープニングウィナーにふさわしかったかも!

 同じクイクラウィナーで近況苦戦気味といえば、松本晶恵。今期はまさかのB1級で、その表示自体が信じがたい。2Rは見せ場を作れずに5着に敗れ、今井とは対照的に鬱々とした表情で戻ってきている。肩を並べて歩く櫻本あゆみも落ち込んだような表情をしており、それでも明るく激励したりもしていたのだが、松本の視線は下を向いたままで、首を傾げるばかりなのだった。開会式ではパフォーマンスで盛り上げてくれる松本。なんとか水面でも彼女らしい走りを見せてほしいところ。

 2Rでは前回覇者の渡邉優美も表情を硬くしていたのだった。2番手3番手争いで遅れをとり、3番手を走る喜多須杏奈を攻め立てたものの及ばず。足的にも喜多須よりはやや劣勢と見えていただけに、暗鬱な顔つきになっていくのも無理はない。ほんの2カ月半ほど前、最高の笑顔を見せていたことを思えば、まさに暗転。もっとも、その前回大会も序盤は大きな着を獲りながら、盛り返しての優勝であった。ここからが本領発揮といきたいところだ。

 その2Rで松本や渡邉と好対照だったのが、逃げ切った津田裕絵。爽快に笑みをこぼしていたのだ。昨日もお伝えしたとおり、いきなり本体を割る整備をしていた前検日。その内容はピストン2本、ピストンリング4本、シリンダケースの交換、すなわちセット交換! ひとまずはこの整備が奏功した格好となって、安堵もあっただろうし、達成感みたいなものもあっただろう。これまでの女子戦を見ていると、整備で結果を出す選手があらわれると続々と続く選手が出てくる傾向にあるように思える。津田に続けと大きな整備に着手する選手もいるだろうと想像されるわけだ。

 ところで、1Rで3着だった神里琴音は、大袈裟に言うなら、その後は走っている姿しか見かけないのであった。真っ先にエンジン吊りを終えて控室へと戻っていき、ともに戦った選手が控室へ引き上げるのとすれ違うようにピットへと走ってカムバック。そして装着場を走り回ってエンジン吊りをヘルプした先輩たちに頭を下げ、さらには係留所へと駆け下りて行き、係留所でも縦横無尽に走って走って、やはり先輩たちに挨拶。終わるとダッシュで装着場へと戻り、自艇へと辿り着く。ようするに、後半は5Rで、時間に余裕がなかったわけである。19歳の彼女がこの駆け足で疲労困憊するとは思えないけれども、しかしなかなか大変そうであった。

 オープニングセレモニーでは、その神里の年齢を3倍しても自分には届かないと自虐ネタで盛り上げた日高逸子。たしかにそう考えると、これだけの年齢差、キャリア差のある二人が大舞台で剣を交えるというのはなかなか凄いことである。この若さでここに辿り着いた神里も凄いが、還暦を超えてなお元気いっぱいの日高はなお凄い。なんたって、2Rで2着に入り、エンジン吊りを終えると、駆け足で控室へと戻っていったのである! 日高のほうは後半は9Rだから、時間はたっぷりある。それでも駆け出すグレートマザーの姿にはもう感服の一語であります! 初日序盤から素敵なシーンを見たなあ。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)