BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――色付きモーター

 ピットに入って、声が出てしまいました。モーターのナンバープレートが紫! 色付きプレートが一気に増殖していたので、驚いたのだ。そう、これはもちろん準優組のモーター。昨日のレース後なのか今朝まだ選手が入る前なのか、18人のプレートを特別なものに換えたわけですね。こういったわかりやすい演出、好きです。願わくば、今日の準優で負けてしまった選手も明日はそのままにしておいてほしいですね。準優進出ということはおおむねモーターの仕上がりがいいわけですから、明日だけ参戦というファンの方も出てるモーターがわかりやすいでしょ。もちろん色が付かないモーターからの穴狙いってのも一興でしょうし。

 それはさておき、これはこちらにとっても好都合で、つまり準優組の動向がわかりやすいのだ。ピットに入ってこれに気づいたときに数を数えてみたら、16コ。ということは2艇が装着場にないということが一発でわかるわけです。探しに行くと、まず係留所に今垣光太郎の姿が。今日は朝のスタート特訓に何人かの準優組が参加していたが、今垣はそのまま陸に上げずに係留所につけたのだろう。僕が見たときには、操縦席に乗って回転調整をしているようだった。

 あと1艇は……と探していたら、篠崎元志が整備室からボートを押してあらわれた。ボートごと持ち込んで整備をしていたということだろう。ただし、室内の掲示板に元志のモーター=58の表示はなかった。本体整備やキャブレター、ギヤケースを調整すれば表示されるので、それ以外の調整だったということだろう。

 ふと視界の隅で紫プレートが移動した。そちらに目を向けると、宮地元輝がボートを着水しようとリフトに向かうところだった。このあとの宮地を観察していたら、実にこまめに着水、陸揚げ、着水、陸揚げを繰り返しているのだった。水面に降りて試運転を1、2周し、それをもとにペラを調整し、また水面に降りて走り、また上がって調整、という繰り返しである。係留所にボートをつけるのではなく、調整のときにはボートごと陸へ。こういうタイプはけっこういて、瓜生正義もそちらの部類に入ると思う。

 それ以外の動きとしては、馬場貴也が3R発売中に着水。これは準優組では早いほうである。先輩に続いたわけではないだろうが、丸野一樹も着水して係留所へ。丸野はその前には整備室にボートを持ち込む姿もあったが、大きな調整をしたわけではないということだと思う。

 それ以外の準優組は序盤の時間帯はボートを装着場に置いたままだった。そんななかで印象に残ったのが、深谷知博と大峯豊。ピットに入ってすぐに彼らが屋外のペラ調整所にいるのを確認していたが、エンジン吊りに参加し、それが終わると速攻でまた調整所に向かってペラを叩き始めていたのである。多くの準優組はエンジン吊り後は控室に戻ったり、ボート周りで点検をしたりで、対照的に彼らは寸暇を惜しんでペラを叩こうとしているように映った。深谷は4枠、大峯は5枠、外枠から一太刀浴びせんと調整を煮詰めているということだろうか。

 また、稲田浩二は整備室の出入口脇にある調整所でペラと向き合っていた。ここは高めのテーブルで叩くため、スタンディングでペラを振るうことになる。立ち呑みならぬ立ち打ちの調整所だ。稲田は立ったままペラにゲージを当てて、時に立ったままハンマーを下す。今節のここの常連は、田村隆信や石野貴之だった。

 予選トップ通過の重成一人は、早くからモーターの取り付けを丁寧に行なっており、調整の準備を着々と進めている格好。黙々と、静かに作業をしており、浮足立ったところは感じられなかった。緊張感もあまり見えなかったのだが、実際のところはわからない。最大のチャンスをモノにするため、粛々と過ごしているといった雰囲気だった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)