BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――セット交換はまだ流行

 結局のところ、セット交換の流行は止まらない。1Rで島村隆幸が、3Rで瓜生正義が施して、ついに20人の大台に突入。島村、瓜生ともに3着で、特に瓜生はここまでゴンロクを並べていただけに、多少の上昇はあったということになるのか。5R1号艇の西山貴浩もやはり手を出したそうだ。昨日まで足合わせでやられていた相手に、今日はまったく足負けしなかったという。セットで交換しただけで足が上向く……西山は「これって整備じゃないですよね……」と呟いていた。なるほど、言わんとするところは非常によくわかるし、共感もする。セット交換するだけで気配アップ!では、面白みに欠けるとも思う。もっともファンとしては足色を見極め、舟券を買うのみ。そして西山には、残るレースでファンの期待に応えまくってほしいところ。

 もちろん、セット交換をしただけですべて解決、ではないのも事実ではある。昨日、宮之原がセット交換で上向いた話を書いたが、2R1号艇で2着に敗れている。宮之原は「やっとレースができる足になりました」と言ったのであって、「出てます」と言ったわけではない。そして、この2Rでは宮地元輝に足の差を見せつけられる格好となってしまった。1マークでは逃げ切ったと思ったそうだし、2マークで放ったツケマイも決まるタイミングだったそうだが、バックで宮地に伸びられ、ツケマイは跳ね返された。セット交換でなんとか普通の足になった、程度だったわけである。というわけで、昨日の彼とは一転して、不機嫌そうな様子。1号艇で敗れたのだ、勝負師はそれで良しと思う。

 片岡雅裕は2日目にセット交換を行なっているが、これがまるで奏功していない。交換後も大きな着を並べ、今日の1Rも6着。セット交換が当たらない例もあるということだ。というわけで、今日1回乗りの片岡はレース後、ふたたび本体を割る整備を始めていた。別のセットに交換するのか、別の整備となるのかはわからなかったが、予選落ちがほぼ確定してしまったとはいえ、明日明後日のレースを投げるつもりは毛頭ないのである。

 セット交換で足が一変した一人が、西村拓也。現時点ではむしろ噴いているほうと言っていいのではないか。ところが、今朝の西村はまた本体を割っていたのである。これまた整備の内容はまるでわからなかったのだが、まさか別のセットに換えることはないだろうし……。今日は11R1回乗りで、時間に余裕がある分、さらに上積みを求めたか。あるいは点検程度なのか。ともかく、西村はこのチャンスを活かすべく、さらに気を引き締めて勝負駆けに臨もうとしているわけである。

 さて、先述の通り、2Rは宮地元輝が勝利。5コースからの鮮やかなまくり差しだった。まさに宮地らしいターンであって、宮之原も相手が悪かったと言うしかない。この快勝に、宮地の顔つきはぐぐぐっと引き締まって、実に力強いものになっていた。オールスターの優勝戦後の憔悴しきった様子とは正反対。このわかりやすさも宮地の魅力! 素直な表現がファンを惹きつけてもいるのだろう。

 3Rは松井繁が4コースからの差しで快勝。一時的に雨があがっていたのに、スロー勢がレバーを握り込んだあたりから急に土砂降りになるという、悪コンディションだったのだが、さすがの王者。そんなものにはまるで怯まない。ピットに戻ってくると、田中信一郎が笑顔で祝福。松井はボートの上で小さくガッツポーズを作って、田中に応えたのだった。うーん、カッコいい! 松井はこれでひとまずノルマをクリア。ボーダーが高いままなので、まだ予断を許さないところはあるけれども、勝負駆け成功の勝利は王者のテンションも上げるのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)