BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ハプニング!?

 スタンドの記者席で1Rのスタート展示=田村隆信の前付けを見て、ピットへ出発。到着すると、職員の方たちがドタバタと走っていた。何かと思えば、辻栄蔵のボートに何らかの異常があったらしい。操縦席をクリーナーで吸い取っていたので、浸水があったようである。いったんリフトに上げてボートを点検。結局、穴が開いているなどは認められなかったので、再展示を2周行なっている。それにしても、こうしたときの選手や職員の方たちの動きは実に迅速である。

 こうしたとき、必ず立ち会うのは選手班長。そして、やはりというか、選手会代表の瓜生正義だ。こうしたハプニングについてはいずれ選手会全体で共有され、代表たる瓜生のもとにも報告されるのだろうが、何しろ今節はその代表がピットにいる。調整作業中であっても瓜生もまた素早く、現場に駆け付けるというわけである。

 そうした何かが影響したのかどうかは何とも言えないが、辻はピット離れでやや後手を踏み、2号艇の岡崎恭裕がインを奪取。といっても、田村の前付けもあったから、深い起こしとなってしまっているのだが、奪ったインはがっちり死守した。そして逃げ切り! いろいろあった1R、しかし岡崎は動じることなく毅然と立ち回り、勝利をもぎ取ったわけである。天晴れ! まずは会心の1着に、出迎えた前田将太と笑顔を交わしていた岡崎である。

 辻にとってはちょっと気の毒な結果となってしまった、ということにもなるか。悔しがるというよりは、釈然としないといった雰囲気のレース後である。今日は9Rにも登場する。万全を期して臨み、巻き返しをはかりたい。

 ところで、昨日の後半ピット記事で田村と山田康二が整備をしていた旨を記し、セット交換の18人目と19人目になるのか、ってなことも付け加えていたわけだが、二人とも行なってはいなかった(山田はキャリアボデー交換)。予選後半に突入して、さすがにラッシュはストップ? 朝、整備室を覗き込んでも、整備を行なっている選手は皆無。ちょいと落ち着いた感じの整備室なのであった。まあ、セット交換をして上向いたように見える選手も少なくないだけに、勝負駆け前にはまた交換……という可能性もあるので、やはり直前情報は注視したい。僕も整備室を覗き込む回数が減ったりはしないと思います。

 調整作業や試運転が落ち着くということはなく、係留所は満艇状態だし、ペラ調整室も人口密度が高くなっている。ここまでオール3連対と好調な菊地孝平がかなり力強くペラを叩いている姿をピットのいちばん奥にあるペラ室に発見。足色は悪くないようにも思えるなか、そんなに激しく叩くんだと感心したりする。

 宮之原輝紀は1R発売中にボートを下ろして、ペラ室至近の係留所をゲット。1周2周と試運転を行なって、係留所にボートを戻すと、ペラを外してものの1秒ほどでペラ室に消えた。今日は6号艇だが、明日につなげるためにもある程度の結果が欲しいところ。

 整備室の隅にもペラ調整所はあって、ここは装着場からは死角になっている。というわけで推測になるのだが、ここを使っている一人が田中信一郎。田中のボートはリフトの並びにつけられていて、試運転をしては整備室へと消え、ある程度の時間が経つと整備室から姿をあらわして係留所へ。このループを節間ずっと見かけているのだ。田中もセット交換をした一人だが、着順は尻上がり。懸命な調整が奏功しつつあるということだろう。

 一方、10R1回乗りの峰竜太はゆったりと過ごしているように見えた。出番が遅いからまあ当然と言えば当然。ただ、機力に不安があればそうはいかないはずなので、強気なコメント通りの仕上がりになってきていると推察されるのであった。エンジン吊りに出てきて、仲間が帰還するのを待つ間、大あくびを一発。でも、そのあくびこそが、好気配の証明ではないか、と思えたのであった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)