BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

エースの咆哮

10R
①渡邉優美(福岡)   13
②藤原菜希(東京)   15
③長嶋万記(静岡)   18
④三浦永理(静岡)   17
⑤山川美由紀(香川)21
⑥川野芽唯(福岡)   26

「福岡の水面は誰にも譲れません!」
 開会式での言葉を、まんま水面に移し替えたようなイン逃げ完勝だった。今節は優美の気合がパンパン過ぎて、どこまでが機力でどこまでが気力かわかにくい。このレースもそうなのだが、とにかくスタートが鋭い。

「ナッキー(菜希)とのスタート合戦になりました」
 レース後に声を弾ませたが、韋駄天レディとして名高い藤原にも競り勝ったわけだ。言及したのはスタートだけではない。
「今日の調整で全部が良くなりました。優勝でも十分に戦えます!」

 このレースは逃げ圧勝すぎてパワー鑑定が難しいのだが、本人の自信満々の声とともに【出B+・行A】⇒【出A・直A】に修正しておきたい。あとは明日の枠番に応じて微調整で済みそうなレベルか。リアルタイムで書いているので明日の優美の枠番は不明だが、1・2・3のどれであってもスタートはしっかり踏み込むだろう。まかり間違って1号艇になってしまえば、今日と同じくインから完璧なスタート&光速インモンキーでてっぺんまで突き抜けるに違いない。

 2着も内枠決着。2コース差し藤原vs3コースまくり長嶋の攻防はなかなかに激しく、バック直線では外の長嶋がやや伸び勝っていたか。ただ、焦点の2マークで外から握った長嶋と最内から切り返した同県同期・三浦の航跡が重なり、そこで藤原がファイナルへの花道に辿り着いた。勝負の世界の厳しさを垣間見る2マークの攻防だった。

 藤原20号機はバックでやや長嶋に劣勢~2マークは俊敏な小回りでスッと出て行く感じから【出A・直B】の据え置きとしたい。きっと、外枠の明日は【直B】に活を入れる調整にチャレンジすると思う。

必殺ドラゴンゲート差し

11R
①淺田千亜希(徳島)19
②櫻本あゆみ(群馬)31
③廣中智紗衣(東京)26
④細川裕子(愛知)    32
⑤大瀧明日香(愛知)25
⑥原田佑実(大阪)    25

 直前のピストン1個・リング1本の交換が当たった?? 櫻本あゆみが超危険なスリット隊形の2コースから、シャープな小回りで龍のごとく突き抜けた。そのスタートタイミングはコンマ31。通常ならドカ遅れの領域だが、「みんなで凹めば怖くない」的なスリットラインでさほどの凹みには見えない。

 とは言え、インの淺田だけ突出してるし、3コースの廣中24号機はぐんぐん出て行くし、サンドイッチの櫻本は生きた心地がしなかったはずだ。で、1マークの攻防としては、多分に運が味方したかも。イン淺田が初動に入った直後に艇が暴れて失速(うねりに捕まった?)、3コースからまくった廣中も舳先が上下にバウンドして減速。その間にすたこらさっさと差し抜けた見え方ではあったが、それはそれでかなり俊敏な小回りでもあった。

「今日の整備で良くなりました。ターン回りもレース足も凄く良くなった」
 元より回り足など出足系統(または乗り心地)はゴキゲンと値踏みしていたが、さらにワンランクアップしたか。ただ、スリット後の伸び足は迫力不足で、明日のファイナルはそんな出足タイプが多くなりそうではある。

 2着は同期・廣中のまくりに4カドからぴったり連動して差した細川。今日の福岡水面は10Rまでの1・2着をすべて1~3枠のスロー勢が独占していたのだが、ようようダッシュから2連対に食い込んだ。しかも、準優で2着に食い込んだ価値はメチャクチャでかい。
 細川の相棒の58号機は下馬評の低いモーターだったが、日に日にレース足がアップして現状は限りなく上位に近い上の下あたりか。ことターン回り~出口の押し足の出足系統に関しては文句なしのAランクと値踏みしている。つまりは10R2着の藤原同様、外枠での宿題は「やや劣勢なストレート足をどこまで引き上げるか、それとも展開を突ける出足系統に特化するか」だと思うのだがどうか。とりあえず、時間がたっぷりあるので前者の手応えをチェックすることだろう。

最強のふたり

12R
①遠藤エミ(滋賀)   14
②浜田亜理沙(埼玉)14
③平高奈菜(香川)   31
④平川香織(埼玉)   22
⑤土屋千明(群馬)   16
⑥平山智加(香川)   17

 結果的に逃げて差して、2024年8月現在、女子レーサーの最強レベルを分け合う遠藤と浜田がまんまワンツー決着を遂げた。準優としては、これでもう書くことが少ない。遠藤18号機は初日から上位レベルを維持し、今日のスタートも1マークのインモンキーも完璧の領域だった。つまりは明日のリハーサルとしてもパーフェクト。これ以上、何を書けば読者はさらなる満足を得られるだろう。

 一方、2コースの浜田もまったくロスのない小回り差しでバック2番手進出、外から襲い掛かった千明26号機も慌てず騒がず2マークで突き離した。私の機力評価は「質の良いバランスの取れた中堅上位」で固まっているのだが、現状の浜田亜理沙の力量はこのレベルの機力さえあれば、ファイナルで互角以上に戦える存在だと思っている。

 もちろん、明日の遠藤と浜田はさらなる上積みを求めて調整を進めるだろう。外枠でやや非力?な浜田は、遠藤より貪欲にチャレンジするだろう。パンチを求めて、何らかの勝負手を放つ可能性もある。それは明日のチェック課題として、浜田にはもうひとつ余分にクリアすべき宿題がある。

 地元の戸田ダービー参戦が決まって間もない身の上、この賞典レースでどこまで踏み込めるか。
 こちらのスタート勘と集中力も、ギリギリまで研ぎ澄ませる必要がありそうだ。

※最後に、初日から私が勝手に「節イチ候補のトップ2」と決めつけていた智紗衣24号機と千明26号機は、残念ながら準優で力尽きた。その鑑定が合っていたかどうかはともかく、今日のふたりは自慢の機力を100%引き出すレースをしてくれたと思っている。(photos/シギ―中尾、text/畠山)