BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――初日の整備

 赤岩善生が本体整備。2Rでは道中戦で5番手に後退、6Rでは1号艇を活かし切れずの2着。なるほど、という感はもちろんありながら、それが赤岩なのだから、そもそも今日は割るつもりだったのでは、という見方も成り立つ。2Rは2番手を狙いにいっての空振りが着を落とさせたものだったし、6Rは前田将太にうまく差されたという部分もある。もちろん大きな上積みを狙っての整備であるのも間違いのないことだが、やはり赤岩の本体整備というのはある種、日常的な光景である。

 だが、重成一人の本体整備となれば話は変わってくるだろう。7Rで6着に敗れており、スタートでも後手を踏んで見せ場なしの大敗。早い段階で大きな整備を施さなくてはならない感触だったのだろう。地元の雄の大整備とあって、整備士さんも複数の方が見守っていた。赤岩のほうは一人だけだったのに(もっとも整備巧者で知られる選手ですからね)、丸亀の皆さんの重成への心配がうかがえるというものだ。

 三島敬一郎が高く評価している26号機=齊藤仁も本体をバラしていた。5Rでは5着に大敗しており、動きにも目立ったものはなかっただけに、本体に喝を入れる必要を感じたか。あるいは、今日は早くにレースが終わったので点検という可能性もあるか。いずれにしても、モーター素性に安閑とすることなく、丁寧に調整を行なっている印象がある。

 6Rで赤岩を差し切っている前田将太も、レース後はしっかりと時間をかけてギヤケース調整をしている。5着1着は4号艇と5号艇だったことを思えば上々の発進だが、それでもなのか、だからこそなのか、しっかりと後作業を行なったという感がある。明日は6号艇だが、この作業が奏功しての健闘を期待しよう。

 10R、白井英治が1号艇で大敗。新田雄史の3コースからのツケマイを、いったんは受け止めたかと思われたが、しのぎ切れなかった。さらに上條暢嵩にふところを捉えられ、2マークでは長田頼宗に内をすくわれ(長田が不良航法とは……)、大きな着となってしまった。ピットに戻って来たときには寺田祥と苦笑い気味にレースを振り返っていたのだが、カポック着脱場でヘルメットの水滴を拭き取る間、やるせなさそうに瞳を曇らせているのだった。今日は2走とも着外だから、これは痛い……。

 新田はもちろん、ご機嫌なのである。会心のツケマイ。ウィナーインタビューでは「今日は③-①が出てなかったから、まくり差しが決まりにくいのかと思った」ということで、外マイを選択したと言ってましたね。これが見事に功を奏したわけである。新田はまくり差しタイプだという認識だっただけに、これはワタシも驚きました。そして、晴れやかな表情の新田が実にまぶしかったという次第であります。

 ウィナーインタビューといえば、池田浩二が今日は連勝で「2回分やりますよ!」と声を弾ませていた。どうやら7Rの差し切り勝利後、次は11Rと中3レース、調整をする時間が足りないと、インタビューに行くのをやや渋っていたそうだ。今節はピットから少し離れた会場での公開インタビュー、9R発売中にスタート特訓があり、10R中には展示ピットに移さないといけないことを思えば、たしかに時間がない! それでもインタビューには登場し、その後はペラ調整に励んだ。その経緯を知らずに見ていると、これが実に忙しそうで、エンジン吊りに参加すれば小走りでペラ室に向かい、係留所へも競歩かというほどの早歩きで向かっている。それくらい、時間を惜しんで調整をしたのだ。そして連勝! 公開インタビューはファンにとっては実に嬉しいイベントで、僕はできるだけやったほうがいいと思っている。でも選手にとっては、調整時間を削って登場するという側面があり、2走乗りの選手には悩ましいところでもあるわけです。そんななかでも全力投球! 池田の連勝はその意味でも実に見事だったのである。

 9Rでは濱野谷憲吾が逃げ切り。攻めてくる森高一真を受け止めての快勝だ。東京支部はもちろん今節最多タイの6名参戦。というわけで、後輩たちが次々と東都のエースに祝福を送る。濱野谷も嬉しそうに顔をほころばせているのだった。エンジン吊りが終わると、森高と遭遇。その瞬間、濱野谷は直立不動で、深々と頭を下げるのだった。森高の背中越しだったんだけど、怖い顔でもしてたんですか、森高一真。まあ、ようするにじゃれ合っているわけで、濱野谷も森高もみんなに愛される存在なのです。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)