台風の準備
九州に、そして四国に台風が近づいている。思い出すのは6年前の丸亀メモリアルだ。あの年は台風20号がじわり接近し、3日目が中止順延となった。今回は4日目~5日目に最接近という予報ではあるが、非常によく似た状況と思っていいだろう。
ってなわけで、温故知新コーナー。6年前のメモリアルがどんなシリーズだったか、簡潔に振り返ってみたい。
★2018年メモリアル=優勝/毒島誠
①勝数 万舟数 1Rと12Rの風
初日 6勝 3発 向3m⇒追4m
2日 3勝 3発 追5m⇒追6m
(中止順延)
3日 3勝 5発 追6m⇒追4m
4日 7勝 0発 向4m⇒追6m
5日 11勝 1発 向3m⇒追2m
6日 11勝 0発 横2m⇒向1m
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合計 41勝 12発
台風の影響ばかりとは限らないが、順延を挟んでの荒れ水面で1号艇(インコース)が壊滅的に負け、同時に万舟が頻発したことが手に取るように分かるだろう。今節でいえば、3日目~5日目あたりで似たような水面環境になりそうな気がするのだが、どうか。
念のため、水面が穏やかだった前年7月の丸亀オーシャンカップも調べてみた。
★2017年オーシャンカップ=優勝/峰竜太
①勝数 万舟数 1Rと12Rの風
初日 9勝 2発 向2m⇒横1m
2日 7勝 1発 向3m⇒向2m
3日 8勝 2発 向3m⇒向1m
4日 5勝 5発 向1m⇒向1m
5日 8勝 3発 横4m⇒向2m
6日 10勝 1発 向3m⇒向1m
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合計 47勝 14発
勝負駆けの4日目だけ極端に荒れたが、他の日は「イン8勝前後&万舟2発前後」という極めてSGらしいデフォルトな結果が続いた。で、こんなデータを並べて何が言いたいかといえば、当欄の愛読者なら百も承知だろう。
――台風が接近すれば、人気のインがぶっ飛んで穴党が儲かる!!!!
ま、こんなレベルの発想は日本中の舟券ファンが気づいているだろうが、それでもSGの①アタマを買う人はフツーに買うし、インが飛べばフツーに好配当になるのもボートレースなのだな。
ではでは、どんな穴選手がどんな穴展開で台風WAVEを切り裂くのか。最接近になってからでは遅いかもなので、できるだけ早い段階で目星を立てるとしよう。何かしら閃いたら、当欄や極撰欄でこっそりお伝えしまーす(笑)。
“3連覇”に黄信号
初日にして一大事、かも知れない。2013年と2018年の当地メモリアルを制覇、つまり「丸亀メモリアル2連覇中」の毒島誠が、圧倒的な苦戦を強いられた。前半6R2号艇は2コースから正攻法で差すも、サイドがまったく掛からずズルズル後退しての4着。4カドから握った山口剛の引き波をモロに浴びた不利もあったが、それだけでは片づけられないターン回りの鈍さだった。
後半10Rも酷い。字面としては【4号艇4着】のイーブンパーなのだが、負けっぷりがヤバすぎる。まずは4カドからスタートをバシッと決めつつ、3コース新田のまくり(1着)に連動して注文どおりの二番差し。2着争いに持ち込んで不思議のない展開だったが、出口からの押し足が鈍いこと鈍いこと。その後の競り合いでも常に劣勢パワーを露呈し、不安だらけの4着でゴールを通過した。
うーーーん、ちょっと重症すぎるかも?? 昨日から「新ペラになって現状はダメダメ」と泣いていたようだが、残念ながら光明が射さないまま初日の2戦を迎えてしまったか。もちろん、1号艇を残しての4・4発進は絶望と呼ぶべき成績ではない。今日は前半5Rでワースト級に見えた松井繁が「セット交換」で明らかにパワーアップしており、毒島も相応の手術に踏みきる可能性もありそうだ。明日の12R3号艇までに、ダメダメ相棒の34号機にどこまで活を入れきれるか。「ミスター丸亀メモリアル」の復権に注目するとしよう。
さて、毒島が苦しむ一方、圧倒的な強さでピンピン連勝を飾ったのが池田浩二だ。こちらは、2009年の丸亀メモリアルチャンピオン。つまり、15年ぶりの返り咲きVで「ミスター丸亀メモリアル」の奪還を狙うチャレンジャーなのである(笑)。
それにしても、今日の池田は強かった。特に強烈なインパクトを残したのが7R。昨日から出足系統が良さげなイン西山貴浩を、2コースから一撃の差し抜け! 西山のインモンキーにさほどの落ち度も感じなかったから、池田15号機のターン回り~出口の押し足が一枚上手だったと言わざるをえない。
後半11Rはインコースから影をも踏ませぬ逃げきり完勝。レース後のインタビューでは破顔一笑、「僕にとっての大時計の2号艇(菊地孝平)が遅れたんで……」とウィットに飛んだコメントで観衆の笑いを誘った。たかが1・2号艇でのピンピン連勝と思われる読者もおられるだろうが、私はそうは思わない。今日の池田の勝ちっぷりは、いつにも増して強い池田の勝ちっぷりだった。
明日の池田は【9R6号艇】の試金石を迎えるが、おそらくは3着以内に潜り込んでシリーズを牽引する立場になるだろう。実力に匹敵するだけの機力を携えたこの男がどれだけ強いか、今節はそんな当たり前のことを再認識する大会になりそうな気がしてならない。(photos/シギ―中尾、text/畠山)