BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――GPと同じく……

 先のグランプリでの4日目ピット記事には「わりと静か」と表題がつけられている。トライアル2nd第2戦を迎えたこの日、大きな動きをしている選手が少なく、ピットには静寂が漂っていたというものだ。クイーンズクライマックスのトライアル第2戦、状況は似たようなものなのであった。装着場の奥のほうにトライアル組のボートが固まって置かれていたのだが、9艇が数えられた(あと守屋美穂)。プロペラが着いたままというものも半分くらいあって、つまりプロペラ調整を行なっていない選手もそれくらいいたということである。
 遠藤エミがプロペラ室から出てきたが、遠藤もペラ装着したままの一人。つまり調整をしていたわけではないのである。ペラ室は位置的に死角になる箇所がかなり多く、遠藤を確認はできなかったのだが、ゲージを点検したか仲間の調整に付き添っていたか、おおよそどちらかであろう。

 もっとも、ペラが装着されたままということは、着水の準備ができている、ということだったりもする。2R発売中、やはり装着組の渡邉優美がカポックを手にあらわれる。まさにこれから着水しようとしていたわけだ。そのとき大量のカメラマンが一斉にレンズを向けた。「カメラ多すぎ(笑)」と苦笑いしながら、ちょっとバツが悪そうな笑みでリフトへと向かった。仕方ないんです、静かなピットにそのとき、優美ちゃんしかいなかったんだから(笑)。

 さらに西橋奈未もカポックを手に登場。ただ、このときはカポックをボートに置いただけで、3R発売中の着水となっている。表情はかなりスッキリしており、やはり初戦2着発進は気分を明るくさせているということか。

 平山智加もプロペラが装着されたままで、何度か整備室に出入りしたりペラ室に出入りしたりという姿を見ているが、序盤のうちはボートのほうには近寄っておらず、動きらしい動きは見られないのであった。初戦は3着だったが、軽快なターン回りを見せており、感触は悪くなかったものと思われる。急いで動く必要はなさそう、ということだろう。

 浜田亜理沙はプロペラが外れていた一人。その姿はやはりプロペラ調整室にあった。初戦は両サイドに出られる感じもあり、2着は獲れたものの、調整の必要を感じさせた。まさにその通りの動きであり、今日はペラ調整に没頭する一日になるかも。

 ほかにペラ室で姿を見たのは、藤原菜希、海野ゆかり、三浦永理。この3人はボートが陸になく、すでに係留所につけられていたのであった。トライアル組で比較的早い動きになっていた3人、ということになる。実際、序盤の時間帯でも試運転を行なっており、切り上げてはペラ室へ、そしてまた試運転へ、のループを目撃している。三浦は初戦1着も、藤原と海野は6着発進。巻き返すためにもピッチを上げているといった感じだ。

 地元の細川裕子、宇野弥生については、細川はペラ室で作業しているのを確認。宇野はひとまずエンジン吊りでしか姿を見ていない。1R3着だった水野望美とは、身振り手振りを加えながらの長い会話を交わしていて、おそらく宇野からのアドバイスが送られていた模様。宇野は38歳にしてキャリア22年の“ベテラン”。その見立ては後輩にとって頼りになるものだろう。

 シリーズ。1Rで山下夏鈴が逃げ切り。ピットに戻ってくると、高田ひかるが嬌声をあげながら大拍手! 周りの選手からも大きな拍手が起こった。なんか水神祭でも始まりそうな勢いなのだった。山下も応えて笑顔! 何にしろ、本人も周囲も笑っているレース後というのは実に清々しい。

 2着の清埜翔子も笑顔! そう、昨日まで5走してオール6着。そのトンネルをついに脱出! 出迎えた面々もやはり笑顔だし、平山智加もわざわざ清埜のもとに歩み寄って背中をぽんぽんと叩いていた。みんな、心配していたんだろうなあ、まさかの這い方を。清埜もひとつ吹っ切れたものがあるはずで、準優はもちろん厳しいけれども、ここかららしさを発揮してもらいたい。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)