BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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ドリーム組が2回乗り!の初日後半ピットから

 こうしたビッグレースでは、ドリーム組の初日はその1走のみとなるものだが、GⅢでもあり、出場選手も42名と少なめということもあるのか、今日は5名が2回乗りなのであった。ビッグばかりを取材している身としては、なかなか珍しい光景なのである。
 細川裕子は6Rで5コースまくりを決めて快勝。勝利者インタビューでは足に不満がない旨を語っていたわけだが、だからなのか、わりと余裕のたたずまいで過ごしているのであった。やはり逃げ快勝のドリーム戦を見ると、その言葉通りのようですね。初日連勝と最高の発進で、明日も気分よく戦えるだろう。ああ、そうか。「ドリーム戦勝者が初日連勝」というシーンも、我々にとっては珍しいものを目の当たりにした、ということか。

 海野ゆかりは8Rを逃げ切り。ピットに上がってエンジン吊りを終えたというのに、なかなか控室へと戻る姿が見えなかったので、何かあったのかと思ったら、海野は白いカポックを身にまとったまま、すかさずボートを水面に下ろし、係留所へと向かったのだった。ドリーム戦へは中3レース。着替えて、勝利者インタビューを受けて、黒いカポックを受け取りに行って、では9R発売中に着水できない可能性がある。そこで時間短縮をはかった、というわけだ。それで勝利者インタビューを少し待たせることになった海野。申し訳ないということだろう、インタビューブースにカポック姿のまま直接向かい、出入口のところで装備をほどいてブースに駆け込んだのであった。気遣い完璧である。

 宇野弥生は7Rを2コースジカまくりで快勝。私らしく、がモットーの宇野だが、僕が思う宇野弥生らしさとはまさにコレ。スタート決めてのまくり一撃だ。まあ、コンマ21だったので「決めて」はやや微妙かもしれないが、全体的に遅いスタートのなかでのトップスタートだからコレでいいのだ。その後、ドリーム戦までの間、入念なプロペラ調整。中4レースだから決して時間がたっぷりとあるわけでもないのだが、エンジン吊りのあとは足早に動くなど、時間を無駄にするまいという姿勢は見えたのだった。

 藤原菜希は4Rで3コースまくり差し放つも届かず3着。もちろんその後は調整作業を熱心に行なっている。10R発売中、ドリーム組のレース間スタート特訓が行なわれている。これを終えると、藤原は大急ぎでボートを陸に上げ、整備室の前まで運んだ。えっ、この段階で整備!? 整備士さんに声をかけ、藤原が行なったのはステアリングバーの交換。ハンドルとモーターを結ぶワイヤーを接続する部分で、ハンドルを左右に切るとステアリングバーが左右に動いてモーターも動く(プロペラの向きが変わる)というわけだ。これが曲がっていたりすると操縦性に難が出る(道中の接触などで曲がることがある)。藤原はスタート特訓でこれに気づいたのだろう。というわけで、大急ぎでの交換。モーターを外したりする必要はないため、それほど時間を要さない作業ではあるが、11R発売中にはボートを展示ピットにつけなければならないので、急げ急げ! ドリーム戦は残念な結果となっているが、そういう微妙な部分を感じ取り、こだわって戦うのがトップレーサーたちなのだ。

 西橋奈未は5Rで3コースから攻めての2着。その後は何度も何度も、水面とペラ調整室を往復する姿があった。というわけでピットにいると必然的に西橋の姿がよく視界に入ってくることになるわけです。三国チャレンジカップでは、新兵仕事にも駆けまわっている姿を日々見かけたわけだが、今節は登番5000番台が3人いるので、後輩に任せておくことができる。にもかかわらず、実に何度も姿を見ているということは、それだけ精力的に作業に試運転にと動いているということである。

 で、唯一の1回乗りだった堀之内紀代子だが、ゆっくりしているわけがなく、むしろ誰よりも忙しそうにしているのであった。独特のセッティングや仕上げで勝負しているから、そこに合わせるのに時間がかかる。朝のドリーム出場選手公開インタビューでは「チルト0か3かでまだ迷っている」と言っていて、それこそ朝にも多忙に走り回る姿を見ていたわけだが、結局チルト0を選択し、それに合わせるために懸命な調整。9Rのスタート特訓後もいったんボートを装着場にあげて、丹念に取り付けの微調整などを行なっているのであった。ドリーム戦は結果が出なかったので、明日も懸命な調整作業をする姿が見られるだろう。1走目の6R2号艇はどんなセッティングで登場する!?(黒須田)