BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ガッツポーズ!

 吉田拡郎が途中帰郷していたので、岡山支部はただ一人。Vゴールを決めた茅原悠紀を誰が出迎えるのか、と思っていたら、これが静岡支部の面々なのであった。支部は違えど、菊地孝平は盟友的存在。その関係もあっただろう。河合佑樹とのユウキつながり、ってことではないんだろうけど……。

 その出迎えた静岡勢に、茅原は胸前でガッツポーズを作って応えた。やや特殊な大会ではあっても、GⅠはGⅠ。相手はSG並みの強豪揃い。そこで勝ち抜いたことは、やはり嬉しい! ちょっとおどけたふうではあったが、そこには喜びがあふれていた。昨年7月のオーシャンカップを制したときとは少々様子が違う。10月のバトルトーナメントのときとはまるで違う(フライング艇が出ての恵まれであったこともあるだろう)。約半年の間に3回、茅原の優勝を目の当たりにしてきたが、いずれも違う凱旋時の様子。ともかく、そこに歓喜があったことは間違いない! 西に傾いた夕日が、茅原の笑顔を赤く染めるシーンはなかなか趣深いものがあった。

 会見でのコメントで面白かったのは、「菅章哉の存在が大きかった」という証言だ。準々決勝は4カドから伸びてくる菅を受け止め、その間に毒島誠にいったんは差されるという展開だった(2マークで逆転)。準決勝は、6コースだったけれどもやはり菅がいた。チルトを跳ねて伸びてくる存在が、勝ち上がりのなかで2走続けて外にいた。それに比べれば、今日はそうした存在がいない分、余裕をもって先マイができたという。中ヘコみの隊形だったけれども、菅の脅威に比べれば軽く感じられたということだろう。菅章哉という男の特異性を改めて思い知ると同時に、その菅と真っ向勝負を連続で繰り広げたことが今日のイン戦にも優位に働いたというのはやはり興味深い。

 これが今年の仕事初めだったから、この優勝で一躍賞金ランク首位に浮上したわけではない(現時点でのトップは宮地元輝で茅原は3位)。それでも、1月の時点で上位に食い込んだことは、先々に向けて視界がおおいに開けたことだろう。昨年のオーシャンで10年のブランクという呪縛を自ら断ち切ったことで、ここからはSG制覇量産が期待される。今年は昨年以上に我々を魅了してくれることだろう。

 プレミアムが付き、メンバーはSGクラスばかりといっても、GⅠはGⅠ。敗者の悔恨はSG優勝戦の後よりは濃くないように見えた。ここで敗れた分はすぐ取り返してみせる。そんな強靭さがある、5名でもある。ただ、痛恨が大きいとすればやはり馬場貴也か。まさかのピット離れ後手、想定外の4コーススロー、しかも起こしでブルが入ったそうだ。まったくもって消化不良の優勝戦となってしまったことで、表情が曇るレース後であった。昨年は賞金ランク首位でグランプリに臨みながら、悔しさにまみれた馬場。年明けにも味わってしまった痛恨とともに、この雪辱を晴らす1年となってくるだろう。

 あと、個人的には上條暢嵩にはグランプリ連続出場を果たしてほしい。そして、枠番抽選で今度こそ好枠を! 年頭のPGⅠ優出は、悪い船出ではないだろう。この勢いで大願成就を果たせ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)