BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松クラシックTOPICS 初日

同期の桜前線

 朝から猛烈なホーム向かい風が吹き荒れ、まくり花火がどんだけ打ち上がるかと思いきや、インコース8勝・まくり2発。まくりフリークとしては、ちょいと肩透かしを喰らうような1日ではあった。
 そんな意外なインツヨ水面を利して、5R①豊田健士郎と6R①佐藤隆太郎の115期ふたりが鮮やかなイン逃げを決めた。健士郎は去年の一般シリーズで9V(菅章哉と並ぶトップタイ)、隆太郎も“パンセン”を7つも勝ち取ってこの大会のチケットをもぎ取った。今年のクラシックの申し子と呼ぶべきふたりが、絶好枠ながら1着発進を遂げたのは喜ばしい限りだ。

 で、今節の115期はこれでは収まらないのだな。フツーに優勝候補の関浩哉、選手宣誓でド緊張していた仲谷颯仁という同期の二枚看板も合流。デビューから10年ちょいの流れを振り返ると、まずは仲谷がデビュー3年でGPシリーズに参戦してからビッグの常連に。それから1年ちょい遅れて関がクラシックに初参戦。さらに5年ほどの間を空け、去年から健士郎と隆太郎がSGに参戦するようになり、ついには4人もの大所帯がこの若松に集結したわけだ。

――新風を巻き起こせ!(今節のキャッチフレーズ)
 去年のGPファイナルまで駆け上がって悠々チケットを入手した関、去年はわずか2Vながらラストチャンスの九州地区選Vで「ギリギリ来れました」仲谷、そしてパンセンロードを地道に勝ち続けてこの大会まで登り詰めた健士郎&隆太郎。クラシックの選考基準をさまざまに満たして集結した115期の4人衆が、この若松でどんだけ新しい風を巻き起こすのか。彼らの才能と結束力に注目したい。

 あ、同期ネタを続けるなら、今節でいちばんの大所帯は……去年から大ブレーク中の102期。今節は5人の精鋭が集結したが、初日に光り輝いたのは上野真之介だった。選手紹介で「一回でもまくれたら褒めてください!」なんて宣言したらば、4Rの5コースから目の覚めるような絞めまくりで581倍の大穴を演出。真之介の5コースといえば切れ味鋭い全速まくり差しが有名だが、どうやら今節のノスケはとことんまくりに拘っているのかも?

「誰も買ってなかったんですよねぇ……」
 レース後の公開インタビューでは、周囲に的中者がいなかったことを残念がることしきり。
「もっとたくさんまくったら、ファンになってください!」
 最後の〆までこれだった。どんな心境の変化があったかわからんが、今節の(あるいは今後の)ノスケは、「コース不問のまくり大怪獣」と肝に銘じておきたい。

 で、他の102期の面々は、あまりパッとしない初日ではあった。特に同期でいの一番にSG覇者となった遠藤エミは、10Rで②仲谷×③渡邉和将のツープラトンまくりを浴びるなど悲惨な初日に……ドリームで大敗した前田将太、河合佑樹ともども、巻き返しに期待したい。

パンパン西山、好発進!

 地元のスーパースター西山貴浩が最近のSGでは珍しいロケットスタートを決めた。まず2R6号艇は4コースに潜り込み、二番差しからしっかりのレース足で悠々の3着GET。初戦6号艇での6ポイントは大きなアドバンテージだ。
 圧巻は後半8R。3号艇3コースの西山は半径のでかいまくり航跡から、スーーッと流れるように舳先を左に傾けてまくり差し一閃。インから出足がままならない菅章哉を並ぶ間もなく抜き去り、2戦目にして勝ち名乗りを受けた。西山がSG初日に勝ったのは、2023年オーシャンカップのイン逃げ以来1年8カ月ぶり。今回は3号艇だからして、その喜びもひとしおだろう。

 初日成績を合算すると【6号艇3着+3号艇1着=16点】。この枠番での8.00は、とりあえずV戦線の先頭集団に取りついたと思って間違いないところ。さらに言うなら、あの鋭角なまくり差しからギュッと出て行った相棒34号機の反応の良さも見逃せない(たとえ菅の出足が“ポンコツ”だったとしても)。そう、昨日の34号機はスリットからガンガン伸びて行く見え方で、「どうする、西山?」なんて思ってたら、しっかりマイスタイルに叩き換えて出足アップ。その変化が実戦ではっきり見て取れたし、同時にスリット近辺でもちょいちょい余裕のある足色だった。

――パンパンやでぇ! 皆さんの財布もパンパンになるように、中田達也の魂とともに、仲谷と一生懸命走ります!
 オープニングセレモニーの言葉どおり、気力面もパンパンに仕上がった西山貴浩。笑いを取る中、さりげなく早逝した後輩を盛り込んだあたりに、のっぴきならない気合を感じたのは私だけではないはずだ。明日の西山は6R5号艇。ここでもトータル8点を維持するようなら、疑いようのないV候補に躍り出るだろう。(photos/シギ―中尾、text/畠山)