BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡クラシックTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い
シリーズ一人旅

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 初日12Rドリーム戦のジカまくり圧勝からシリーズを牽引してきた寺田祥が、余力たっぷりのトップ当選を決めた。今日は10R3号艇だった寺田のトップ条件は、速報で伝えたとおり【④着以内でトップ確定。⑤着または⑥着だった場合は、12R5号艇の石野が①着で逆転トップ】。
 つまりは大敗だけは禁物のレースだったわけだが、今日も今日とてスリット近辺の行き足が凄まじい。枠なり3コースから1マークまでにズンズン伸びて、内2艇をひとまくり。そこから展開のアヤで、まくりきったはずの②原田幸哉に差されたり、⑤西山貴浩に捌かれたりで3番手に後退したが、おそらく寺田の脳内には「無理に攻めすぎなければトップ確定」という柔軟な勝負勘が働いたのだろう。原田・西山との競り合い握り合いに持ち込むことなく、全部のターンマークを慎重に冷静に旋回して必要十分条件の着順を掴み取った。このレースの意味をしっかり踏まえた、勝負師らしい3着だったと思う。

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 11R以降を待つことなく、圧倒的大差でトップ当選。
 この事象が、今シリーズの予選全般を象徴している。パワー相場的には「節イチ候補」と謳われた村田修次65号機と大峯豊28号機が、さまざまなアクシデントとともに水面から去った。去年8月の初下ろしから長くWエースに君臨していた吉村正明30号機と仲谷颯仁72号機も、期待を裏切る成績でV戦線から離脱した。寺田51号機のスリット足が図抜けて良く見えたのは、こうした相対効果もあるだろう。

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 選手に目を向けても、ドリーム1号艇の峰竜太はじめ、白井英治、瓜生正義、吉川元浩、西山貴浩などのV候補がこぞってエンジン出しに苦しみ、予選突破すらできなかった。そんな戦乱の世にあって、寺田祥だけが予選をすべて3着以内で駆け抜けた。最後の最後に追いすがったのは、初戦の5着からぐんぐん成績を伸ばした石野貴之。パワー的にも抜群気配を発するライバルだったが、それでもラストランの逆転チャンスすら与えなかった。

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 まさに初日ドリーム戦から、「寺ショーの寺ショーによる寺ショーのための予選」と言いきってもいいだろう。ただ、予選でぶっちぎったからといって、優勝が約束されたわけではない。どれだけ銘柄モーターと銘柄レーサーが立ち去っても、SG準優~優勝戦に弱いメンバーは存在しない。特に、最近のスランプからの脱却を目指す石野、地元7人衆のトップ成績で準優1号艇を担う篠崎仁志は、「打倒・寺ショー!」を旗印として準優の先を見据えることだろう。V争いは、明日からが真の正念場だとお伝えしておこう。

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
生き残った要注意トリオ

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 一方、予選18位を巡る争いは、予想していた6・00から最終盤に一気に暴落する混戦となった。この変動で険しい立ち位置から準優に滑り込んだのが5・80の桐生順平、5・67の稲田浩二と岩瀬裕亮だ。で、この3人は「滑り込んでも準優6号艇間違いなし」と思ったらば、12Rの興津藍が大差の6着敗退で暫定7位あたりから桐生より下の16位に降格。つまり、桐生は5・80という寒い成績で15位=準優5号艇に繰り上がったわけだ。うん、もともと何かと持ってる男ではあるが、こういう望外のラッキーが絡んだときの順平はマジで怖いぞ。足は実に平凡で「6コースでは何もできないはず」と見ていた私だが、こうした流れを踏まえての5号艇なら軽視は禁物だろう。だって、順平だもの。

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 そして、今日の勝負駆けをクリアした面々の中で、勢い的にもっとも警戒しなければならない伏兵は、松田大志郎で決まり!! 何度か書いてきたとおり、大志郎は2日目のもらい事故による転覆でいきなり窮地に立たされた。が、そこからしっかり上位着にまとめ、予選が終わってみれば第6位=準優2号艇を召し取っていた。
 素晴らしい。大志郎の成績を整理すると、もらい事故(道中は2、3番手だった)を除いて1・3・2・2着。先に「予選のオール3連対は寺田のみ」的なことを書いたが、アクシデントに目を瞑れば大志郎もオール3連対の大活躍。で、「アレがなければ準優1号艇だったかも?」という気もするのだが、それより「こういう選手が、枠番に関係なく準優ではかなり怖いぞ」と肝に銘じておきたい。

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 それからそれから、準優のセンター枠でメチャクチャ怖いのが徳増秀樹だ。今日が6着大敗=6・17だったから「準優は良くて5号艇あたりか」と思っていたらば、ボーダーがズンズン下がって9位でフィニッシュ! 今日のスリット足は石野や寺田ほどの迫力を感じなかったが、ここ一番の勝負どころでは抜群の破壊力を誇る「徳増クオリティ」に変貌する可能性を秘めている。明日の昼特訓やスタート展示、はたまた展示タイムは、抜かりなくチェックしておきたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)