BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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賞金女王ファイナル 私的回顧

必然

 

'12R賞金女王決定戦

①平山智加(香川) 10

②長嶋万記(静岡) 27

③海野ゆかり(広島)10

④山川美由紀(香川)16

⑤鎌倉 涼(大阪) 18

⑥寺田千恵(岡山) 15'

 

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 勝って当たり前のレースを、すんなり逃げきった。

 今日の平山を語る場合、この表現だけでいい。本来は。ボートボーイにも書いたが、平山は「賞金女王」というくくりのレベルで語るべきレーサーではない。ここ3年の女子GI(女子王座、賞金女王)のべ6シリーズで、優勝戦1号艇が4回。この数字が、そのままレベルの違いだ。実力の証だ。GI近松賞優勝に直結する数値と言っていい。

 ただ、これまで平山はその女子GIの優勝戦1号艇で、3度連続敗れ去った。たまたまの3連敗ではあるのだが、それが今節を盛り上げるテーマになった。

「1号艇の呪縛」から逃れられるか。

 

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 マスコミもファンも、そこに興味を抱いた。もちろん、平山本人も意識したことだろう。

 足踏みしてしまったココを今度こそクリアして、次に進みたい。

 と。水神様は今節も悪戯好きだ。平山にとって「1号艇の呪縛」がどれほどのものか、それを試すかのように1号艇を与え続けた。成功し、失敗し、成功して、最後の白カポックを羽織った。

 私は、迷いに迷って本命を長嶋にした。別に、平山が「失敗する」と予想したわけではない。平山がインから普通に仕事をして、それを長嶋が差すチャンスが十分あると考えた。一般戦などのレース予想の組み立てと同じスタンスで「平山の逃げと長嶋の差し、可能性とオッズを計りにかけて、どっちがいいか」を考えた。悩んだのは、そこだけ。「意識しすぎて、また遅れるかも」とか「ハンドルが入らないかも」とか、そんなメンタリティの部分はむしろ無視した。

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 なぜなら、繰り返すが平山はココのレベルで語るべき選手ではないから。平山はいつだってクリアできるのである。ただ、レースは水物で、それをクリアするのが今日かどうか、わからないだけだ。

 そして、平山は今日でケリを付けた。勝って当たり前のレースを、すんなり逃げきった。これで平山の中から“余計な意識”がひとつ消えた。その分、女子レーサー界ではさならる無敵モードに突入していくだろう。そして、もはや振り返ることもなく、さらなる上のレベルに突き進むだろう。さらなる上のレベル。周年記念を制し、女子界を制した平山に残された「さらなる上」は、もう数える必要さえない。(photos/シギー中尾、text/畠山)

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