BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ペラ大幅叩き変え!

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 ガツンガツンガツン。

 前検日に、こんなにも大きくペラを叩く音が響いたことって、あっただろうか。

 新プロペラ制度になって以降、前検日にペラを大きく叩き変えるシーンは、よく見かけるものになった。前操者が叩いた形が、自分の形とまるで違っていることはよくあることなので、何はともあれ自分の形に、という選手が少なくないわけだ。試運転やタイム測定の前に叩いている選手もいれば、タイム測定等は前操者の形のまま乗って、その感覚をもとに叩く選手もいる。

 それにしたって、今日は多くの選手が、ガツンガツンガツンと木槌を振り下ろしていたように思う。たとえば山崎智也。親の仇のごとく……というと語弊があるかもしれないが、とにかく全力で木槌を振り上げ、全力で振り下ろしていた。あれだけ叩けば、完全に形が変わるだろう。

 

 

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 女子選手も強烈に叩いていた。田口節子が代表選手か。タイム測定と試運転を終えると、ペラ調整所に直行。しつこく言い寄る男をぶちのめす……というと語弊がありまくりだが、とにかく智也並みのパワフルな叩きをペラに入れていたのである。

 

 

 

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 そうした選手が多いように思えたのはなぜか。ヒントは、今村豊のドリーム会見での言葉か。今村自身、今日はかなり重たいと感じたようだ。重たいというのは、回転が上がりにくいということ。こうなると起こしの足が安定しないし、ということは出足にも影響する。ただ、今村はこうも言ったのだ。

「たぶん、みんなそう感じているでしょ」

 事実、峰竜太や桐生順平も、同様のことを口にしていた。今朝は雨が降っていたし、また気温もわりと高めになっているので、回転不足に陥りがちなのだろう。

 

 

 

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 さらに、カマギーだ。試運転を終えた鎌田義が、笑顔で歩み寄って来たので、好感触?と思ったら、まったく逆だった。「こりゃひどいわぁ~」。なんでも、カマギーのモーターは前節でデビューの新人が引いたものだとのこと。形はぜんぜん違うだろうし、ペラ調整の技術も未熟で当然である。また、モーターには温水パイプがついているとのこと。この時期に温水パイプがついているというのは、パイプを外すと気配が一変することがあるため、SGでそれをすると多くのファンが戸惑うのではないか、という配慮のもとだと思われる。ただ、温水パイプは凍結防止のために装着するのであって、やはりこの季節には適していないという一面もあると思う。

 というわけで、タイム測定後のカマギーは、やはりペラをガツンガツンと叩いていたわけだが、つまり多くの選手がペラを思い切り調整する必要性を感じる状況にあったということである。

 

 

 

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 あと、松井繁がこんなことも言っていたぞ。「今節で使い納めになるのかな? だったら、(1年も使ってきているわけだから)本体整備で良くなる余地は少ないだろう」。そう、福岡のモーターは約1年使い込まれている。それだけに、数字の信頼度も高いということも言えるわけだが、一方で整備し尽くされているモーターもあるわけだから、調整の拠り所はやはりプロペラということになるのだろう。もちろん、今垣光太郎が「明日は時間があるので本体整備」と言っていたりして、逆に思い切った本体整備に手をつける選手も出てきそうだが、前検日の様子は「まずはプロペラで何としても回転を合わせる!」という強い決意のようなものが、ピットの空気から伝わってきたのである。

 逆に言えば、これだけペラを強烈に叩いたことで、前検から気配が一変する選手が出る可能性がある、ということにもなる。明日の展示(福岡の展示タイムは信頼度が高いと言われているぞ)やレースで、ぜひそれぞれの足色をチェックしてほしい。思わぬお宝が見つかるかもしれないぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)