BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――整備!

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 前検のピットで、格別目立って見えたのは、今垣光太郎だ。

 

 今垣はスタート練習2班。今節、登番が上から6番目で、あの光ちゃんがもうそんな世代に……という感慨もあるわけだが、それはともかく。2班だから、スタート練習とタイム測定を終えるのは2番目に早いわけで、つまりは陸に上がるのも早いわけである。

 しかし今垣は、整備室にもっとも遅くまで残った。8班、9班の若手組がスタート練習&タイム測定を終えた頃、1~3班くらいの選手の中には、すでに作業を終えたのか、整備室にもペラ室にも姿を見かけない選手が何人もいた。そんななか、今垣は本体と向き合い続け、若手たちもギアケース調整に取り掛かり始めた頃、やはりギアケースを外して調整に入っている。整備士さんと何かを話している表情が、ギアケース調整所は奥のほうにあるため、笑顔なのか苦悶なのか判然とはしないのだが、工具の使いっぷりが必死さを伝えてくる。

 さらに今垣は、伝票のようなものにペンを走らせ、部品室に走っている。その頃にはもう作業終了の時刻が迫っていたから、これから交換作業をしようというわけではないだろうが……。明日の部品交換の予約だろうか。

 そうこうしているうちに、若手たちも次々と作業を終え、ついに今垣は松尾昂明や西山貴浩ら新兵と同じタイミングで作業を終えることになっている。間違いなく今日もっとも忙しく動いていた男である。 

 今垣のことをかつては“整備の鬼”とよく書いたものだ。最近書かなくなったのは、決して整備をしなくなったというわけではなく、しかし今日は久々に鬼っぷりが強く印象に残った。笑顔の光ちゃんも魅力たっぷりだが、鬼の今垣光太郎も最高だ。

 

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 とことん整備をする男といえば、赤岩善生もそうした一人。前検日でいえば、ギアケースをじっくりと整備する姿を見かけなかったことがない。そして、今日ももちろん、その姿があった。

 気のせいかもしれないが、表情がいくぶん柔らかく見えるのだが。市川哲也に声をかけて談笑している際の笑顔。報道陣に囲まれているときの顔つき。それらがやけに涼しげに見えるのだ。

 ギアケース調整中、調整場が満杯だったため、郷原章平が赤岩の真横に立って空くのを待っていた。普段なら、赤岩が郷原を立たせている図、なんてふうに思えたりもするのだが、今日は郷原が赤岩を急かしている図、にも見えたりして。真摯な表情のときの目つきの鋭さは変わることはないが、しかしちょっと違う雰囲気を感じた今日なのであった。

 

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 もう少し整備の話を。前検日から本体を外して調整をしている選手というのは、それほど多くはない。前検での手応えがかなり悪かったか、よほど何か気になった部分があったか、そのどちらかだろう。前検日の調整はやはりギアケースなどの“外回り”が中心である。

 そんななかで、本体を整備していたのは田口“女王”節子だ。スタート練習&タイム測定を終えると、速攻で整備に取り掛かったようだ。整備士さんがつきっきりで調整しており、ちょっとした焦燥感も伝わってきた。もっとも、整備を終えたあとには、笑顔も見せていたが……。

 

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 山川美由紀、市川哲也といったあたりも、入念に整備しており、本体整備用テーブルで目立ったのはその3人か。なるほど、山川は2班、市川は3班、一方で田口は7班。整備に割ける時間が短いため、大急ぎでの作業だったのかもしれないな。

 

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 ちなみに、瓜生正義はギアケース調整。

 

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 池田浩二は原田幸哉と並んでペラ調整。2011年を爆走した“瓜池”は別の場所で対照的な時間を過ごしていた。明日のドリーム戦、1号艇と2号艇で真っ向対決する最強戦士たちは、SG開幕戦でどんな戦いを見せてくれるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)