1R前、整備室では吉田拡郎が、手を真黒にしてマフラー洗浄を行なっていた。今節はこれが2回目だ。前回のマフラー洗浄もプラスに作用したとの判断で、再度、この作業を行なうことにしたのだろう。
その後、「昨日はよく眠れましたか?」と聞いてみると、「はい、よく寝れました」とニッコリ。「少し早めに目が覚めましたけど」とは付け加えていたが、優勝戦のプレッシャーはいまのところはないようだ。
1R後、田口節子に手伝ってもらってモーターをボートに取り付けていたが、その後は慌てた様子もなく過ごしていた。
ちなみにその少しあと、田口は今村と2人で装着場を歩いていたが、そこにカメラマンがレンズを向けると、“ミスター”は大慌て!
「おっ、写真、撮られる! 危ない危ない、フォーカスされるとこやった。フライデーに載ったらどうするんや」とミスター。
……ただ、ちょうどこのときは、松尾昂明の水神祭が行なわれようとしていた頃だったので、その場面に注目している記者たちはほとんどいなかった。
カクローと同じタイミングで、今垣光太郎もマフラー洗浄をしていたので、いかにも今節を象徴しているようだった。
とにかくマフラー洗浄が大流行の1節だったのだ。
黒須田が今垣に“直撃”したところ、「今日は出足を捨ててでも伸びをつけていくつもり」で、このマフラー洗浄もそれを考えての作業だったということだ。
昨日の共同会見の言葉どおりの行動をとっているわけだが、そんな今垣にも焦りの色などはまったく見られなかった。
同じ時間帯から中島孝平はペラ小屋での作業を続けていた。
自分のプロペラの具合を確認しながら、傍にいた横澤剛治に話しかけるなどしていたが、これまでに見てきたなかでは、リラックスできているようだった。
ポールポジションに入る馬袋義則もやはり1R前から、その姿が見かけられている。
遠目に見たときは、眠そうな顔をしているような印象も受けたが、これは地顔か。いかにも人が好さそうで、ひょうひょうとしているので、そう見えただけだろう。
1R前にペラ小屋のゲージを片づけていたので、この後はもうペラ調整の必要もないと判断していたとも推測される。
その後は、1R、2Rと、エンジン吊りに出てきながらも、作業を終えるとすぐに姿を消してしまうといった感じだったので、仕上がりについては納得の域に達しているのだろう。
1R後、早くも試運転に出ていったのは坪井康晴だ。
引き揚げてきたあとは、吉田俊彦を相手に手応えを話していたが、その雰囲気は悪くなかった。
大一番の前には、比較的厳しい顔をしていることが多い印象もあるが、今日に関しては、そんな印象も受けなかった。
その後、プロペラを外してペラ小屋と入っていったが、動きもゆっくりしていたので、こちらもある程度、足には納得しているものと思われる。
印象だけでいえば、いかにも怖い伏兵といった感じだった。
白井英治については、エンジン吊りの手伝いに出てきたところを見かけただけで、作業をしているところは見ていない。
昨日の段階で「エンジンは仕上がっている」とも話していたので、やはり慌ててやるべき作業はないのだろう。
ちなみに昨日の白井は「前日のマフラー洗浄で良くなった」とも言っていた。
今日の優勝戦……、機力面では「超抜レベル」のメンバーが揃っているので、優勝戦に向けては、比較的ゆるやかな時間の流れになっていくのかもしれない。
(PHOTO/山田愼二=吉田、今垣、坪井、白井 中尾茂幸=馬袋、中島 TEXT/内池)