BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――3日目らしい朝

●大きな動きなし

 3日目の朝ともなれば、このクラスの選手たちには特筆するような動きはあまり見られない。経験豊富であり、それぞれにノウハウもあり、大きな整備は昨日までにすでに手をつけている。もちろん、明日以降はまた話は別。勝負駆けだったり準優だったり、まさに勝負をかけた整備が見られることはありうるだろう。
 他と動きがやや違っていたのはまず今垣光太郎。モーターを装着したのは2R発売中で、それまでは整備室で作業をしていたのだ。ただ、遠目で見て分解されていたり、ギアケースが外れていたりといった様子はなく、今垣なりの細かな調整だったように見受けられた。誰よりも数多く走ってきた地元水面だけに、三国なりのノウハウはしっかりと蓄積されていよう。

 仲口博崇は2R発売中でもまだモーターを装着せず。装着場のほうからは死角になっている部分で作業をしていたので、その内容についてはまったくわからなかったが、今垣同様に12R1回乗りと時間があるだけに、点検も含め、じっくりとモーターと向き合っているものと思われた。

●ペラ室は盛況

 というわけで、見出し通りにペラ室は調整する選手で盛況の状態。換気のためだろう、出入口のドアは開け放たれており、そこから見えるのはまず村田修次。節間通して、このドアの向こうで姿をよく見かけている。その周囲には東京支部の選手も見かけられ、昨日などは濱野谷憲吾が村田の隣で叩いていたりした。

 2R発売中に4Rのスタート特訓が行なわれており、それを終えた白井英治がペラ室の出入口付近に陣取ってペラを叩き始めていた。昨日のレース後に本体整備を行なっていた白井(いま直前情報を確認したら、リング2本交換でした)。ここからはペラをしっかりと仕上げていく作業に入るだろう。

 1Rを逃げ切った服部幸男は、着替えを終えるとペラ室へ。服部のペラ調整といえば、地元浜名湖の記念などではペラ室の同じ場所に、まるで根を生やしたように収まって、懸命に叩いていた姿を思い出す。それにしても、服部はやっぱりカッコいいですね。勝って凱旋し、ボートリフトに向かってスピードを落としたとき、陸の上から白井が右手をあげて祝福。それにヘルメットのシールドをあげて応える姿は、本当に絵になるのだった。史上最年少SG覇者も50代に突入しているわけだが、今でもスーパースターである。

●田頭欠場

 昨日の10Rで足を痛めたようだった田頭実。レース後は元気にモーター格納をしており、また今日も朝から試運転や作業をしていたのだが、なんと4Rは欠場となってしまった(9Rも)。2R発売中のスタート特訓には参加していたのだが、それで悪化してしまったのだろう。途中帰郷となり、その理由には右大腿鬱血とある。残念。一刻も早く、快癒することを願います。

 実は2R終了後、田頭が白井に声をかけている。田頭はにこやかだったのだが、白井は目を丸くし、やや不穏な表情になっていた。何を話していたのだろう、と考えていたのだが、あれは欠場を告げられた瞬間だったのではないか。なにしろ田頭は1号艇、白井は2号艇。田頭欠場となれば、白井は実質1号艇のようなものなのである。白井も急に言われて驚いたのではないかと推測する。白井はその4R逃げ快勝。田頭に捧げる勝利だ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)