BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――まさかの……

●王者欠場

 2R発売中に水面に降りていった松井繁。早い動き出しだと見ていたのだが、数分後にはあがってきて、伊藤誠二が松井のボートを引いて移動していた。松井はカポックを脱ぐと競技本部へ。明らかに右足を引きずっており、競技本部を出ると次はペラ調整室へと向かった。その出入口では、白井英治らが神妙な表情で松井を待ち構えており、ペラ室に入った松井を心配そうに見守っていた。

 次の瞬間、選手班長の今垣光太郎がペラ室を飛び出し、さらに同支部の田中信一郎らが急ぎあらわれて、モーターを外し始めた。今垣が松井のカポックを手に控室のほうへ向かいながら、こちらに「骨折してるみたいです」と告げる。その後、モーターは整備室へと運ばれ、返納作業が始まった。

 王者、欠場……。発表によると、右足第5指骨折疑いとあるが、事の次第はわからない。ただ、11Rに出走できないということは確かである。返納作業の間、松井は毅然と振舞ってはいたが、心中はいかばかりか……。返納作業には、今垣や田中、魚谷智之ら近畿地区の選手のほかに、瓜生正義や白井が加わってヘルプ。手早く行なわれていた。同期の服部幸男、鈴木博は浮かない表情で松井を見つめる。重い雰囲気となっているその周辺を見ていると、やっぱり王者の欠場は一大事だと思わざるをえない。こうしたときの常套句だが、まずは快癒を願う。オールスターでは元気な姿を見られると信じよう。

●とにかく走る!

 予選トップで地元ビッグの主役を張る今垣光太郎は、班長の仕事のかたわら、懸命に準優への準備も進めている。朝イチから撮影をしていた中尾カメラマンによると、早くから試運転をしては、ボートを陸に上げて整備室へと持ち込み、を繰り返していたとか。1R発売中にはたしかにボートは整備室内にあり、ただそのときは本体整備などではなく、プロペラ調整をしているのだった。3R発売中にはふたたび水面へ。万全で準優を迎えるべく、早くから調整作業に余念がない。というわけで、ピットでの今垣はいつも走っている! ピット内を移動しているのを見かけるとき、7割くらいは走ってるんじゃないかな。光ちゃんはいつだって全力投球!

●全員2回乗り!

 今日の一般戦組はなんと全員が2回乗り! これは珍しいことだ。途中帰郷選手が相次ぎ、一般開催と違ってSGやPGⅠの準優組は原則1回乗りだから、実は一般戦組の人数がギリギリになっているのだ。
 というわけで、レース後のエンジン吊りがなかなか慌ただしかった。いや、いつも慌ただしいけど、レース間隔が短い選手もいるから、急ぎ方が普段の2割増しくらいのような気がする。準優組も調整の手を休めてヘルプしており、たとえば2Rには近畿地区の選手が4人もいるから、関東の濱野谷憲吾が繁野谷圭介のエンジン吊りに加わって、率先して動いたりしている。濱野谷が繁野谷のヘルプ……どうでもいいですか、そうですか。

 その2Rでは吉川昭男はもちろん同支部の川北浩貴のエンジン吊りに参加していたわけだが、それが終わると吉川元浩のエンジン吊りに転戦。元浩はこのレース、スタート後手でシンガリ負けに終わっているが、昭男が肩をぽんぽんと叩いて慰めていた。吉川が吉川を激励……どうでもいいですか、そうですか。
 エンジン吊りのあとはもちろんそれぞれの作業に急ぎ戻る準優組。その動きの俊敏ぶりは新鋭にも負けておらず、まるで年齢を感じさせない。ベテランという言葉でイメージするものとは違うのである。準優も、若々しい戦いが見られるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)