早い段階でゲージ擦りをやっている選手はエンジン出ている。
新プロペラ制度導入以降、
勝手に法則と考えているのがコレだ。
出ているからエンジンをいじる必要がない。
プロペラも、自分のペラではなく、
しかしエンジンに合っているわけだから、
こちらも叩く必要はない。そこで、そのペラのゲージをとる。
ということではないのかと思っている。
実際、早くからゲージを作っている選手は、
成績がいいような気がする。
ちゃんと統計とったわけじゃないけど。
今日は、服部幸男がゲージ擦りをしているのを発見。
服部といえば、持ちペラ制時代はペラ室の主のようにして、
ひたすらペラ叩きに励む姿が普通だった。
地元浜名湖では、服部ポジションと言うべき指定席があって、
そこでは常に服部の姿が見られたものだった。
もちろん、その姿勢は新制度になっても変わらず、
鋭い視線でペラ叩き、というのが主に見られる服部幸男である。
その服部がゲージを擦っていたので、少々驚いた次第。
ここまでの好成績を見れば、やはり……なのか
寺田祥のゲージ擦り姿も見かけた。
今日の寺田は、盟友・白井英治が登場したことで、
行動をともにすることが多かった。ペラ室を覗けば、
白井と向かい合ってペラを叩いていたりもした。
しかし、終盤の時間帯に入ると、ゲージ擦りに取り掛かった。
服部と違って、中間着が続いているのだが、
モーターには手応えがあるということか。
というところで、H記者に見立てを聞いてみたら、
「俺はいいと思ってるよ」だそうです。ふむ、なるほど。
本体整備はエンジン出てない証し、というのは、
別にプロペラがどうこうに関係なく、真理のひとつである。
出ているエンジンの部品を換える選手はまずいない。
成績がついてこないから、何かをしなくちゃと本体に手を付ける。
これは変わることないセオリーのひとつである。
平本真之は、11R出走を控え本体整備。
本体部分だけを外して整備室に持ち込んでおり、
7R頃に整備を終えて、装着した。好漢・平本は、
顔を合わせれば、機力がどうであろうと、
明るく丁寧に受け答えをしてくれる。本体を装着し、
点検しているところに近づいても、それは変わらない。
だが、もちろん心中は穏やかではない。
シャフトの取り付けを調整したとのことだが、
それがなんとか正解につながってほしい。
それが平本の思いのすべてである。
斎藤仁も本体整備。6着2本という
不本意すぎる成績で終わったあと、整備室にこもった。
7R前にはすでに整備を始めており、
10R終了後に覗いてもまだ同じ場所で本体と向き合っている。
初めてのSGドリーム戦を経験し、
その意地や責任感もあるなかで、まさかの大敗続き。
何とかしなくては、の思いは強いことだろう。
これまた超好漢・仁ちゃん。表情は決して暗くは見えないし、
顔を合わせれば実に丁寧に受け答えしてくれるのだが、
平本同様、焦燥感がないわけがない。
二人ともこの整備が当たって逆襲に転じる態勢ができれば、
と応援したいぞ。
さてさて、今日から決定戦組が合流したことは
何度も書いているわけだが、ピットを眺めていると
ちょっとした違和感を覚えたりもする。
係留所に決定戦用カラーカウルが装着されたボートが並んでおり、
着水しているのは誰かしら、と名前を確認していると、
1号艇が3艇もあることに気づく。
なんでトライアル1号艇が3人もいるの?
ネームプレートを確認。
池田でしょ、井口でしょ、太田でしょ……やっぱり3艇もあるぞ。
はい、おわかりのとおり、池田浩二がダウトである。
しかし、決定戦組のボートに囲まれて、
白い旗のついた「池田」というボートがあると、
つい決定戦組のほうに認識してしまう。
ペラ室を覗いても同様。池田は今節、
賞金王ジャンパーを着用しており、
その格好でペラを叩いていると普通に「池田、ペラ」と
決定戦用メモに書き込んでしまうわけである。
賞金王ジャンパー着用は、岡崎恭裕も同じ。
今日は峰竜太と話し込む姿を何度か目撃しており、
それは決定戦メンバー同士の会話にしか見えない。
数秒後に、岡崎はシリーズ組じゃん、と気づいて、
そこで違和感がじんわりと脳みそに浮かんでくる、という次第。
ようするに、決定戦とシリーズを分かつものは、
ほんのわずかな差でしかない、ということだ。
それも、1年間限定で浮かび上がった差。
シリーズ戦のピットには、決定戦にふさわしい選手は
12名以上は確実にいるわけである。
それが、ほんのちょっとしたことで決定戦とシリーズ戦という
大きな差になっているのみ。
やはりここにも猛者たちがどっさりと揃っているのである。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)