今日もまた「優勝戦組はゆったり過ごしていて、大きな動きはなかった」と書くんだなあとか思いつつ朝からピットに入ったら、まあ大きな動きというほどではないのだが、それぞれにそれなりの動きがあったのだった。なかなか珍しいことではあるまいか。
①濱野谷憲吾
6人のなかでは比較的ゆったりとしていたのはこの人であった。といっても早晩、ペラ室にこもることにはなるんだろうなあ、と想像される。2R発売中、長い木製の定規を手にした池田浩二と肩を並べて池田のボートへ。池田が艇底に当ててモーターとの取り付けを濱野谷に見せるのだった。これは「俺の取り付けはこうなってるよ、と濱野谷に教える図」だったのか、「この取り付けをどうしたらいいと思う?とアドバイスを求める図」だったのかは、遠目にはわからないのであった。濱野谷の噴き方を考えると後者とも思えるのだが、果たして。いずれにしてもこの二人は仲良しである。
②馬場貴也
いつもの屋外調整所でプロペラ調整を始めるその前に、モーターをウェス(布切れ)で丁寧に磨いていた。最後の戦いに臨む相棒をいとおしむように。さらに、優勝戦用に付け替えられたカウルのボルトをきつく締め込んでいた。もちろん、艇修理の方々が電動ドライバーでしっかりと締め付けてはいるが、手作業でさらにきつく締め込もうという選手はけっこう少なくないものだ。
③瓜生正義
1R発売中からこまごまとした動きが見えていたのだが、2R発売中には水面へと降りて行った。早くから試運転をしようと、もろもろの準備をしていたということだろう。
④篠崎元志
さすがに閑散としていたペラ室。そこに一人こもっていたのがこの男だ。といっても、大きく叩き変えるような動きはなく、ゲージを何枚か当てては、小さく丁寧に叩いていた。まさに微調整といったところだろうか。
⑤峰竜太
濱野谷とともに、わりとゆったりしていた印象。ペラは外れていたので、ゲージ擦りに勤しむのかもしれないし、あるいは早めに調整に取り掛かろうという可能性もある。どちらかというと前者っぽい雰囲気。
1R発売中には、守屋美穂と話し込む様子もあった。峰の話ではないのだが、守屋については他支部の男子の先輩にも教えを請う場面をけっこうよく見かける。田村隆信や柳沢一が多いだろうか。そして今日は峰か。これ、本当に大事なことではあるまいか。このクラスの男子先輩と一緒になる機会は頻繁というわけではないであろう現状、そのチャンスに彼らから得るものはたくさんあるはずだと思う。特に、こうした舞台で戦うためには。ということで、峰選手も守屋選手にちゃんといろいろ教えてあげてください。
⑥平本真之
動きが最も活発だったのは平本だ。1R発売中にはすでに係留所にボートがあり、屋外調整所で大きな金属音を響かせていたのだ。つまり、試運転と調整の繰り返しを朝から、というわけだが、準優を見る限りモーター気配は悪くないように見えるんだけどなあ。で、思い出したのは去年のグランプリ優勝戦の朝。平本はチルトを跳ね、ペラを伸び仕様に叩いていたのだ。結局、優勝戦で戦える仕上がりにはならなかったことから、チルトもペラも戻して優勝戦に臨んでいるのだが、今日の雰囲気はあの日に似てるなあ。まあ、考えすぎかもしれないけど。ちなみに、グランプリは4号艇で今日は6号艇。今日のほうがさらに伸びを求める必然性はありそうではあるが。一日かけてどんな仕上がり、または取り付けで臨むのか。直前情報は必ずチェックしたい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)