BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――爽笑!

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 今さらながらだが、ピットでの選手との接触は気を使う。特に、レースを目前に控えている選手。いちばん危ないのが朝一番で、出走表をろくに頭に入れないままピット入りすると、1R待機中の選手にうっかり声をかけてしまいそうになる。インタビューなどで一日だけレース場に足を運んだときがさらに危なく、レース場に着くなりピットに入って各方面に挨拶をするわけだが、今が何Rだが把握しないままに入ると、失敗しやすい。先日三国に行った際、吉田俊彦がいたので声をかけたら、これが展示から戻ってきたところだったという。ピットを出て出走表を見てひっくり返り、心の中で「トシ選手ごめんなさーい」と平謝りしたものだった。結果、そのレースを勝ってくれて、胸をなで下ろしたのだったが。

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 前置きが長くなったが、ようするに今日も危なかったのだ。ピットに入ると菊地孝平とバッタリ。ペコリと頭を下げたら、菊地は最高の笑顔で応えてくれた。菊地らしい、陽気で優しいスマイルであった。ちょいといい気分で菊地を見送ると、菊地が向かったのは出走ピット。時は1R目前、菊地は2R出走、ということは、展示の準備に向かうところじゃないか。まだ展示でよかった、といったところだが、レース直前であるのは間違いない。本来は特に気を使うべきタイミングだった。こっちはなんとも無防備で、背中に向かって「キクちゃん、すみませーん」と念を送った次第。そして、菊地は2Rを見事に逃げ切ってくれて、僕は安堵したという次第なのであった。というか、レース前に僕と接触するのって縁起よかったりして?

 レース後の菊地の笑顔が、また最高だった。やっぱキクちゃんはこうでなきゃ! もちろん、勝負どころを前にして脳内コンピュータをフル回転させている菊地モードもカッコいいけど。

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 1Rを持ち前のS一撃で勝った吉田拡郎も、レース後はいい笑顔だったなあ。岡山勢に囲まれると、それが照れ笑いへと変わっていったのだが、それもまたカクロー。その隣で、川﨑智幸もおかしそうに笑っていたのが印象的だった。菊地もそうだが、今日の成績は予選突破の可能性を左右する重要事項。ゴンロクスタートだったカクローはまだ予断を許さないが、しかしここで1着が出たのは大きい。後半はこれをアップしてすぐに行なわれる6Rだが、勢いに乗っていけるだろうか。

 

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 今節はじめて森高一真と接触。ちょっとウキウキ気味に、好調ぶりを伝えようと近寄ると、森高は「たまたまや」と一言吐き捨てるのみなのだった。成績は絶好なのに、森高の顔にはまるで余裕がない。勝って兜の緒を締めているというよりは、負けが立て込んでパワーアップに必死、といった表情なのだ。森高いわく、「裏付けがないんや」。成績ほどのパワーをモーターに感じず、きっちり自力で勝ってきたという手応えをまるでつかめていないのだ。そのまま足早に整備室へと駆けこんだ森高。好成績に浮かれていないのは、まあ好材料なのではあろう。

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 同じように忙しそうに動いていたのは石渡鉄兵。ここまでまだ舟券には絡んでいないから、まさしく崖っぷちだ。ペラ調整、試運転を繰り返し、さらには2勝をあげて好調な山田哲也にペラのアドバイスを求めたりもしていた。後輩に頭を下げてまで現状を打破しようという姿は、まさに断固たる決意の賜物。まぎれもない勝負駆けとなる6Rに懸ける思いが伝わってくる。だというのに、顔を合わせると爽やかにニッコリ笑ってくれるのだから、素敵なお人柄である。

 

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 雨が上がって、早い時間帯は青空が見えていた3日目。ピットには多くの爽快があった。で、そんなときにやっぱり目立つのは今村豊。川﨑智幸になんか愚痴こぼしながら、にこにこといつもの笑顔を見せていた。52歳になっても、やっぱり爽やかなミスターです!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)