BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――落胆

 1号艇で、ピット離れ遅れた菊地孝平に回り込まれてインを奪われ、敗れる。油断に近いようなかたちでの敗戦に、今垣光太郎の表情は冴えず、また力弱い雰囲気である。まあ、そうなってしまうのも当然といえば当然だ。レース後の今垣は、ペラ室にこもってハンマーを振るい続けた。まるで鬱憤を打ち砕くかのような強打……というのは、もちろんこじつけに過ぎないのだが、それにしてもかなり激しくペラを叩いていた。明日は一日早い勝負駆けとなる。なんとか望みをつなぐ、3日目としたい。

 勝った菊地孝平は、尻上がりに着順を上げてオール3連対。しかし、レース後はすぐに本体をバラしている。たしかに、水面を見ていると成績通りの足色とは正直見えない。勝利者インタビューでも、同様の旨を本人も語っていたようである。好成績に甘んじることなく、さらなる上昇をはかって褌を締め直す。上積みができれば有利に戦えるポジションを手にしたことで、さらにパワーアップの決意を強くしたかもしれない。

 なお、同じころに池田浩二も整備室の本体整備用テーブルにいて、ボルトを締める様子が見られました。その前のタイミングを見ることができていないので、作業の内容は不明。ただ、それこそ機力上々でオール2連対という素晴らしい成績でも、まったく気を緩めていないのは明らかだ。このまま突っ走る可能性はたっぷりあると思う。

 10R、4カドから好スタートを放った遠藤エミだが、内を絞めにかかったときに3コースの岡崎恭裕の舳先と接触し転覆。不良航法と選手責任転覆でマイナス15点という、なかなか重い減点を喫してしまった。11R発売中には転覆整備を行なっていたので、身体のほうには大過なかったようではある。転覆の瞬間、危険な転び方にピットには悲鳴のような大きな声が響いている。何事もなかったようにピットにあらわれた遠藤を目にした者はみな、安堵したはずだ。

 煽りを受けた岡崎恭裕はガックリ。2号艇だった長田頼宗と肩を並べて引き上げながら、大きく肩を落とし、うなだれていた。ほぼレースに参加できなかったわけで、不完全燃焼も甚だしいといったところ。この分の大暴れを明日に期待しよう。

 11Rは茅原悠紀が逃げ切り快勝。仲のいい菊地孝平とヒソヒソ話しながら、足取りが完全に弾んでいて、なんとも気分は良さそうだった。このエンジン吊りに、池田浩二が参加。池田は磯部誠を出迎えていたのだが、このレースは中四国地区が3選手出走していて、しかも岡山の守屋美穂は12Rの展示中。勝った茅原陣営が手薄だったのだ。それを察知して、同支部の後輩は東海地区の仲間に任せて、茅原陣営にスイッチ。池田浩二、ピットでの動きも軽やかです。

 磯部が整備士さんに声をかけられて爽快に笑っていたのも印象に残る。今朝は本体をバラしていたわけだが、そのときにアドバイスを受けたりもしたのだろう。5コースから伸びてまくりを放ち、旋回の出口ではすーっと前に出て2番手確保。なかなかの好気配は、朝の整備とアドバイスが生きたということか。オールスターの悔恨を晴らす機会は、案外早く訪れるかも!?(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)