BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――岡山連勝!

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 濱野谷憲吾のレースは、その日のハイライトと化している。あの超抜伸びが炸裂するのか。他の選手はどう対抗するのか。我々にとってもそうだし、選手仲間にとっても気になることに違いない。

 今日の濱野谷は6号艇。あの伸びがあれば、“アワカツヤ”ができるのではないか。もちろん他5名はそうはさせたくないわけで、特に1号艇の茅原悠紀にとっては大きな勝負どころであった。

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 結果、茅原は逃げ切った! 濱野谷のまくりを受け止めて、一目散に逃げた。ピットに戻ってきた茅原を出迎える岡山勢はみなニコニコ。先輩たちの笑顔を見て、茅原の目も自然と細くなった。

「スタート、どうだった?」

「14です」

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 勝利者インタビューなどを終えた茅原に、吉田拡郎が問いかける。スタートタイミングを確認していた茅原は、溌剌とそう応えている。これはトップスタート。濱野谷の伸びに対抗するために、まずはスタートを決めた。それを韋駄天カクローに報告することは、もちろん意味がある。

「速い速い!」

 カクローに褒められて、茅原がまた目を細めた。この勝利、本当にお見事、そして実に大きな10点である。

 で、服部幸男の途中帰郷によって、予選5走予定だった茅原は6走となった。それを知らなかった茅原はたまげていたが、同時に「5走なら準優当確」が「6走なのでノルマ発生」となっている。

「むふふ、これがどう出るかな」

 そんなふうに笑っていた茅原だから、きっと問題なくクリアしてくるだろう。

 

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 10Rは山本浩次がカドから快勝。岡山勢が2連勝となっている。

 山本が凱旋し、ボートリフトに乗ると、出迎えた岡山勢が山本に何事か伝えている。競技棟のほうを指さしたりして、山本も何度かうなずき返していた。

 そこに、エンジン吊りのため今村豊が登場。岡山軍団に何かを伝え聞くと、「よし、ここはいいから、すぐに着替えに行け!」。今村は率先して、エンジン吊りを手伝うのだった。山本は大先輩に促され、エンジン吊りを免除されるようなかたちで控室へと走る。今村は「あ、勝利者インタビューがあるのか……」と心配そうな表情にもなっていたのだが……。

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 若松の選手宿舎はピットに隣接されており、徒歩30秒の距離なのだが、バス移動の宿舎と同様、“1便”と“2便”があるのです。1便はやはり10R終了後に出発。山本は、1便後に帰宿の予定だったのだ。1便の“出発”まで時間がない! というわけで、仲間たちは山本抜きでエンジン吊りをほとんど終わらせ、着替え&インタビューを急がせたという次第。徒歩30秒とはいえ、勝手に宿舎に帰るわけにはいかないから、1便で帰るならその時間に間に合わせなければならないのだ。選手たちは、そんな厳重な管理下で戦っているわけなのですね。今村豊であろうと松井繁であろうと。ちなみに、1便バスに乗り遅れてしまって居残り、なんてシーンも時々見かけたりします。

 

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 さて、前半ピット記事で、壁登りにトライする興津藍と辻栄蔵の姿をお伝えしたが、興津に尋ねてみたら、日常的にボルダリングをやってるんだそうです。「辻さんもやっているそうで、今節その話で盛り上がってるんですよ」。こんな話を聞くと、ボートレーサーはアスリート的な一面をもつのだと改めて感じる。もちろんそれだけが選手の本質ではないが、全身で高速ボートを操り、強烈Gに耐えて旋回するためには、強靭な肉体も必要(それを古希を迎えても維持する加藤峻二は、だからスゴイ)。「いい運動になりますからね」と興津も、このトレーニングが選手としての下地を作るのに役立っていると感じているわけだ。新プロペラ制度になってから、こういう方向にも多くの時間を割けるようになったのは悪いことのはずがない。(PHOTO/中尾茂幸=茅原、山本 池上一摩=吉田、今村、興津 黒須田=濱野谷 TEXT/黒須田)