THE勝負駆け!!
今日の勝負駆け選手は9~12Rに密集していたので、当落もろもろの出来事をリアルタイムで記していくことにする。
9R/直前ボーダー6・00
①森高一真…④
②新田雄史…☆
③金田幸子…①
④濱野谷憲吾…②
⑤篠崎仁志…④
⑥赤坂俊輔…②
8Rまで、予選を終えて6・00超えの選手は鎌田義、丸岡正典、徳増秀樹、中島孝平(1着のない6・00で当落は微妙)の4人。とりあえず、9~12Rは残り14議席を懸けての直接対決となる。
新田以外の5人が生き残りを懸けた9R。この高いハードルをクリアしたのは、森高と篠崎のふたりだけだった。森高が必死に逃げ、仁志が執拗に食い下がるというマッチレース。①②着が必要な金田、濱野谷、赤坂の3人は、上位2艇に割って入ることさえできなかった。
ただ、すべてのターンマークを握りマイで攻め続け、周回ごとに篠崎との差を詰めていった金田の奮闘はあっぱれの一語。女子王座に輝いてから、金ちゃんの実力(含むメンタル)は明らかに倍増したと思う。去年の賞金王シリーズに続き、SGでもっとも活躍した女子レーサー。次に参戦するSGでベスト18の壁を突き破れ!
当確レーサー/新田雄史、森高一真、篠崎仁志(暫定当確7人)
10R/直前ボーダー6・00
①毒島 誠…①
②峰 竜太…☆(①着でトップ確定、②着8・80)
③池田浩二…☆(①着で8・00)
④齊藤 仁…③
⑤井口佳典…☆(①着で8・00)
⑥吉田俊彦…☆
ボーダー勝負駆けは毒島と齊藤。残りの4人は完走当確なので、1-4または1-全-4の決着なら6人全員の準優入りが濃厚になる。結果は、毒島が渾身の逃げを決めて見事に勝負駆け成功。逆に③着条件の仁ちゃんは……3番手の俊彦に猛アタックを仕掛け続けたが、わずかに及ばず4着。このレースでただひとりの脱落者となった(注/ところがどっこい、最後に大どんでん返しが……!!??)。
ここ2年来、仁ちゃんは滅法強くなった。どこがいちばん変わったのかというと、今日のような道中のしぶとい追い上げだ。以前は「差しを基本に着順確保」というターンが多かったのが、ここ一番では外から握って逆転を狙うシーンが増えた。この果敢な握りマイの姿勢が、仁ちゃんの腕だけでなく精神面をも鍛えているのだと思う。
さてさて、このレースには他にも重大な勝負駆けがあった。予選トップ&準優1号艇を巡る直接対決だ。予選トップ争いは、峰が勝てばここで終わる。残りのレースとは無縁に峰のトップ確定。2着なら11R松井、12R白井の結果待ちになるが、「トップ濃厚」という境遇でもあった。2コース差しが得意なだけにその可能性も十分だったのだが……負けた。それも、5着大敗。トップ脱落だけでなく、準優1号艇も危うい立場となった。
逆に、きっちり2着で予選を終えた池田が暫定3位に浮上し、準優1号艇を決めた。F2持ちで1号艇は多大なプレッシャーになるだろうが、とにもかくにも「さすが」と言うしかない。
当確レーサー/毒島誠、峰竜太、池田浩二、井口佳典、吉田俊彦(暫定当確12人)
11R/直前ボーダー6・00
①興津 藍…②
②松井 繁…☆(①着で8・83暫定トップ、④着で池田を超えて2位以上確定)
③鎌田 義…④
④平石和男…―
⑤岡村 仁…⑤
⑥川崎智幸…④
峰が敗れて予選トップ争いが混戦になった。候補者は①白井、②松井、③池田の3人。ここで松井が4着以内なら、池田が脱落して白井×松井のふたりに絞られる。松井の結果は……しっかりがっちりの2着確保! 今節の松井の足は良くて中堅と見ていたのだが、王者の底力というか精神力というか、今節もまた脱帽するしかない。この2着で予選成績は8・50。最終12Rで6号艇の白井が3着以下なら、予選トップに君臨することになる。
ボーダー争いでは、「遅れてきた銀河の超新星」興津が鮮やかに逃げきって勝負駆けを決めた。丸岡、森高、井口に続いて、銀河系で4人目の予選突破。実績ではこの3人に劣るものの、上昇度なら銀河随一。「一文字名前が滅法強い大会」というジンクスもあり、今節の台風の目と言えるだろう。
一方、地元水面で気合パンパンの走りを見せていた鎌ギーは……今日になって急激に失速。前半の4着に続いて5着に大敗し、2走8点のさほど高くないハードルを超えることができなかった。その無念残念は察するに余りあるが…………
ん、ここまで書いたところで、11R終了時点の予選ランキングが届いたのだが、なんとなんと、5・67の鎌ギーが圏内も十分に考えられる19位!!?? つーか、さっきの10Rでひとりだけ脱落者と決めつけていた齊藤仁が、同じく5・67で暫定18位!!!! そうか、圏内にいた川﨑が5着に敗れ、鎌ギー自身も5・67まで落ちたため、6・00以上の選手がふたり消えてボーダーが急下降したようだ。この“暴落”はかなり想定外だったが、これによって12Rの勝負駆け状況がどうなるのか、はっきり言ってしっちゃかめっちゃかです>< とりあえず、次のレースに進むとしよう。
12R/直前ボーダー5・67
①太田和美…②のはずが③?
②山口 剛…②のはずが③?
③秋山直之…③のはずが④?
④吉田弘文…②のはずが③?
⑤湯川浩司…①のはずが②?
⑥白井英治…☆(①②着で予選トップ確定)
まずは、至極簡潔なトップ争いから。「英治が1、2着なら英治、3着以下なら松井」という争いになった。6号艇だけに、目分量としては五分五分というところか。この条件を踏まえて、あとはレースを待つばかり。
そしてそして、大変なのはボーダー18位を巡る勝負駆けだ。現状のボーダー付近とレース当時者の順位は
13位・秋山 6・20★
17位・太田 5・80★
18位・齊藤 5・67
――――
19位・鎌田 5・67
20位・前本 5・67
21位・山剛 5・60★
22位・弘文 5・60★
28位・湯川 5・20★
★は12R参戦者
まさに大混戦。よくよく見ると、単に勝率だけの問題ではない。たとえば湯川が2着、ツヨポンが3着だったりすると、
★鎌ギ 123445着 持ち時計1分48秒2
★湯川 123445着 持ち時計1分48秒3
★山剛 123445着 持ち時計1分47秒0
節間の着順がまったく同じで、タイム差の勝負になるかもしれないのである。そうなれば、ツヨポンがいちばん有利なのだが……
などと書いているうちに、レースがはじまり、終わった。勝ったのは6号艇の白井英治。5カドを奪って、スタート一撃のまくり差し。まさに自力で予選トップを勝ち取ったのである。峰竜太のSG制覇を悲願と呼ぶなら、白井のそれは悲願×5と言ってもいい。あと2回逃げきれば、これまでの様々なつらい思いはすべて霧のごとく消え去るだろう。まだまだ予断を許さないが、とりあえず、この1勝の持つ意味はでかい。
そして、ワケがわからぬまま迎えたボーダー争い。英治の一太刀を浴びつつ、2着に粘りきった太田は文句なしの当選。一方、ツヨポン、秋山、弘文、湯川の4人は枕を並べて討ち死にしてしまった。秋山の繰り上がりで当選したのは、地元の鎌ギーだ。同期・英治の豪快な一撃が、間接的な“援護射撃”になったわけだ。鎌ギー、ミラクル突破、おめでとう。そして、一度は悔やみ文みたいなものを書いてしまった齊藤仁ちゃん、早とちりをしてすいませんでした。改めて、予選突破おめでとう!(photos/シギー中尾、text/畠山)