BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

TOPICS 2日目

パワーを超えた連勝劇

 

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 マジで、最終日にアッと言わせてしまうのか、ミスター!? 今村豊が怒涛のピンピンで予選トップに躍り出た。3Rは、3コースから若さ溢れる俊敏なハンドルワークで一撃まくり差し。最終12Rは、スリット同体からまくらせず差させずのプリンス逃げ。今日も11Rまで1号艇3勝というイン受難水面だったが、難なく押し切ってしまった。正味のパワーは、おそらく中堅上位レベルだろう。宇野弥生や毒島誠あたりよりかなり落ちると思う。

 

 

 

 

 

 

 

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 だが、この天才には「起こしから握りっぱなし全速スリット」という誰にも真似できない武器がある。今節は、その最強兵器を如何なく発揮し、スリットで主導権を勝ち取っている。F2(A級落ちの大ピンチだった)の後遺症からすっかり立ち直ったとするなら、明日以降も握りっぱなしで暴れることだろう。

「こんな年寄りでも、ドリーム戦に乗っていいですか。アッと驚かせるよう、頑張ります」

 選手紹介で力強く宣言したミスター。このままの勢いなら、52歳にして4年ぶりのSG制覇も十分にありえるぞ。まあ、ミスターが優勝したところで、誰も驚きゃしないんだけど、ね。

 

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 ピンピンと言えば、吉川元浩も当地賞金王の意地を見せた。4Rは、インから気迫のコンマ04スタートで「抜き」の勝利。11Rも3コースからコンマ06まで踏み込んで、展開ズッポシの差しを決めた。その3連単配当、65970円!! これだけツくのは当然だろう。昨日今日の吉川の足は、ほぼ間違いなくワーストだ。

 4Rは逃げ楽勝になりそうなバック直線だった。それが、2艇身後方の平石和男にぐんぐん追いつかれ、舳先を突き刺され、なんとか2マークで逆転の「抜き」を勝ち取った。命からがらの1勝だった。勝ち時計は、事故艇もなかったのに1分50秒0……今日のすべての2着艇の平均タイムより遅かった。あの足を見てしまっては、4号艇の11Rはとても買えない。私も「絶対にアタマはない」と決めてかかっていた。

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 が、やはりボートレースは機力の順にゴールする競技ではないのだな。イン桐生順平と2コース新田雄史が大競りでぶっ飛び、ぽっかり空いたスペースを駆け抜けた。まさに展開一本。勝ち時計は1分49秒2と少しはマシになったが、それでも5R2着・吉田弘文より遅いものだった。実になんとも、あの恐ろしいほど苦しいパワーで、よくぞ連勝ができたものだ。意外性のゲンコー、ここにあり。7年前、賞金王のトライアル第3戦で、ありえないようなアウトまくりを決めたのもこの福岡水面だったなぁ。再び博多で奇跡を起こすのか、吉川。ただ、それには、半端ない上積みが必要だと思うのだが……。

 

 

 

 

 

生奈、奮闘。

 

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 小野生奈、3着・4着・3着。胸を張って威張れる成績ではない。今日は1、2号艇という好枠で、勝ちきることができなかった。本人にとっては悔しい好枠だったことだろう。それでも、道中で湯川浩司とガッツンガッツンぶつかって競り勝つなど、見せ場十分の走りだった。戦前、私は勝手に生奈の予選成績を「65615」なんて予想していたのだが、どうしてどうして、しっかり着をまとめている。機力に拠る部分が大きいとはいえ、大健闘の2日間と言っていいだろう。

 現時点での予選勝率は5・33、ランキング24位。十分に準優を狙えるポジションだ。山口剛が帰郷して予選出走数が5回→6回に増え、残る枠番は345。もちろん、楽に勝たせてくれる相手ではないが、このセンター枠はまくり屋・生奈の持ち味が如何なく発揮できる枠でもある。明日の4号艇で一撃まくりを決めたりしたら、まさかの準優圏内に突入する生奈ちゃん。この試金石の一戦を、楽しみに待つとしよう。とにかく、悔いのないスタート&1マークを!!

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 他の女子軍団では、2Rの長嶋万記が目の覚めるような3コースまくり差しを決めた。33歳のバースデーに、自ら花を添える圧勝劇。逆に後半8R、1号艇で5着に敗れたのが惜しまれるが、それでも予選16位。準優進出も十分にありえるぞ!

 

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 そしてそして、エース宇野弥生。インコースの今日は石野貴之にゴリゴリ攻められて大競り、ぶっ飛び。それでも、凄まじい伸び足でぐんぐん追い上げ、気づいてみれば3着を取りきっていた。恐るべし47号機。冗談抜きで、優勝を狙える足だと再認識した2日目だった。現在、7位。5・6号艇の明日、大崩れがなければ女性初のSG制覇がさらにリアリティを増すことだろう。頑張れ、弥生!(photos/シギー中尾、text/畠山)