BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

T0PICS 4日目

'THE勝負駆け①ボーダー争い

最強コンビ、復権!!'

 

f:id:boatrace-g-report:20171213120926j:plain

 ドリーム戦士の峰竜太が次点に泣き、連覇のかかった新田雄史がよもやの大敗で準優から零れ落ちた。一方、インコース2勝という波乱の水面上で仁王立ちしたのは……64期の最強コンビだった。

 まずは、王者・松井繁である。私の勝手なパワー評価は、前検から変わることなく中堅ド真ん中。中の下にも思えることがある。昨日までの成績も一息で、今日は2走で11点(ボーダー5・80想定)という予断を許さぬ勝負駆けを強いられた。それが、終わってみればピンピン連勝、予選7位の大躍進だ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213120937j:plain

 まず、4号艇の7Rは内3艇の混戦を横目に、慌てず騒がずのブイ差し一閃。バック直線は3艇併走になったが、内から外2艇を罵倒するような迫力で2マークを先取りした。10点加算で、あっという間に準優当確。もちろん、そのレベルで満足する王者ではない。最終12Rは2コースから貫禄の差しハンドルを突き刺して、そのまま一人旅を決め込んだ。うーーん、参った。私は「差しても突き抜けられないし、まくりきれる伸びもなし」と、どちらのレースも軽視していた。さすがの一語。やはり王者に下々の常識は通用しない。ただ、準優メンバーに入っても、同じような差しが決まるかどうかは微妙だと思っている。明日の特訓の気配に注目しつつ、慎重に王者の取捨を決めたいと思う。

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213120950j:plain

 そして、64期と言えば、哲人・服部幸男も忘れちゃならない。昨日の連勝に続き、今日の6Rでも2コース差しを決めて怒涛の3連勝だ。予選成績66111の大逆転突破! 2日目までの底辺を這うようなレースっぷりを見たときは、「今節もダメなのか、服部」と匙を投げたものだ。道中でキャビってエンスト寸前みたいに失速して、大差の6着。そんな惨劇を2度も続けて見せられたのである。今節の服部は5回走だというのに、2走で2点しか得られなかったのである。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213121000j:plain

 だが、昨日からの服部はまるで別人だった。スリットから力強い行き足で主導権を握り、差し・まくり・差しと自在に敵を翻弄した。絶望的なスタートから、予選が終わってみれば9位通過で松井と同じ3号艇をゲット。パワー的には、松井よりも分がいいと私は勝手に思っている。準優に入れば突出したものではないが、昨日今日の行き足をしっかり生かすレースができれば661111①なんていう劇的なフィナーレもありえる。

 王者・松井がいて、哲人・服部がいてこその64期。今節は服部がさらに奮闘し「5月にして、ふたり揃ってグランプリ当確」なんてコトになるかも??

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213121015j:plain

 もうふたりほど、今日の勝負駆けで目立った選手を挙げておく。まずは、1Rの赤岩善生。6号艇で最低2着が必要だった赤岩は、待機行動から勝負に出た。スタート展示では動かず、本番で一気にエンジンを噴かして3コース奪取。いわゆる「やらずのやり」というヤツで、正攻法の赤岩にしては珍しい奇襲である。おそらくハナから狙った作戦ではなくスタ展後に気持ちを切り替えたのだろうが、この前付けが功を奏して2着ゲット。ギリギリ18位で準優に滑り込んだ。スタ展→本番のコース取り変更をとやかく言うファンもいるかも知れない。だが、ここで何度も書いてきたが、スタ展を過信した方が悪いのである。赤岩は18位に入るために、全力を尽くした。最近、勝負駆けで淡白に見えることが多かっただけに、今日の進入~レースっぷりを高く評価したい。見事な勝負駆けだった。明日の準優も6号艇。今日の赤岩のレースを見て、明日の楽しみがまたひとつ増えた。

f:id:boatrace-g-report:20171213121024j:plain

 それから、3Rの岡Pだ。やはり6号艇だった岡崎恭裕は強引に4コースを奪い、鋭い差しハンドルを入れて当確ランプを点した。ここで特筆したいのは、岡崎の行き足である。スロー4コースからスリットの直前でヒュッと伸びた足。その行き足は、内の重成一人(準エース機)より、半分以上も強めに見えたぞ。昨日、コンマ68という“非常識なドカ遅れ”(笑)から、ありえない追い上げで2着をもぎ取った岡崎。あのミラクル追撃がフロックではなかったことを、はっきり証明する行き足だった。私の勝手な評価では、「優勝してもちっともおかしくない超抜足」。明日、もしも脳内レースが混乱したら、この岡崎のパワーに賭ける手は十分にある、と思う。

 

 

 

 

 

 

'

THE勝負駆け②トップ争い

52歳のV、リーチ!'

 

f:id:boatrace-g-report:20171213121036j:plain

 毒島誠、山崎智也、今村豊。昨日の段階で、予選トップ争いはこの3人にほぼ絞られた。最後に笑ったのは誰か。まず、他の2人に大きなプレッシャーを与えたのがミスター今村豊だ。5Rは2コースからジカまくりを決めて圧勝。10Rでは1マークで後手を踏み、道中4・5番手からぐんぐん追い上げて3着。今日、2走で16点を加算して一足先に予選を終えた。その予選成績、311313。暫定1位。嗚呼ミスター、あなたは本当に私と同じ52歳なのですか???

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213121048j:plain

 続く11R、6号艇の毒島誠には「2着以内でトップ確定」という自力の目があった。が、この不利な枠を克服できず5着大敗(毒島は1着・茅原悠紀にも抜かれて予選4位に)。この時点で、ミスターと茅原の準優1号艇が確定した。

 最後の12R、今度は5号艇の山崎智也が自力トップの勝負駆けに挑んだ。その条件は「1着」のみ。智也は5コースからコンマ26のスタートに甘んじ、3着を取りきるのがやっとだった。この瞬間、ミスター今村豊の予選トップ通過が確定したのである。

「こんな年寄りでも、ドリーム戦に乗っていいんですか?(場内合唱「いいんでーーす♪」)」

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213121104j:plain

 選手紹介で茶目っ気たっぷりのミスターだったが、「いい」に決まってるじゃないか。ドリームどころか、優勝戦の1号艇に乗ってもいいんです。そして、もちろん52歳で優勝しちゃってもいいんですっ!

 ただし。ここは福岡、インコース2勝などという水面だけに、「予選トップ」のアドバンテージは他場ほどではないだろう。同じく12R1号艇だった唐津マスターズ準優でも、ありえないドカをやらかしてもいるし。だが、たとえどの場であっても、予選トップの選手がやることに変わりはない。

 あと2回、逃げきるだけ。

 それで、52歳のSGウイナーが誕生する。不世出の天才が、また新たな伝説を生む。あと2回逃げきるだけで。(photos/シギー中尾、text/畠山)