BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@グランプリ――まさかのハプニング

 

 

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 王者も舟から落ちる!?

 グランプリピットで、いきなりハプニングが起きた。松井繁が試運転で転覆したのだ。

 その場面を目撃したわけではないが、田中信一郎と足合わせをしていて接触したらしい。田中のボートの右ヘリは大きくへこみ、これによって田中はボート変更となっている(61→36)。先にピットに戻った田中は顔をしかめていた。

 レスキューに乗って、王者がピットに帰還。「大丈夫ですかっ!?」との声には「ぜーんっぜん、大丈夫や!」と明るく笑顔を向けている。身体には何の問題もないようで、まずは一安心。それから松井は、田中のもとに駆け寄った。「信、ごめん!」。さらに松井は検査員さんや艇修理の方にも頭を下げていた。

 いや~、まさか松井が試運転で転覆するとは……。これから松井は転覆整備に入ることになる。これがいったいどんな方向に転がるのか。今日明日はレースを走らない松井だが、これをふまえて、今日も明日も作業に没頭するのだろう。

 

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 というわけで、ハプニングはともかく、ひとつ言えるのは、松井はさっそく動いていた、のである。今日は少なくともグランプリ史上初めて「レースを走らない出場選手がピットにいる」日である。トライアル2ndから登場する上位6名が、レースのない初日にどんな動きを見せるのかはひとつの注目点であった。で、どう過ごしていたかといえば、「普段のSG初日と変わらない」ということになる。整備室にこもってギアケース調整などに励む者(山崎智也ら)、いつも通りに作業を進めて、試運転の準備を丁寧に行なう者(白井英治)、早くも試運転へと飛び出す者(松井、太田和美ら)、そこにある光景は、特に変化はないと言ったほうがいいだろう。細かく言えば、レースのある人は手順などが違っていたり、レースがない分だけほんの少し、始動がゆったりしていたりということはあるかもしれないが、初日2日目はひたすらのんびり過ごすことをトップ6は選んでいない。明日も本場観戦の方は、レースの合間に2nd組を水面で見ることができるだろう。

 

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 あ、あえて言えば、やはりレースがない分、表情が穏やかかもしれませんね。白井英治に声をかけたら、先日のメモリアル(MB記念)優勝祝勝会のときと同じ笑顔を見せてくれた。作業に向かう目つきは真剣でも、それはレースモードというわけではなさそうだ。

 

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 一方、トライアル1st組は、早くも運命を決める戦いを目前に控えているから、作業の慌ただしさは2nd組を上回っているかもしれない。今日は「グランプリ史上初めて初日にトライアルが行なわれる日」でもあるが、やはりその動き自体は普段のSG初日と変わっていないと言うべきだろう。表情の真剣さも特に変わったようには見えず、先入観をたっぷり胸に置いて眺めれば、普段よりも気合が入るのが早いかな、という気がするといったところだ。

 たとえば丸岡正典。1st組のなかでは、比較的慌ただしさが目立たなくはあるが、表情は昨日に比べれば一気に引き締まってきている。カタいとまでは言わないまでも、丸ちゃん特有の柔らかさは消え去っているのである。10月だったか、まさに平和島の一般戦のピットで丸岡と顔を合わせたことがあったが、こちらに気づいた瞬間、目がくにゃ~と垂れてニコニコ顔を見せていた。今日はそれが皆無。やはりグランプリの緊張感はしっかりと味わっているのであろう。

 

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 今垣光太郎は、本体をバラしていた。昨日の会見では「新品リングが入っていて、垂れた状態だと思う。それを明日換える」と語っている。さっそく着手したというわけだ。光ちゃんが整備、というのはぜんぜん当たり前の光景のように思えるのだが、最近ここまで早く手をつけたことがあっただろうか? 僕にはこの動きもまた気合ゆえのものに見えて、光ちゃん本来の「平常心」モードに入っていると思えるのだが。

 

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 さて、やっぱり聞かなきゃよかったよ~、今村豊の“賞金王ジャンパー”。ペラを外そうとしているところに歩み寄って問いかけてみると、「ああ、女房任せだから」とあっさり。第1回から出場している今村さんのプライドとか勝手に思ってたんですよね~、とも振ってみたのだが、「自分では用意しないんですよ~。ぜんぶ女房任せだから」。まあ、それが真実ということなのであります。ただ、僕はやっぱり勝手に「これは奥様からのエールである!」とここでは書いておきます! 奥様も、僕も、ファンも、今村豊が賞金王を勝つところを見たい! 賞金王でSG最年長優勝を達成するのを見たいのです!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)